活字中毒のワタシの日記

2003年05月29日(木) 檀ふみ『ありがとうございません』★★★☆☆

ありがとうございません
ありがとうございません
檀 ふみ
幻冬舎 (2001/04)

エッセイ集。
読みやすくて、こ難しいのや深刻なのを併行して読んでいる時にとりまぜるとよさそうな一冊。

いい!と思った所。

「読んでいて腹立たしかった。反省の日記は小学校だけでだくさんである。反省すればコトが改善されるなら、私はとっくの昔に立派な人になっている。
だんだんと日記のつけかたを覚えた。まず、反省はしない。後で読んで恥ずかしくなりそうなことも努めて書かない。人のことを書く。なるべく身近な人がしたこと、言ったこと。できれば悪口がいい。
すると、がぜん日記が生彩を放ち始める。ひとくちに悪口というが、悪口を書くのは結構難しい。細かな人間観察が必要になる。それに、後になって浮き彫りにされるのは、悪口を書かれたほうではなくて、書いた方の精神状態なのである。」(P204-205)

で、彼女はこの当時、4冊目の3年連用日記を書いてらっしゃるそうだ。
ちなみに私は10年連用日記を、たまに、書いている。
5年目ともなると、過去を眺めるのが楽しい。
白紙が多くても、ええ、それでも。
ほんとは毎日書きたいんだけれども、そうもいかず。
特に、マイホーム購入やら妊娠、入院、出産、育児、などなど転機がもりだくさんだからだろう。
そうでなくても楽しい毎日でありたい。そんな毎日に、したい。

てことで、今からそっちの日記も書くことにします。
おやすみなさーい。

ありがとうございません
檀 ふみ



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2003年05月28日(水) 森絵都『カラフル』★★★☆☆

カラフル
カラフル
森 絵都
理論社 (1998/07)

帯より。
「いいかげんな天使が、一度死んだはずのぼくに言った。
『おめでとうございます、抽選にあたりました!』
ありがたくも、他人の体にホームステイすることになるという。
前世の記憶もないまま、借り物の体でぼくは
さしてめでたくもない下界生活にまいもどり……

気がつくと、ぼくは小林真だった。

ぐっとくる!ハートウォーミング・コメディ」

さくさく、と読めるジュニア小説。かな?
オチもそうくるしかないよなぁ、という結末。
「ぼく」の性格がこんなに開き直っていること、ちと大人びていること、が少々ひっかかるのだけど、必要なことなのかなー。

天使のアドバイスが沁みた。
いきづまった時、生きづらい時、「私」はこの体、この自分が今入っている体、この「誰か」の体にホームステイしている、と思ってみる。
そうすると、客観的に見られるからだろう。
ホームステイならば、いてる間は楽しんでやってみるか、と思える。(時も、ある)

長くてもたかだか数十年のホームステイ。
それならば「誰か」として、「私」はカラフルな世の中を満喫しちゃおうよ。

うん、そうしよう。

カラフル



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2003年05月27日(火) 菊間千乃『私がアナウンサー』★★★☆☆

私がアナウンサー
私がアナウンサー
菊間 千乃
文藝春秋 (2001/04)

帯より。
『実況中継中、5階建てのビルから転落、地上に激突。
胸椎、腰椎、肋骨、せん骨を骨折。
三日以内に痺れがくれば下半身不随……
一年間にわたる闘病とリハビリ、そして再びテレビに復帰するための感動の手記』

私はこの方の存在も事故も、先日お勧め本でこの本を見るまで知らなかった。
たぶんテレビで見かけてはいたのだろうけど。

とても理不尽な、悲惨な事故にあって、その後も有形無形の悪意(善意もあったろう。それもたちが悪い)に傷つけられて、それでも負けなかったひとのお話。
きっと怒りでいっぱいの部分もあるだろうに、非常に抑えて書いてある(と思う)。
闘病の記録のみならず、自分の来し方を振り返ったり、行く末を案じたり、実際に行動を起こしたり、同年代のひとりの女性の洞察が書かれていて、行き詰まっている人にも、順風満帆の人にも一度読まれることをおすすめしたい。

