活字中毒のワタシの日記

2015年09月16日(水) 外山滋比古『文章力かく力』★★★★☆


外山滋比古『文章力かくチカラ

こういう本を、こういう文章を、多く読む時間を増やしたいな、と思いました。

おもしろい文章は、おいしくて滋養になる。
心地よい音楽を聴いているような気分に。
外山先生、ステキです!

「ここで言っているおもしろさは、相手の関心をひくもの、といったほどの意味。読まずにはいられない、放ってはおかれないという気持ちを読む人に与えるものーそれがおもしろさである。興味深いもの、知的な快い刺激を感じさせるものは、すべて、おもしろいものになる。」(p10)

「文章は料理のように、おいしく、つまり、おもしろくなくてはならない。」(p10)

「ものを書くには、何を書くのかがはっきりしていないといけない。」(p25)

「書きたいことが十もあったとする。(略)このうち、すてるとすれば、どれかを考える。ひとつずつ切り捨てて行って、二つか三つを残す。
これを組み合わせて、一口で言えてはじめて、テーマができたとなる。」(p27)

「そっとこころをそそる味わいーそれがユーモアである。これを体得するのは、句読点ほどやさしくはないが、そのつもりになってまねていれば、やがていくらかは似たことができるようになる。」(p42)

「わたくしたちは日ごろ同じことばを何度でもくりかえす会話をしている。相手にさわやかな感じをもってもらうには、それを避ける心構えが必要であろう。」(p45)

「形容詞や副詞を乱用しない。これが文章の心得で、飾りたくなるのは幼いのだと思ってよい。」(p57)
お手本は、昔話。

「飾りをすくなくすることは、ことばの生地の美しさを見せることにもなる。」(p57)

新しい言葉と古い言葉。
「大工さんは生木では家を建てない。(略)文章も同じで、生木のようなことばで書いてはいけない。すくなくとも何十年と使われてきている、よく枯れたことばを用いるべきである。」(p94)

「どこから始めるにして、文章は円を描くようなものである。まとまりが必要である。書き始めのところへもどってきて終わると、読むものも落ち着きを感じる。」(p100)

「ネギもとり肉もあっていいが、竹串にさしていないと、焼きトリにはならない。テーマはその竹串のようなもの。『テーマは何か』ときかれたら、『こう』とひと口に言えるようでないといけない。」(p104)

「口でいうときには、ひと口で言えるのが、本当のテーマである。十分も話さなくてはいけないようでは、まだテーマまで固まっていない。」(p104)

「足りないのは才能ではなく、精進と努力である。」(p160)

「文章に上達するには、平凡なようだが、とにかく書いてみる。そして上手になりたいと願いながら、努力を続けることである。そうすればいつのまにうまくなっている。
ピグマリオン効果はたんなる空頼みではない。」(p160-161)

「ことば遊びが目的の場合は別として、ひとの心を打つ文章をかくには書く人の心がこもっていなくてはならない。
つまり、文章に上達するには、心を練る必要があるということである。」(p162-163)

心を練る。
数をこなす。
円を描く。

おいしい文章を書きたい。時折読み返したい良書。

外山滋比古『文章力かくチカラ



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2015年09月15日(火) アトゥール・ガワンデ『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?』★★★☆☆


アトゥール・ガワンデ『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?

一言で言うなら、チェックリストは有効。
効果は絶大。
使わないのはもったいなさすぎる。

ということがわかる一冊。

「『人』は誤りやすい。だが、『人々』は誤りにくいのではないだろうか。」(p79)

「ハリケーン・カトリーナと建築業界の事例を元に、私はある仮説にたどり着いた。複雑な状況では、チェックリストは成功に必要不可欠だ、という仮説だ。状況に合わせた判断はもちろん必要だが、チェックリストという型を使うことで、私たちはより良い判断ができる。」(p93)

ヴァン・ヘイレンのボーカル、デイビッド・リー・ロスの逸話。
コンサートの契約書に、M&M‘sのボウル一杯のチョコを用意させること、ただし茶色のは取り除くこと、という条件を入れていた。違反した場合にはコンサートは中止され、かつ報酬をバンドに満額払うこと、と。
有名人のわがままではなく複雑で重要な、時に危険な要素が伴うコンサートを完璧に準備するためにぬかりがないかどうかをチェックするためのものだった。

