★KINPEI★
◎ ■あの人の香り ◎

どうしても別れる気になれない私と

どうしても別れる事を納得させたい日向と

二人は平行線のまま



でも日向は私を好きでいてくれたから

私が泣いて嫌がる事を

出来るはずもなく


折角付き合うって言ったのに

楽しい事は何一つせず

そんなに早急に別れる必要はないんじゃないか

という説得に

とりあえずは応じてくれて


散々もめた一日の最後に

別れるという結論を

引っ込めてくれた


でも

日向は

それ以降も

ずっとずっと

別れるタイミングをはかっていて



そして

恋愛体質じゃないと

私の思いを負担にしていた


私が日向が好きでする行為を

例えば日向を見つめる視線

用もないのにそばにいる

とか

そういうことを

「返せないから」

「しないで欲しい」






でも日向は

私の好きな舞台のタイトルと同じ名だから

といって

彼女がいつもつけている香水を

分けてくれたり

してた


優しいメールを送ってくれていた

落ち込めば

包み込むようなメールを

くれた


時に二人の時間を

作ってくれた


香水は特別な意味があって

くれたものではないけれど

元々好きな人がつけている香りに弱い私は

寂しい時に

側に感じる事ができるその香りが

すごく嬉しかった


意図する意味が全然違うのを承知で

好みと違ったら捨てていいよ

って

香水そのものを好きな彼女に

違う意図を被せて

私がつけていた香水も

お礼にあげた



そしたら

日向は

私がつけている香水は

ドキドキするね

って言ってくれた

そういうものだって

知らなかった

って



こういう気持ちをストレートに伝えてくれる日向

恋愛体質じゃなくても

同じようにドキドキする事はあるんだって

私に幸せをくれた






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   − 2000年10月07日(土) −             next

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