あとがきにある、よくある「きれいごと」が、読み終えてみるとほんとうに重く感じられる。
『人生は苦しいばかりということも決してありえない。乗り越えようと頑張れば、結果はきっとついてくる。諦めずに前に進むこと。自分をとことん嫌いになる瞬間があってもいいと思う。いろんな自分を見て、受け入れられれば、きっと自分が好きになるから。自分のことが好きになれれば、周りにもっとやさしくなれる。』(P262)

いい本に出会えた。
諦めずに、前向きにいってみようと、思えるチカラをもらった。
テレビで見かけたら「ありがとー」と声をかけてみようと思います。
ありがとう、キクマさん。

私がアナウンサー



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2003年05月26日(月) 東野圭吾『虹を操る少年』★★★☆☆

虹を操る少年
虹を操る少年
東野 圭吾
講談社 (1997/07)

帯より。
「君にもこの光は届いているか----。
光の演奏ー”光楽”ーを通じて、子供たちにメッセージの発信を始めた天才高校生・光瑠。
その目的を探ろうと、大人たちの魔手が忍び寄るが……。
実力派が放つ、傑作ファンタスティック・ミステリー!!』

相方いわく、「TOKIOよりは面白かった」。
そうなんだ、私は「TOKIO」の方が面白かった。
とはいうものの、これも楽しく読めました。かつ、ドキドキハラハラ。

人体から放たれている光を見たり感じたりすることのできる人がいるという設定。
たとえばすんごく好きな人がそばにいると、体のそちら側の光が強くなったり、顔は笑っているけれど嫌々しゃべっている時は弱い光になったり。
それを読み取ることができれば、それこそ『千里眼』!
あ、作者が違った…。

すごい勢いですすんでいく話。
不思議と主人公であるはずの光瑠の描写は少なくて、光瑠を取り巻く人たちの物語となっている。
それも、最後の方で出てくる「強く光る人たちの説」を納得させる。
何に納得しちゃったかというと、

↑押すと続きが読める投票ボタンです。(ネタバレ注意!)
そこから発想したお話なんだろなーと思うんだけど、実際はどうなのかしら?

そういえば、武田泰淳『ひかりごけ』も光る人の話だったね。
あの衝撃的なラストは忘れられない。

そう、進化を、変化を恐れているばかりではいけないんだよね。
前へ、前へ。

虹を操る少年



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2003年05月25日(日) 加納朋子『ささら さや』★★★☆☆

ささらさや
ささらさや
加納 朋子
幻冬舎 (2004/04)

夫を突然の交通事故(不注意で赤信号で突っ込んできた車にはねられた)で亡くし、首も座らない赤ん坊と二人きり残されたサヤ。
気が弱く、お人好し。
ただひとりの孫を養子に、と圧力をかけてくる夫の親族。
逃げるように、不思議な町「佐々良」へ移住する。
にぎやかで面倒見がよく、けれど実はとても寂しがりや、恐れを知っているおばあちゃんたち、強くて豪快なエリカ、ダイヤ親子といったともだちも出来た。
サヤの周囲で起こる不思議な出来事。
一番不思議でサヤの生きていく支えになっているのは、夫の魂がいつもそばにいてくれて、ここぞという時に誰かの体を借りて助けにきてくれること。
でも、それもいつまでも続くわけじゃない…。

小さな子どもを持った母のひとりとして、読み進むのを躊躇した。
どうころんでもつらい結末しかなさそうで、それを直視したくなくて。
でも、ハッピーエンドでした。

ひとは誰でも、ほんとうに、誰でも、死ぬのだということ。
遅い方がいいけれど、いつかは必ず別れるということ。

それを痛感した。
そしてできる時にできること、したいことをしなくちゃなあって。

優しすぎ、弱すぎ、泣き虫のサヤ。
読んでいてイライラするほど。でも、彼女も気づく。
もちろんそれは彼女の長所でもあり、そこを夫も「馬鹿ッサヤ」と愛情こめて呼ぶのだけど、それではだめなのだ。

