2007年10月31日(水) |
吉田 太一『遺品整理屋は見た!』★★★☆☆ |
『遺品整理屋は見た!』 吉田 太一 扶桑社 (2006/09/26)
【出版社 / 著者からの内容紹介 孤独死、自殺、殺人…ひとごとのように感じられるかもしれませんが、それらはあなたの隣で起こっていてもおかしくありません。本書は、日本初の「遺品整理」の専門業者として、さまざまな壮絶な現場を経験してきた著者が記した46の「現実にある出来事」。あまりの凄まじさに「覗き見」の興味本位で読み進めていっても、そこからは現代社会が抱えている痛みや狂気が汲み取れます。圧倒的な読後感!】
心に残ったところ。
「孤独死に限らず多くの場合、人の死は突然起こります。 たとえ予測されたものであっても、死は生きている人たちの生活のリズムをくずし、精神的肉体的なバランスを失わせます。」(p111)
死後の遺品整理。 悲しみだけじゃない、実務の煩雑さ、遺された人たちの生活へのしかかる負担。 時間であったり、肉体的労働だったり、金銭的なものだったり、気遣いだったり。 (アパートで孤独死で発見まで時間がかかると死臭がものすごいそうです。)
そんなことも、生きているうちに考えておかなくちゃなぁと気づかされました。
生前から自分の遺品整理を依頼したという顧客の話にはとてもうなづけました。
孤独死が増えている現状、その死後の遺品整理に携わりながら著者が感じたこと。
「あのとき、一声かけてあげればよかった。そんな後悔をしないためにもぜひそうしてあげてください。」
遠く一人暮らし(に限らないですね、孤独って)の親戚や家族に、自宅に招いたり食事をしたり、といったことを提案。
自分もされて嬉しいことは、人にもどんどん、でも無理のないようにしていくこと。 ちょっとの気遣い、絵はがき1枚、それが違った結果を生むのかなと思います。
教職だった故人の遺品整理をしていてアダルトビデオのコレクションの山を片づけながら感じたこと。
「もし、あなたの身に万一のことが起きたら…。 人に知られたくない、見られたくない、あんなモノやこんなモノ…。さて、あなたはそれらをどうしていますか。」(p169)
一昨年、手紙の整理をしました。 今年、写真の整理をしていて、泥酔してひっくりかえってる写真などどんどん捨てたけど、まだ残っています。 来年、日記の整理をしようと思います。ほんと、しなくちゃ。
「いつ自分が死んでも、残った家族や周囲の人に迷惑をかけないように用意しておくということは、『充実した今を生きる』ためにとても大切なことではないかと、この仕事をしていて思うようになりました。」(p220)
自分がいなくなった後に事務処理で困らないようにと「もしもリスト」を作り始めました。著者が言うように、死ぬためではなく、充実した今を生きるために。
心置きなく生きて、心置きなく逝けたらいいなと思います。
誰もが尻込みする、でも誰かがしなければならない遺品(=遺体の一部だったり死臭がしみついていたり)整理の仕事を使命感を持ってやってくださる方がいることに、ほっとできました。
著者の会社→キーパーズ
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