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2003年05月07日(水) 春の雨に広重を想う。。

今日は、夜から本格的に雨。

深夜のビル街は、雨で煙っており、さながら、にごり絵のようである。

街路樹の新芽が雨に濡れ、萌黄色で美しい。

雨脚が強く、道行く人々が足早に過ぎ去り、
雨が風で煽られ、堅く描かれた斜線のように降っているのを見ていると、
この風景は以前何処かで見たなぁと歩きながら考えている内、
「そうか広重だ」と思い当たった。

帰宅して、色々と画集を引っ張り出して調べたら、その一枚の複製画があった。

東海道五十三次の『庄野』であった。

その画集は、私が小学生の頃、
暇な日曜や夏休みの昼下がり、畳に寝転んではよく眺めていた。
その画集は家庭用に各国の名画をテーマごとに編んだもので、
その広重は「生活・風俗」集で選ばれていた。

強い雨脚に煙る山道と人里。
風に靡く、奥深い山林。
坂を急いで駆け上る駕籠。
里に向かって早足で駆け下りる傘をさした旅人。
彼らの踏みしめる坂道には青々とした草色。

絵の風景は、時を超えて、江戸時代の昔からそこに留まっているが、
今まさに降り出した突然の雨の一瞬が、
まるで自然な写真のように、画面に切り取られている。

「あぁ。これこれ」と眺めて満足したが、
なるほど子供の頃の記憶は、なかなか侮れないものだと驚いた深夜である。


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izumi [HOMEPAGE]

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