2004年12月07日(火) |
湯本香樹美『春のオルガン』徳間書店★☆☆☆☆ |
『春のオルガン』 湯本香樹美 徳間書店
ものすごく、評価の高い児童文学、らしいです。 でも、私にはピンとこなかった。もう少女のココロを失っているのかなあ。
でも吉武さんのコドモ向けのはじいいんときたのに。 もっと激しい描写だったのに。
第一作目の『夏の庭』で10カ国以上に翻訳されたそうです。 これ読んだら評価が変わるかも。
ちょっとさめた、少女の日常。 両親の不仲。 ひたすら物置のがらくたを直す祖父。 かなりかわりものの弟。 お隣との境界のトラブル。 捨てられた猫たち。 その面倒を見ているおばさん。
どの描写も、なぜか「絵」にならなかった。 気持ちが入っていかなかったからだろうね。なぜだろう。
もしかしたら、自分自身思い出したくないでしまい込んでる年代とぴたりと重なるからかもしれない。 あけちゃいけない。触れちゃいけない。そういうことかも。
アマゾンに、「死に直面した老人とこども」というモチーフが彼女の書き続けるテーマとあったけど、それだ、と思った。 ふれちゃいけない。死んじゃえばいいのになんて思っちゃいけない。 この本は、当時の私にも、今の私にも、読むべき本じゃなかったように思う。
印象に残ったところ。 「おばさん、どうしようもないことってあるね」 「うん」(p223)
「私の中にいるのは、怪物だけじゃない。卵のなかから今あらわれたトカゲの子みたいに、きっとまだ会ったことのないたくさんの私がいて、そのひとりひとりといつか手をつなげたらいい、そう思った。」(P232)
読みながら「あ、まずここから書きたい、と思ったんだきっと」と思った。 どうかな?
|