『自分は嫌になるくらい、世間知らずで甘ったれで弱虫だ。サヤにもその自覚はあった。だが、弱いということ、それ自体はなんら罪ではないと思っていた---今までは。
だが、より小さくか弱い存在を庇護する立場にある者にとっては、弱さは単なる能なしの代名詞でしかない。それがよくわかった。
もし必要なら、敵を引き裂く爪を持て。そののど笛に食らいつく、牙を持て。』(P308)

ここまで読んだ人には最後の一行にサヤの成長と、母の強さ、強くあらねばならない必要性を驚きとともに感じることでしょう。

なんだか透明感のある、不思議なおはなしでした。
息子ユウスケは、きっと佐々良のまちで、スクスクと育っていることでしょう。私もいつか行ってみたいなあ。

ささらさや



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2003年05月24日(土) 真保裕一『盗聴』★★★☆☆

盗聴
盗聴
真保 裕一
講談社 (1997/05)

帯より。
「違法電波から聞こえてきた殺人現場の音。『狩り』に出た盗聴器ハンターが都会の夜を駆ける。
今、注目の気鋭作家の秀作ミステリー5編」

傑作じゃなくて秀作、ってところがなんか好感が持てるわ。
そして、面白かった。満足いく面白さでした。

面白かった順に並べると、
『盗聴』
あっそうだったの、えっ違うの、ええっそうなの、ええええっ…とひっくりかえされる心地よさを楽しめるお話。最後の数行が泣かせる…。
『漏水』
一見フツーに見える人が怖いぞ、世の中そんなにあまかないぞ、と思った。
同僚たちの執念にほっとさせられた。
『私に向かない職業』
とある職業の私が部屋を訪れたら、目当ての中年男性が腹にナイフを突き立てられて呆然としていた。ややこしい組織のトラブルの解決の糸口が見えて、彼の「職務」を全うするのだが…。
このタイトルの意味、一度では理解できず、相方に教えてもらってやっとわかりました。
鈍すぎ?
『タンデム』
ライダー(えっ元だって?いやいや現役!ってことにしとく)のはしくれとして、想像しつつ読んだ。そーそーレプリカのリアシートって高くて不安定なんだよねーとかって。真相までのどんでん返しには振り回されてしまった。
『再会』
これはいまひとつ。あんなことをする動機に納得がいかない。ばれる行程ももひとつしっくりこない。

どきどきできて、胸が少しいたむ、なかなかのストーリーテラー。
他のも読んでみたいと思った。

盗聴



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2003年05月23日(金) 岡田美里『「しあわせ」のかたち PTSDからの旅立ち』★★★★☆

「しあわせ」のかたち
「しあわせ」のかたち
岡田美里
講談社 (2001/07/11)

久々にふせんだらけにしちゃった本。
ああ、同じだ。
わたしのことを書いてるみたいだ。
と思った本にたまに会うけれど、これもそのひとつ。

もう回復したと思っていたけど、私もそうじゃなかったみたいだ。

こころの風邪。うつ。
がんばらなくてはいけない、と無理することに慣れて(がんばって成果が出てるかは別問題)疲れきってしまう。
はい、今、疲れてます。
信じられない億劫さで、信じられない不出来な妻で母で、日々を送っています。

なんだかよどんだなまあたたかい沼にずっとはまりこんで、抜けたくても抜け方もわからず気持ち悪がっているような毎日。
本を手にしてる時だけは、別かな。
それはそれで、本に、本の世界に依存してるのだろう。
逃避、と言い換えてもいいだろう。