「チェックリストは長すぎてはいけない。原則として項目の数は五個から九個にしておくと良い。人間の脳が一度に保持できるのもそれくらいだと言われている。(略)
ただし、一つの一時停止点に六○秒から九○病かかってしまうと、チェックリストはかえって邪魔になってしまうことが多いそうだ。また、ずるをしたり、手順を省いたりされやすくなる。だから、ブアマン氏が“キラーアイテム”と呼ぶ、飛ばされがちだが致命的な手順に絞るべきだそうだ。」(p143)

「誤解されがちだが、チェックリストはマニュアルではない。(略)チェックリストは、熟練者を助けるためのシンプルで使いやすい道具なのだ。素早く使えて、実用的で、用途を絞ってあるという特性こそが肝要だ。」(p149)
だからこそ航空機事故で何千人もの乗客の命を救うことができた、と。

医療、航空の他、金融の現場でも有効だと。
「チェックリストはマニュアルではない。方程式でもない。だが、全ての手順においてベストの選択をする手助けをしてくれる、とクック氏は言う。」(p192)

「プロフェッショナリズムには三つの要素が必ず含まれている。
第一に無私であること。(略)第二に腕があること。(略)第三に信用に足ること。(略)航空業界の人々は、そこに四つ目を加えた。規律だ。よくできた手順には絶対に従うこと。必ず他者と協力しあうこと。」(p209-210)

学校でも、家庭でも生かせるはず。
取り入れていこう!

アトゥール・ガワンデ『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?



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2015年09月14日(月) 川村元気『億男』★★★☆☆




川村元気『億男

お金は、それに使われるものではなくそれを使うもの。
使うことが目的ではなく、手段。

勘違いしがちなのかも。
勘違いしたまま生きている人が多いのかも。

メモ。

「この世界ではあたりまえちゃうことの
ほうがとかく目立つし、よく思われたりする。でも勝つためには、あたりまえを見つける目が必要なんや。そしてあたりまえのことを、あたりまえにやる。ただそんだけでほとんどの勝負は勝つことができる。でもそれが一番難しい。実際、この競馬場でそこらへんを歩いてる奴に、そのことを分かっている奴は誰もおらへん。みんな自分の欲とか恐怖とかに囚われて、あたりまえのことを見失う。そやから、賭け事はあたりまえのことをバカにせんとやる奴らが勝つんや」(p127)

「千住の言うとおりだ、と一男は思った。
僕らは何が欲しいか分からずに欲しがったり、失ったりしている。皆が必死になって書き出している夢。世界一周。大きな家。幸せな家族。でも実は行きたい場所なんてどこにもないのだ。ここではないどこか、を求めているだけ。お金がそれら茫洋とした夢や欲望に、姿かたちを与えてくれると期待しているだけなのだ。」(p166)

川村元気『億男



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2015年09月01日(火) 小池龍之介 『考えない練習』★★★★☆


小池龍之介 『考えない練習

禅。

いままでさまよってきた、さがしていた答えが、というより答えの見つけ方が、ここにあったようだ、と思うこの頃。

読みながら、うなづくこと多数。
自分のものとしたい。

こころにのこったところ。

「多くの方が年を取るにつれ『最近は年月が早くすぎてゆきますからねえ』という話をするようになる元凶は、現実の五感の情報を、過去から後生大事に蓄積してきた思考のノイズによってかき消してしまうことに他なりません。」(p22-23)

八正道。

「無駄なエネルギーを使わない思考、その時に最も適切な必要最低限のことだけを考えて、どうすれば無駄な思考や空回りする思考を排除できるか、さらには、どうすれば煩悩を克服できるかが、仏道のスタートであり、ゴールでもあるのです。」(p27)

「『できない自分』を自分が認めたくないという『慢』の欲。」(p54)

十善戒。

「批判や悪口を言うことで、その相手より立派な人間だというプライドを保つことができるような錯覚を得ますが、実際には、自分に怒りの煩悩が増えるだけです。」(p57)

「仏道において、人が幸せに生きていくために育てるべき感情としているのは『慈・悲・喜・捨』の四つだけです。」(p62)

