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■ 『太平洋食堂』戯言。。。
演出の戯言
あなたは今の世界をどう見ていますかー 初演(’13年)を前に、和歌山県新宮市にある墓の前で問いかけてから、7年が経った。
過去の革命は少数偉人の手により為されたりといえども将来の革命は多数凡人の自覚によって行わるべしー 自分は決してストライキそのものを善い事だとは云えぬ。併し悪いものを悪いと主張する元気や、嫌なことを嫌だと言いぬく自由の精神は最も尊重すべきものではないか、こういう元気と精神を青年の頭から取り去ることは即ち、青年を屠ることと同じであるー 今から百年以上前、こんなことを書き記した人物がいる。
大石ドクトルこと大石誠之助である。劇中、大星誠之助、大星ドクトル。 大逆罪という汚名をきせられた人物の一人。 その発想の豊かさ、自由さ、奔放さ。そして人間らしい身勝手さ。この人物に惚れこんだ嶽本の筆圧は強く、物語は紡がれていく。
明治後期という時代のうねりに右往左往しながら、煌く生きていた人物たちの『現在』が舞台上にあるよう、新旧俳優さん、スタッフさんたちと喧々諤々、上演の度リライトされるこの嶽本戯曲フルコースを正に一つのテーブルに寄り集まって、最善を探る日々である。
いつか「あの時」に変換されるだろう時代を、コロナと国に翻弄されながら生きる僕らに、 この物語は人物たちは改めて『今』を鋭く突きつけてくる。
私事で恐縮だが、思えば再演(’15)の稽古初日に師が亡くなったのだった。あれから5年、上質なフィクションは時代を見通し、真実を捉える。そんな師の言葉を頼りに、モノづくりを追及しているーそしてこんな時代にこそ心の栄養となるべく研鑽を重ねる。さまざまな出会い別れを繰り返し、どんな未来を描いていけるか。その為の『今』この時だ。
本日はご来場誠にありがとうございます。 どうぞ最後まで想像力フル回転でご参加ください。演劇は皆さんの参加を得て、初めて完成をみます。 太平洋食堂、再再開店です!
藤井ごう
2020年12月06日(日)
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