前向きに、前向きに、毎日楽しくお気楽に。
それを意識して、がんばって、無理してやろうとしてしまう。
理解できない人にはホント、理解できないでしょうね。
楽しくすることに罪悪感を感じるとか、ほんとうはどう感じてるのかわからないとか、こういう場合はどう答えるのが「正しい」んだろうか、と考えてしまうこととか。

そういうことを、もう、考えなくても暮らせるようになったと思ってた。
ピンとこないかも、と思いつつ借りた。
でも。
痛かったよ。

以下、今の自分に迫ってきた、代弁してほしかった言葉たち。

『緊張した毎日』(P126)
『主人に頼らずに、つい自分で頑張ってしまうんです。本当はおばさんらしく嫌味のひとつも言えばいいのに、黙ってやってしまうんです。どちらかというと、口で言えばいいのに態度だけ嫌味っぽいというか、私、頑張っているのよ、という行動をしてしまうのです』(P161-162)
『それでも疲れていると自覚していない私』(P166)
『居場所のない感じ』(P172)
『お互いに「決して傷つけられない場所」を家庭と呼ぶのではなく、「安心して傷つけたり傷つけられたりできる場所」こそ安全な家庭なの』(P199)
『ACが「良い子」を演じてきたのは、自分が必死になって生き延びるためだったのだから、「偽りの自己」を捨てることこそ良いことなのよ。いい子ぶらないこと』(P200)
『怒りと悲しみは、外に出してもいい』(P201)
『ただの人である自分を、これでいいじゃないか、と肯定できるようになれば、世の中を楽しむことができるようになるじゃない』(P202)
『ね、正しいか正しくないか、じゃなくて、楽か楽じゃないかでいいのよ』(P202)

あとがきにもあったけれど、嫌なものを嫌という勇気、言ってもいいんだと思える自信、自分を受容すること。
ゆっくり、助けを借りながらしていこうと思う。
ずっと今のままでも生きていけるだろうけど、嫌だもの。
自分も周りもしあわせになりたい。

「しあわせ」のかたち



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2003年05月22日(木) 宮部みゆき『ドリームバスター2』★★★☆☆

ドリームバスター2
ドリームバスター2
宮部 みゆき
徳間書店 (2003/03/31)

帯より。
『寂しいあなたに、小さな勇気を贈ります。
かくも愉快かくも深い宮部みゆきワールドへようこそ!
夢と冒険!最強のアクションファンタジー巨編 待望の第2弾』

というわけで、読了。
章は「目撃者」と「星の切れっ端し」のふたつ。
まだまだシェンのおかあさんは出てこないよぉっ。つまりまだまだ続くよぉってことで、楽しみがまた一つできましたじゃ。
うれしいことですじゃ。
と、少年シェンの相棒、マエストロおじさんの真似してみました。
このマエストロおじさんも、好きよ。

宮部みゆきさんて、こういうおじさん書かせたらピカイチだね。
少なくとも私はそう思うよ。
「模倣犯」の豆腐屋のおじいちゃんとか、本屋の少年が出てくる話のおじいちゃんとか。

殺人事件の目撃者として証人になったものの、あれは誘導されたもので、真実とは違ったのではないか、という不安に怯えるOL理恵子。
どうせ自分なんか…と自信が持てないできた彼女に共感して、彼女の夢に現れ励ます追われる死刑囚ワッツ。
そして、それを追うドリームバスター。

わがやのばすたーがあばれはじめたので、ひとまずここでさようなら。
つづく。

つづき。
今ちとこころが疲れてて(でもここは書けるのね。それはここに「依存」しているからなのさぁ…)しんどいです。
なので、書けそうになったら書きますね。

ちなみに、読み終えて。
「つづきが読みたーい!」でした。

ドリームバスター2



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2003年05月19日(月) 森絵都『DIVE!3-SSスペシャル'99』講談社★★★☆☆

