憂鬱な時には、アートだ。 フランス映画の女優の方が百倍は憂鬱だと思うが、私だって憂鬱だ。ゴダールを観るまでもない。鬱だ。 ---------------------------------------- というわけで私は★リンク;『東京都写真文化美術館』 へ向かった。 昨晩、むちゃくちゃな集中力で荒れていたから、台風が爪痕を残したような体の状態で、つらかった。 令嬢(アート・文芸の盟友)を呼んで 展示は『エドワード・ウェストン+アンセル・アダムス展』。 令嬢「あー 滝やー」 私『ねー。ザー。』 そんな会話が続いた。 写真は風景。うねりや曲線の形状が反復される。 うねり愛好者なのだろうか。 展示物以外にも、他の写真集も置いてある。 ★リンク『岡田敦(あつし)』 の写真集は群を抜いてインパクト超! ミッフィーの群れ、向精神系の錠剤、血の詰まったコンドームが、透明なガラスのような描写で襲い掛かる。 ★リンク;大阪芸術大学・写真学科卒業生ページ にも掲載されているので参考に。 令嬢はつぶのたくさんあるものがダメなので 「いやああああ」。 ごくろうさまです。 ---------------------------------------- 赤坂周辺を散歩。 巨大なホテルのビルで店を回る。 時計や指輪の店で、裸体がうんと張り詰めた指輪を店員に紹介される。 アダムとイヴらしい。 裸体のおっさんである。 確実にいらない。 店員「関西の方ですか」 私『ええそうです。関西弁やっぱりわかりますか』 「ええ、すぐに(微笑み)」 『商談では失礼になる相手も居るから、標準語に直せってよく言われてます』 「あら。関西弁の良さもありますのにね」 『全くです ははは』 「ほほほ」 店員、私の首から提げたカメラを見て、また話し掛けてくる。 「これからどちらに撮りに行くんですか?」 『いや まあ いつも身に付けてるんです』 「ご趣味ですか?」 『や。これ系の まあ アレですね』 「あら。じゃあ写真のお仕事を?」 『や。何というか。まあはっきりとは言えないんですが。まあそっち系の。』 「まあ」 店員が明らかに返答に困ったあたりで店を出ました。 最初に商談がどうのと言っておいて、撮影が仕事であるかのようにうそぶくので、 やましい隠し事をしてる人のようでした。 この性格、直さんと・・。 ---------------------------------------- こんな憂鬱な日には、読書でしょう。 渋谷に移動し、★リンク;『渋谷古書センター』 へ入る。 アート系の古本を見る。 恐ろしく素晴らしい本を発見しましたよ。 『麻薬禍(まやくか)』 本が、あほのように太い上に、『太陽にほえろ』級のくそ熱い刑事ドラマばりの写真が。 麻薬Gメンの張り込み、刑事の踏み込み、逮捕劇、取調べ室など、どれも超一品のドラマ写真。 劇団から人間を借りてきたに違いない。 ---------------------------------------- そして渋谷を夜遅くまで堪能した。 蕎麦屋に入り、酒を飲んで、ごまの入った蕎麦を食った。 道を歩いてて、高級な寿司屋か飲み屋の写真があった。 それは、カウンター越しに 店のおやじと中年男性の客が笑顔で話してるシーン。 私はむらむらとするものがあって、 『これは店主が客に引退を勧められてるところです』 と言うた。 『もう、潮時だよ親父さん』 『むむ、そうかー』 素人の出演してる広告写真ほどむらむら来るものは、なかなか無い。 私の意味不明な言葉を聞いて 令嬢は笑った後で 「そう! なんでか解ったわ!」と大声を上げた。 え゛えっ。 何ですか。 「みんな具体的な話しかしないから、あたし嫌なんやわ!」 「あたしはそんなずっと具体的な話ばっかりしたくない」 「だって おかしな面白いこと言う人って ほんまおらんもん!」 そこからは、具体と倒錯、表現の作法、凡庸さと華麗さ、演技、などなど、色々とせつない身の上話が続いた。 「なんも面白くないやん!」 「あたしだって、そんな賢いって訳じゃないけど、」 「此の世に賢い人がいて、賢くて優れたものを残してて、それが面白いんだってことぐらいは私は面白がれるから、」 「そういう感覚の無い人と一緒に居続けるのが苦痛なんよ!」 私は感涙にひちひちと泣き、檸檬のせつない味を脳裏に感じ、 『その通り! そうなんすよ! 貴様等は昆虫か!!!!』 とマツキヨ前やパルコ横で吼えた。 さんざんに吼えた。 蕎麦屋で飲んだ日本酒のせいではない。 私もそうなのだ。 渋谷の若者たちにぶつかりながら、時にはどぜう鍋の店の看板に気を取られつつ、私達は歩きに歩いた。 憂鬱。 具体的な自分の話なんてしたくもないし、 そんなの 自分のことなんて興味無いから 話すことすら出来ないのに。 どうしろと言うのさ。 勝手にしてよ。 あたしら所詮は パプーなのさ。 そんな感じでやさぐれてしまいました。 HMVで視聴しまくり。 金も払わず、聴くだけ聴く。 しかも夜の10時。 親が知ったら「あんたは不良だ」と泣くでしょう。 駅に着いたら着いたで、 ★リンク;小悪魔をアピールするヴィダル・サスーン の広告がJR渋谷駅をなまめかしく占拠しているよ。ははは。 しょっぱいなあ。 古いフランス映画に出てくる女優さんって、どうしてみんな小悪魔なんだろう。 ブリジット・バルドーとか。 (※バルドー;小悪魔だった人。美人) ふとんかぶって寝ました。 ぐう。 |
writer*マー | |
★↓729参加・総合リンク↓★
☆テキスト・アート☆
☆☆ダークゾーン☆☆