姉の写真が居間の机の上に置いてあった。 友達に囲まれて楽しそうな、笑顔の写真。
なんだろう、すごく、イヤ。
深く考えずに、その写真の姉の笑った顔に、シャーペンで幾つか穴を開けた。 満足。 嬉しくて、母に見せたりした。
「…あんた、怒られるで…」
言われて、初めて気付いた。 そうだ、これは姉の写真だ。姉の持ち物だ。姉はこれを見たらきっと物凄く怒る。
後日案の定姉がその写真を見て言った。
「誰がやったん!?」
視線は私を捕らえたままで言った。
姉は誰がやったか分かってるんだ。でも、私が自分から名乗り出て謝るのを待ってるんだ。 私はただ黙っていた。知らないふりをした。謝罪の言葉を発するなんて出来なかった。 きっと認めたらもっと怒られると思って、何も言わずにいた。
尚も言い募る姉。 「あんたちゃうん?あんたがやったんやろ?」
分かってる。 分かってる。 やったのは私。 知ってる。 知ってる。 悪いのは私。
でも、認める事、謝る事は出来なかった。黙っている事しか出来なかった。
そうこうしているとその場は母が助け舟を出してくれて、うやむやになった。
助かったと思った。 そして、もっと姉が怖くなった。
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