DIVE!!〈3〉SSスペシャル’99
DIVE!!〈3〉SSスペシャル’99
森 絵都
講談社 (2001/07)

全4巻の3巻目。
予約していたのだけど、人気らしく、忘れた頃に図書館から連絡が来た。
久々に会う、ダイブに青春をかける少年たち。
うーん、いいねえわかいっちゅーのはねえ。

すっかりオバサンですわ。
それはともかく。

オリンピックをめざし、努力の日々を送るダイバーたち。
純粋で野心のかけらもなかった友季は自分で決めた「枠」をとびこえたい、と誰もが不可能だと思う技に果敢に挑戦する。
一度青森へ戻ったものの、再び目標を見つけ限界に挑む飛沫。
そして、オリンピックに内定したと告げられるが、納得がいかず、スランプに陥り、内定辞退という選択をする要一。
クラブ存続ではなく、意欲ある選手をサポートするという目的にやりがいを感じるようになるコーチ夏陽子。

それぞれの限界に挑戦する意欲が、ひた向きな気持が、とても気持いい。
何か目標を持って突き進んでいる人、そういう何かを持っている人、って輝いてみえるんだなーと。
振り返って、我が身。
……ないじゃん。だめじゃん。
輝いてない自分がダメなんでなく、そういうものを持ってない自分がダメだ。


↑押すと続きが読める投票ボタンです。(ネタバレなし)
これならかなりあると思うんだけどなぁ…。
えっ?
輝いてないからダメって?

やっぱりか…。

4巻まで読まなくちゃ。
オリンピック、3人とも出場できるとは思わないけど、どうかなぁ。

DIVE!!〈3〉SSスペシャル’99
出場できなくてもなんだか満足しそうな気もするけれど。



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2003年05月18日(日) 宮部みゆき『ドリームバスター』★★★☆☆

ドリームバスター
ドリームバスター
宮部 みゆき
徳間書店 (2001/11)

帯より。
「あなたの悪い夢退治します!
宮部みゆきの新たな魅力
☆アクション・ファンタジー巨編第一弾!」

16歳のシェンと師匠のマエストロは別の世界からやってきて、夢に出てくる邪悪な意識を捕らえる賞金稼ぎのハンター。
邪悪な意識は夢に出て来て、その人をのっとろうとする。のっとって何をするのか。彼等は凶悪な死刑囚だった…。

子どもの頃の近所の火事。燃え盛る火の中で踊る人影を見た道子。
一人娘の真由がその当時の道子の年になった頃、二人は同時に焼跡で追われる夢を見る。
そこにバケツにプロペラを付けたような乗り物に乗った二人のドリームバスターが現れて…。

途中まではあまり気持が入らなかった。ふーん、作り物のおはなしじゃーん、って。イラストが余計だったかもしれない。イメージが固定されちゃうから嫌いなのだ。私のマエストロはもすこし老けてて頭よさそうなのよ。

それはともかく。
中盤を過ぎて、ふたつめの死刑囚をとらえたあたりから、ぐっとおもしろくなってきた。シェンに気持が添えてきたから。
そして、訳ありで幼い頃に別れた少年を探す女性。殺人事件発生。新しい登場人物のリップ。味のある『穴』のおやじさん。

↑押すと続きが読める投票ボタンです。
そ、そりゃないぜ…。
図書館予約しなくっちゃ。ああでも「貸し出し限度いっぱいです」って昨日言われたばかりだった。
読みたい…。
ま、いっか。先に読むのがまだいっぱいあるし。
というわけで、つづく。

ドリームバスター



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2003年05月17日(土) 横山秀夫『顔』★★☆☆☆

顔 FACE
顔 FACE
横山 秀夫
徳間書店 (2005/04)

帯より。
「だから女は使えねぇ!」
鑑識課長の一言に傷つきながら、
ひたむきに己の職務に立ち向かう似顔絵婦警・平野瑞穂。
描くのは犯罪者の心の闇、追いつめるのは「顔なき犯人」。
警察小説に鮮やかなヒロイン誕生!」

