その反省がまったく見当違いで勘違いだったと知ってからも、やはりそれはそれで考える価値があると思ったので、キーを打ちこむ手を止めて、考えた。 ほんとに、しょうもないことしか書けず、自分の本当に思っていることと逆のことしか書けなかったりするのだったら、いっそすべてを止めてしまえばいいのに、とも思った。 けれど発語が不十分で、口からはまったく頼りにならない、ふにゃふにゃとした不明瞭な言葉の切れ端が、おびえまじりに垂れ流されるばかり。これでは私の伝えたいことは一つも見当たらない。このままではやっぱりだめだ。このままでは結局だめだ。 胸のあたりを鉈で立ち割って、まだ動いている心臓と肺を差し出して、これが私の本当に言いたかったことだ! と伝えられるようなやり方に無我夢中で憧れた。 もしそれが達成されたら本当に死ぬしかないとは思った。その言葉の後に自分が生き続けることで、現状と表現が齟齬をいつか来してしまう時を迎えて、ただの上っ面な嘘に変わるのならば。 こうして私は際限のないトリップを繰り返して、誰の手にも落ちないところへ遊離し、一人、行き過ぎてしまうのだとも知った。 その繰り返しの日常が続く先には、今そこに居てくれている、最も傍に付き添ってくれる人が、疲れ果てて、却って孤独に苛まれるのだろうということも解りつつある。 悪魔に向かってこの心臓を差し出すつもりで、何かを一言、言うとすれば。際限なく繰り返され、深みを徐々に強めてゆく、再現できないほどのこのトリップの果てで言うべき一言を、言うとすれば。 その答えを誤ってはならない。 私はあの人を本当に愛しているのだ、ということだけは必ず言わねばならない。 必ず。 そこだけは必ず。 |
writer*マー | |
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