再生するタワゴトver.5
りばいぶ



 「はてしない物語」劇評。

毎日新聞デジタル


舞台縦横ときどきナナメ

復帰50年 「オキナワでゴドーを待ちながら」を見て考えた

https://mainichi.jp/articles/20220630/k00/00m/040/068000c


と劇評が載りました。
とても丁寧に観てもらえて、
この芝居のガイドマップとしても非常にわかりやすく書いてくださいました。
(有料記事になりますが)

こちらは沖縄タイムスで取り上げてくれた劇評

沖縄が「待つ」もの問う エーシーオー沖縄 「はてしない物語」 不条理劇 舞台置き換え
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/986006

たくさんのことが受け取られ、それぞれの中で巣くい育つような作品であれば嬉しい…

なにしろ、ゴドーわかった人を手ぇあげてぇ?
なんてことも行われる作品だ。…そこじゃない。

世界的名作に挑む体験、というのは、
なんというか、
結果、いつも沖縄を題材にする時と同じ重さ。であった。
慰霊の日に、公演もあり、12:00ではなかったけれど、座組全員で黙とうできたことも、やっと、の思いがある。
この理屈っぽく哲学によったリライトを、全体理解ができるかはさておいて、
(目指したのは、見ているうちになんだかわからないけど、泣けてきた)、身近に楽しめるものにしてくれた総年齢の高い演者さんたち、
そしてお馴染みに近くなった沖縄ミッションをこなすスタッフチームの創造力の結集のお陰で、創り難い、他で観たことのない「ゴド待ち」を生み出すことができた。
そして何より、しっかりと見届けてくれたお客様になにより感謝致します。
死ぬ思いで脚本化した甲斐のあるというもの。
…明確に描き始めたのは(下調べ、台本読解などはもちろん終わらせたうえで)、3月の大阪のコロナ中止の次の日からだったな…

またの機会が、早く訪れますように!(みな高齢!)
今に必要となる芝居になったと思う。
そして私事だけれど、今から25年前に「ゴド待ち」をネタにワークショップ用に書いていた(怖いもの知らないというのはすごいことだ(笑))作品の一端がお目見えしたこと、そことベケットと今の自分と世界とが混在することになったのはとても不思議な体験だった。

新しい仕事に翻弄される中、
当たり前なのだが、作品の質を保てたことがよかった。
そして、世の中もう大した問題でなくなってきているような流れが作られているけれど、演劇だけはそうではないまま、コロナ禍で初日を迎え、そして千穐楽を迎えられたこと。奇跡のようで、感謝です。



2022年07月01日(金)



 エーシーオー沖縄『はてしない物語〜オキナワでゴドーを待ちながら〜』当日パンフ寄稿。

演出の戯言「オキナワ、ナニヲマツ」

田舎道。一本の木。夕暮れ。

そんなト書きから始まる『ゴドーを待ちながら』は、有名な「待っている二人」のお話だ。あ、演劇界で。ゴドーは果たしてやってくるのか? ゴドーは一体だれなのか? 「物語」と認識されず「何もおきない」不条理劇の最高傑作だなんて言われている。云々…そんなこと知らなくていいのです。演劇界で有名だなんてどうでもいいことだ。

とにかく大それて、オキナワでゴドーを待ってみることにした。そして、題はエンデの超有名作とおんなじである。だってこれは「物語」だから。

彼らは何を待ち、
何を求め、
何を手に入れようとしているのか、
しかも、オキナワという土地で。
手に入れられないのだとすると、どんな壁に阻まれているのだろう。
彼らがおかれている状況は多分、悲劇だ。
でも、人間というものは誰しも、それでも必死に生きて、アップで見るとものすごく悲劇だけれど、
引きの絵で観たら、すごい喜劇であったりする。
彼らも必死に生きている、明日を今日を、今を。
その姿が滑稽に映ってくれたらそれがいい。
本家の『はてしない物語』は、虚無がやってくるけれど、はたしてこの物語では何がやってくるのかー

自己決定権と、平和憲法を手に入れたい思いで本土復帰して50年、その祖国はなにをしてくれるものぞ。
「だからよ〜」
「なんでかね〜」
こんなことの繰り返し…。
50年という節目でなくとも心を寄せてもらうために、微力ながら僕らに何ができるだろう。
表現者というものは、自らを晒すことによって他人を照らしていくものだ。逆に言えば、晒すことでしか客席と繋がることはできない。
そんなことを考えながら、日々の稽古に通っている。

沖縄でモノづくりをさせてもらうようになって、幾年月、多くの出逢った方がいて、縁が繋がって初めて出来た『はてしない物語〜オキナワでゴドーをまちながら〜』

ホンを開いたところからはじまる、ネバーエンディングストーリー…
どうぞ最後までお楽しみください。

不条理劇と不条理を描いた劇は大分ちがう。
どうせなら後者を紡ぎたいと思っている。



藤井ごう

2022年06月28日(火)
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