琥珀色の時
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2005年09月21日(水) 島田荘司「ネジ式ザゼツキー」


今度の御手洗潔はスウェーデンのウプサラ大学で脳の研究中。
勿論石岡君は出てこなくて、今回のワトソン役はハインリッヒでした。
彼が連れてきた記憶が一日しか持たない男。
その男の作った童話『タンジール蜜柑共和国への帰還』を解析して、男の戻りたい場所を見つけだす御手洗の推理がまことに見事でした。

本の構成も横書き、縦書きと工夫されていて、御手洗と記憶のない男との会話は横書き、物語中の童話は縦書きでした。

最初は何度も繰り返される対話(なんと言っても次の日に会ったときには記憶のない男は、御手洗に初めましての会話からはじめるので)にこちらもイライラしそうになりながら読み始めました。

小説の中の童話『タンジール蜜柑共和国への帰還』がでてきて、あれれれ〜
タンジール蜜柑とかママレード色の空とかいう言葉に、ええっーなんか聞いたことがある??
そのはず大好きなビートルズの「Lucyin the sky with diamonds」じゃないですか!
タンジール→タンジェリンツリー、アンド、ママーレードスカイ♪

それと「指輪物語」のロスロリアン(あのガラドリエル様のエルフの森ね)をイメージしたような樹の上の家が出てくるんです。こちらは帰還といえば浮かぶ「王の帰還」から容易に想像できました。

この『タンジール蜜柑共和国への帰還』の分析がまたよくできていて、記憶のない男は考古学に興味があるってとこがみそ。
アフリカで発見された原人の骨格が「ルーシー」
で、その名は発掘チームが当時、ビートルズの曲「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイヤモンズ」を聴いていたため、名付けられたという。
その故事にのっとり(笑)記憶のない男はビートルズのこの曲を知らないと言うんだけれど、無意識に聞いているはずと御手洗に看破されてます(笑)

相変わらずの強引なこじつけもあるけれど、なかなか知的な蘊蓄(脳に関することを主に)もあり、面白かった。
ネジ式というのがどういう事なのかは本を読んでのお楽しみ。

ま、ビートルズに縁がなかったら、こんなに面白く読まなかったかもね。
ちょうどこんなニュースもあったんでなおのこと
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音楽誌『Q Magazine』が行なった最優秀ブリティッシュ・ソングを決める投票で、ビートルズの「A Day In The Life」が1位に選ばれた。名作『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』収録のこの曲を、同誌は「ブリティッシュであることは何かを示した究極の楽曲」と評している。
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つまりは『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』がいかに大傑作かということかな。


琥珀 |MAIL

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