再生するタワゴトver.5
りばいぶ



 『島口説』沖縄タイムス。

泣き笑い 新たな「島口説」/泉&やよいが新境地/国立おきなわ 29日から

 戦前、戦後を生き抜いた女性の身の上を通して、沖縄の歴史を描く芝居「島口説」(脚本・謝名元慶福)が29日午後7時、30日と7月1日午後2時、浦添市の国立劇場おきなわで上演される。主人公で民謡酒場の主人、山城スミ子を泉&やよいの喜舎場泉と城間やよいの2人が演じる。藤井ごうによる演出が、作品に新たな生命を吹き込む。(学芸部・天久仁)


 謝名元の体験をもとにした同作品は1979年に故北島角子の一人芝居として初演。沖縄で生まれ、生きたスミ子の半生を振り返る語りを通して、沖縄戦やアメリカ世、復帰闘争など沖縄が歩んできた歴史を伝える。

 北島が演じる作品は劇場を飛び出して児童や生徒を対象に学校などでも上演され、公演回数は500回を数えたという。依然として残る米軍基地など、劇中の「スミ子」が生きた時代と何ら変わらない沖縄の状況を発信しようと、新たな役者での再演が決まった。

 演出の藤井は2011年に沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落など沖縄をテーマにした「普天間」を手掛けており、脚本を手にして「戦争体験者の話が聞ける世代の、その先の世代につなげる作品にしたい」と話す。「伝えたいものの根幹は変わらない。無理に新しい作品にするのではなく、(泉&やよいの)2人と一緒に笑い、泣くような舞台を作る」と意気込む。

 泉&やよいにとって、本格的な芝居は初挑戦となる。「スミ子」が2人同時に登場する場面もあれば、喜舎場と城間が交互に演じることもある。城間は「戦中戦後を実際に生きた北島さんと自分たちでは芝居のベースが全く違うが、やり遂げることで新境地を開きたい」と話す。喜舎場は「大きなプレッシャーだが、素晴らしい作品を大切にする」と張り切っている。

 2人を抜てきした原作の謝名元は「北島さんがこの芝居を通して伝えた沖縄の歴史や住んでいる人間、生活ぶりを演じることができるはずだ。演出と役者が格闘しながら『島口説』の世界を語り継いでほしい」と期待を込めた。

 入場料は一般3千円、18歳以下2千円。問い合わせはエーシーオー沖縄、電話098(943)1357。




2018年06月25日(月)



 「島口説」琉球新報。

泉&やよい「二人」で復活 北島角子の代表作 一人芝居「島口説」

名女優・北島角子が演じていた一人芝居「島口説(しまくどぅち)」が30年余を経て、お笑いコンビ「泉&やよい」による“二人芝居”で復活する。作者の謝名元慶福は「とてもありがたい。一人芝居を2人で演じる面白さ、北島さんの明るさとは異なる2人の楽しさを引き出しながら、新しい『島口説』の世界ができつつある」と期待を寄せている。

 本作は北島に当て書き(俳優を決めて脚本を書き下ろす)され、1979年に初演された。謝名元の実体験やフィクションを交えて「二晩で書けた」という。民謡酒場で働く女性が半生を語り、沖縄戦や戦後を生き抜いたウチナーンチュの姿が涙と笑いを織り交ぜて描かれる。謝名元は「北島さんと格闘しながら作った。北島さんの演技には熱気、強さ、優しさがあり大きな反響を呼んだ」と振り返る。81年には文化庁芸術祭優秀賞を受賞した。全国で300回公演を重ねたが、1986年を最後に上演が途絶えていた。

 泉&やよいの起用を提案したのは、初演に引き続き今回もプロデューサーを務める下山久。脚本を読み返して「沖縄の現実は変わっていない。もう1回やらなければ」と感じた。「『島口説』は観客と一緒に作る作品だ。観客をつかんで沖縄の体験を語れるのは泉&やよいだと思った」

 演出を務めるのは、基地問題を描いた「普天間」(坂手洋二作)も演出した藤井ごう。「(戦争で何人が死んだという)数字ではなく、一人の人生を身近に感じてもらえたらいい」と話す。

 泉&やよいの喜舎場泉は「プレッシャーを感じるが、私たちの笑いを入れて“泉&やよいの『島口説』”にしたい。子どもたちにも見てほしい」と意気込む。城間やよいは「沖縄に生まれ育ち、どこにいても土の下には戦争で亡くなった方の遺骨が埋まっていると感じている。劇を通して平和への思いが伝えられるのはありがたい」と話す。

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 「島口説」は浦添市の国立劇場おきなわで29日午後7時、30日午後2時、7月1日午後2時から上演される。入場料は一般3千円、18歳以下2千円。問い合わせはエーシーオー沖縄(電話)098(943)1357。

2018年06月24日(日)
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