呼吸法。
「大事なことはやり方ではなく、そこに意識を向けることだと考えています。」(p66)

「人は自分の姿を認知すると、変わらざるを得ません。(略)
浅い呼吸の違和感を認知することで、呼吸が変化していきます。」(p67)

「まず、どのような時でも役に立つのは、相手を突き動かしているのは、苦しみ=ストレスなのではないか、という洞察です。」(p83)

「仏道的にお勧めするのは、やはり欲とか怒りを喚起するものではなく、ニュートラルなものをしっかり見るということです。」(p92)

計画する。
「1、最初に計画をじっくり立てる
2、それを貫徹しないと、あとで嫌な思いをすることを、あらかじめ自覚しておく
3、それを邪魔するようなものは見ない訓練をする」(p127)

「なすべきことは、食べている際に感じられる味わいや食感を、ぼんやり感じるのではなく、しっかり感じることです。つまり『味わう』ということです。」(p133)

「ものを増やしすぎないことは、空きスペースをつくることに役立つのみならず、『これは自分の物ッ』と執着して思い出さねばならないきっかけが減りますから、思考のノイズを減らすことに、大いに有用であると実感します。」(p141)

「『捨てないでおいてあるもの』が増えていくと、記憶のデータベースもどんどん乱雑になっていき、覚えていられなくなるものが増えていきます。
覚えていられない物が増えると、自分の心がいまどうなっているのかを認識する能力、自分の心を広く見渡す能力、自己統御力を減らしていくことになるのです。」(p145)

「忘れたつもりでいても、心はちゃんと覚えていて、『どうしようかな』と思い続けている。」(p145)
無明の領域を増やすことになるから、危険。

「なにかがほしいというのは、裏を返せば、それがなければ不安だ、それがなければ不十分な気がするという苦をあらわしています。」(p147)

「無自覚にものを増やしていくと、必然的に人格も次第に悪化していきます。」(p144)

「実際にやってみるとわかるはずです。これまでものが増えるほうが安心すると思い込んでいだのがまったく間違いで、実は減らしたことでとても心がすっきりしたり、安心したり、安定したり、自分の心の中が見渡しやすくなったりするのです。」(p150)

「ものを処分すること、捨てることが、自分の中の『何かを失うことが怖い』という霧を晴らし、何があっても大丈夫、という勇敢なる平常心を育んでくれるのです。」(p153)

「『親切』をしたくなってしまう時の心の動き、それは一見、優しさのように見えますけれども、実際は思考ノイズの反射反応にすぎません。」(p164)

「実際のところ、困っている人にしてさしあげられる最も大事なことは、静かにしていてあげることです。黙って話を聞いてあげることです。」(p170)

「大切なことは、その方がいま何に困っていて、何を望んでいるのかが浮き彫りになるまで、じっくり話を聞くことです。」(p170-171)

「私たちは『自分の意見は正しい、間違っていない』と思い込み、見解を常に補強したがる『見』の欲に支配されがちです。」(p173)

「かわいそうなのはこの人であって、自分ではない。大変そうなのはこの人であって、自分ではない。人を心配することによって自分の不安から目をそらすことができます。」(p176)

「激しい感情ではなく、深い慈悲を育てる」(p177)

ほんとうの慈悲。
「誰かのために悲しんでいる時も、自分を背後から操る煩悩の糸を見つけて断ち切ることです。感情におぼれて嘆くという、優しい『つもり』をなくしてしまうことです。」(p178)

仏道の善友。
「お互いが堕落するような関係や、お互いの煩悩が増えるような関係、つき合っていて自分のグレードが落ちてしまうような相手からは距離をおくべきだと教えています。」(p179)
自分の心が汚れていきそうな人とは、離れる。心が穏やかに、清らかになっていく人と共にいる。

「『降伏する勇気』を持つことです。(略)
まずは、人に負けたくない、自分の歪みを見たくない、見せたくないという『慢』のプライドを捨てることです。」(p191)

煩悩だらけの自分。あー、はずかしい。そういった思考のノイズも取りのぞけるように。
降伏する勇気を持とう!

小池龍之介 『考えない練習



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