この作者の本は2冊目なのだが、これを読み終えて、ようやく面白いと思えた。
読み終えて、「警察小説」というジャンルがあることを知った。
そう思えば、面白い。
単純なミステリーだと思って読むと、「なんでこんな警察内部の話をちまちまと」「どろどろした人間模様よりもスジを進めて!」などと思ってしまうのだけど、そこを掘り下げていく面白さというのもアリなんだ、とひとつ賢くなりました。

虐げられているとも言える職場で、自らの誇りをかけて、職務を果たそうとする瑞穂。彼女の前に現れる事件の数々。苦労しながら、傷つきながら、危険な目にあいながら、真相に迫り、犯人を追いつめて行く。
5つの事件が出てくるのだけど、だんだん瑞穂に気持が入っていく。
応援したい気持になる。

緊迫したクライマックス。
ほっとできる結末。続きがあるなら、読みたいなぁと思えた。

でもなー…「だから女は」なんていうくくりしかできないような人は(男は、でなくね)「その程度」だと思うんだけどなー。
深く傷つけられる、ということはその価値観が自分のものでもあるからで、イマドキそんな人っているの?
とマイノリティ歴の長い私は思っちゃったりするのだけど。
それも横山秀夫さんの価値観なのか、あえて問題提起なのか。

そうかもなーと思ったあなたには、衿野未矢さんの本がおすすめ。
社会学っておもしろいね!と思えるよ。

顔 FACE



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2003年05月16日(金) 東野圭吾『むかし僕が死んだ家』講談社文庫★★★☆☆

むかし僕が死んだ家
むかし僕が死んだ家
東野 圭吾
双葉社 (1994/05)

背表紙より。
『「あたしには幼い頃の思い出が全然ないの」。7年前に別れた恋人・沙也加の記憶を取り戻すため、私は彼女と「幻の家」を訪れた。それは、めったに人が来ることのない山の中にひっそりと立つ異国調の白い小さな家だった。そこで二人を待ち受ける恐るべき真実とは……。超絶人気作家が放つ最新文庫長編ミステリ。』

今日の日経新聞の高額納税者ランキングの作家部門に載ってらした東野さん。
こんなにおもしろく、多作で、しかもはずれがないとなれば、本の売り上げものびようというものかしら。
これだけ読んでいて、購入して印税に貢献したのは『秘密』(しかも文庫)のみ。ごめんなさーい。
でも、ここ読んで買ってみた、なんて人が…いるわけないか。

タイトルが、読み終えてしっくりこなかった。
彼女の謎の真相は「ええっ…」と思えたけれど、「僕」の納得にはついていけなかった。わかるような、わからぬような。

伏線がはりめぐらされていて、ほどけそうにないあやとりがすいすいと元に戻るような見事な結末には感動しました。
いつもながら、どんでん返しの楽しさいっぱい。

解説もファンには読みごたえあり。
でも先に読まない方がいいですよ。

むかし僕が死んだ家



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2003年05月15日(木) 長新太『ぼくのくれよん』講談社★★★☆☆

ぼくのくれよん
ぼくのくれよん
長 新太
講談社 (1993/04)

息子3歳のみならず、父親30うん歳、母親30うん歳も虜にしている、長新太さんの絵本。
多数の賞を受けている。「名作」になるのかな。

そーんなことはどうでもよく、これも大きくて楽しい本。
本自体も大きいのだけど、ページをめくって広がる世界も大きい。

おおきなクレヨンが、ごろごろ、ごろごろ。
これはぞうのクレヨン。
ぞうが「びゅー びゅー」と書くと、池だと思ってかえるがとびこみ、バナナだと思って動物たちがこぞって集まり、火事だと思って逃げ出して。
おさわがせなぞうはライオンにしかられてしまうのだけど…。

