浪漫のカケラもありゃしねえっ!
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2001年07月10日(火) 脳死移植

ニュースには、心臓移植のために渡米する子供の話。
現在の法の下では、15歳以下の子供からの移植は受けられない。内蔵のサイズが違うから、子供の患者は子供のドナーからの移植を求めて外国に行くしかない。
小さな子供の身体から内蔵を摘出することを、家族は悲しむだろう。社会がそれを受け入れるためには、時間がかかるかもしれない。
それでも、何もしてやることが出来ず、子供の弱っていくのを見守らなければならない人々は、今も大勢いる。

保険の効かない、高い治療費。患者と家族の渡航・滞在資金。移動のために患者の身体にかかる負担。血液型の分布の違いや移植の優先順位などから適合するドナーを見つけられるとは限らない。
移植が成功しても、拒否反応が出るかもしれない。患者は、一生、免疫抑制剤を飲み続ける。
それでも、希望をつなぐためには、行くしかないんだ。

こういう話を聞くと、母や妹のことを連想する。
私は、妹のことを覚えていない。
彼女の心臓は心室に穴があいていて、肺に高血圧がかかっていた。入浴させただけでも心拍が乱れ、唇が蒼白になっていったという。
それを見守らなければならなかった母を思う。
手術の可能な年齢になる前に子供を失ってしまった母を思う。
彼女がその手にする前に失われてしまった、未来を思う。


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