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■ 天井から(庄司 、書いちゃった)
始めは、「う」だった。次に「ら」が出てきて、「やましい」がドドドっと続いた。天井がボコっと膨らんで、固形の言葉が抜け落ちてきたのだ。 今朝がたの話である。寝ていたぼくの上にどんどん言葉が降ってきたのだ。転がっている文字に新しいものがぶつかると、文字同志が、文字そのものの音を立てる。金属的なひびきで「コ」「キ」とか「ア」「パ」といった音が響き渡るのだ。なんじゃこりゃ?と思っていると「なんじゃこりゃ」というかたまりが降ってきて、音を立てた。「ナンジャコリャ」。「!」と思うとやっぱり「!」が降ってきて「!」と音を立てた しばらくの間、突然起こったとんでもない状況に戸惑っていたのだが、となりで寝ている彼女が「暑い」と言ったとき、頭の中で筋がとおった。やはり、天井から「あつい」が降ってきたのだが、それよりも「天井」と「夢」と「声」が結び付いたのだ。「獏」である。 昨夜、寝る前に中島らもの『獏の食べ残し』を読みはじめたのだ。せっかちなぼくは「あとがき」から始めたのだが、問題はその書き出しである。 「地上の人口は増えているが、獏の数はたぶん減っている。ということは獏が食べ残す夢の量はどんどん増えていっている」。「獏の食べ残しは、明け方にもすこしだけ闇がこごっているような路地裏とか、天井板のどう見ても女の人の顔に見える木目の中とか、あるいは赤ん坊が握り締めているこぶしの中だとかによくひそんでいる」。 という部分があったのだ。 特に「天井板」が、頭にこびりついていたのだと思う。で、それが発展して、ぼくの大好きなドラえもんの「声かたまりん」という声がかたまる道具のイメージと結び付き、固形の「なんじゃこりゃ」が降ってきたのだ。 夢の最後は天井がはじけとんで終わった。ものすごい音を立てて、「わああ!」「け」「ちゃ」「がん」「どやややや」「なああ!」「あああ!」が四方八方にはじけとぶ。で、最後にまた、「う」と「ら」と「やましい」がひらひらと落ちてきた。結局ぼくは中島らもに嫉妬していたようだ。消化不良なぼくの夢のかたまりを理解するというとんでもなく寝覚めの悪い状態で、4月26日がスタートした。んんん…。
2005年04月26日(火)
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