いたずらっこはこのぞうのやりたい放題に心をくすぐられてたまらないのでしょう。
型にはまることになれてしまった大人はこの奔放さに胸のすく思いをするのでしょう。

だんないわく、ライオンの顔が長新太さんそっくりなんだそうだ。
見返しの所に写真があるので、是非チェックしてみてね。

「でもね」
で広がる長新太ワールド。もっともっと楽しみたい。

余談だが、先日「ねこは…にゃあにゃあ、犬はぶうぶう」「ちがうよそれはぶた!いぬはわんわんー!」(すんごい嬉しそう。うらやましくなるくらい)と『じゃあじゃあびりびり』をネタにして、息子と遊んでた。
「ごりらはうっほうっほ」というと、「ちがうよ、ごりらはゆうゆうだよ」と。
笑えた。ちと感動した。だんなにも話したら納得して笑ってた。

↑押すと続きが読める投票ボタンです。(ネタバレ注意!)
やっぱり、絵本って、いいなぁ。


ボタンの本を
復刊させたいです。よかったら清き一票をお願いします。購入しなくても全然Okです。

ぼくのくれよん



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2003年05月14日(水) 東野圭吾『トキオ』講談社★★★☆☆

時生
時生
東野 圭吾
講談社 (2005/08/12)

帯より。
「1979年、浅草。
時を超えた奇跡の物語
男は父親になっていく。
「彼」との出会いによって。」

ほんとに、しょーっもない男が主人公。
定職につかず、つけず、いつか一発あててやると思ってる。
うまくいかないのは、境遇のせい。周囲のせい。赤ん坊の頃に捨てられたからだ。
そんな卑屈な毎日を送る拓実のもとにふいに現れたトキオと名乗る少年。
彼女に別れをつげられたと思ったら、どう見ても怪しい連中から彼女を見つけるよう脅される。
彼女を探すべくトキオと一緒に行動しながら、過去に、真実に目を向けていくことになる。ずっと避けて来たものに。
魅力的で存在感のある竹美との出会いにも助けられながら、拓実が向かうものは。得るものは。

読み終えて。
うーん、おもしろいけど、できすぎ!
ジェシー便利過ぎるし、竹美さんの登場の仕方は漫画みたいだ。
ポニーテール(後の方のね)の彼女も気軽に座らせ過ぎ。
トキオのラストもかっこよすぎだ。
拓実の改心っぷりも見事すぎ。
とはいえ、納得できるだけの材料は揃ってる。
元彼女の言葉、竹美さんの言葉、母の手紙、真実。
愛だよ愛、やっぱり愛。そんな感じ。

バック・トゥ・ザ・フューチャー根性叩き直し編、ほろ苦い涙付き。
面白いSFでした。


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言われてみれば、そりゃそうかも、と思ったけど、ほんと、ほっとした。

トキオも、幸せだったよね。
明日だけが未来じゃない。
素敵な言葉をありがとう。

※東野圭吾さんと手紙、とか分身とか悪意、とかで検索すると、ここのページがけっこう上位にきてしまいます。その価値があるかは一目瞭然なのですが(ないです。キッパリ)、もももしかして、ひひひ東野圭吾さんも、ちちちちらっと御覧になってたりしてててててて、なんてことを考えると嬉しくて眠れません。でもま、お忙しい方でしょうし、ないかな。何より、こんなとこ読んでホントお目汚しになっては申し訳ない。
でもまだまだ読んでくつもりなので、しばらくはヒットしちゃうのかなー。期待外れやんけ!と思ってるあなた様、ごめんなさい。※

時生



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2003年05月13日(火) 斎藤洋『海にかがやく』★★☆☆☆

海にかがやく
斉藤 洋
講談社 (1994/07)

小学校高学年から中学生以上向け?
もちろんそれ以上のおとな、おばさん、おばーさんでも楽しめるでしょう。
ジュニア小説ってジャンルになるのでしょうか。

主人公はひなびた漁村の少年二郎。
夏休み、お世話になっている漁師のじいちゃんから頼まれ、遊びにくる孫を迎えに行ったが、そこにいたのはちょっと生意気そうな、利発そうな女の子夏生(なつお)だった。
二人の交流、竜神の存在、夏祭り、危険な勝負「伝馬くらべ」。
訳ありの夏生の背景、伝馬くらべの陰謀(というとちとおおげさだが)、真相、そしてつぐない。
クライマックスは沖へ出て行く子ども達、時化。
「竜神を見せて」といった夏生は、果たして見ることができるのか。
無事に帰ってこられるのか。
淡い恋の行方は。

といったおはなし。わかるでしょうか?
読み終えると、プロローグとエピローグがじわわん、と胸にしみる。ほっとする。
そこそこのドキドキと、そこそこのワクワクと。
幼いゆえの純粋さ、青さが好感を持てる本でした。
青は青でも、独特の、澄んだ青。
それこそ、二郎の住む海の青。

そんな「青」に時折ひたるのは、オバサンにもいいのかも。

海にかがやく



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2003年05月10日(土) ユリー・シュルヴィッツ作・画 瀬田貞二訳『よあけ』★★★☆☆

よあけ
よあけ
ユリー・シュルヴィッツ 瀬田 貞二
福音館書店 (1977/06)

寝る前の読み聞かせに(もちろんおとなが自分で読むのにも)いい本。
『よあけ』なんだけどね。

オススメされているのを見て、借りてみた。
静かな、静かな、よあけの風景。
最初のことばが、『おともなく、』だものね。
言葉も厳選されていて簡素で美しい。
湖畔の寒さ、静けさ、清らかさ。
湖面をわずかになでるそよかぜの存在感
そういったものがしいぃんと伝わってくる。

たとえば、湖畔。
月の光がぼうっと湖面に照らし出され、黒い山々の姿も鏡のように映っているページ。
『つきが いわにてり、ときに このはをきらめかす。』
『やまが くろぐろと しずもる。』

わかるんかいな、と思いつつ読んだら、3歳の息子はいたく気に入った様子で毎晩リクエスト。

音のない状態、という「音」を感じられる絵本。
休止符の存在を実感できる本。

疲れた時に、神経がささくれだっている時に眺めると、安らかな気持になれそうです。
湖面が穏やかになるように、そして気持良く朝が迎えられるように。

よあけ



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2003年05月09日(金) 東野圭吾『宿命』★★★☆☆

宿命
宿命
東野 圭吾
講談社 (1993/07)

背表紙より。
「初恋の人、美佐子に別れをつげ、和倉勇作は苦労を重ねて警察官になった。その勇作の前に殺人容疑者として現れたのは、学生時代どうしても勝てなかった宿敵の瓜生晃彦だった。しかも美佐子の夫として!宿命を背負った二人の対決が極限に達したとき語られる、ただ「ひと言」の衝撃。感動の名作、ここに誕生!」

謎解きの意外性もいいけれど、別のタイプの意外性を想像したい、との著者の言葉が見返しにある。
最後の一行に一番気に入っている意外性があると。
だけど先に読んじゃダメですよ、と。

うん、絶対に読んじゃダメ。
この面白さが半減どころかほぼ全減といってよくなっちゃうので、やめといた方がいいです。

意外性のおもしろさ。
そうだね。東野圭吾さんはそこがうまいというか、おもしろいというか、好き。
読み進んでいくうちに、自分の中に構築されていく勝手な思い込み。想像。
それをひっくりかえされたり、まったく予想もしてなかった展開を見せられて、

「へっ?」

そして「えええーーーーーっ」
となるのが、読者は快感。少なくとも私は快感。
きっと作者はそれが快感なのでしょう。

このお話も意外性の連続です。
思い込みをくつがえされたり納得させられたり(あの人が犯人なんじゃないのーとか、サナエさんとの関係とか、逃げた現在有力者とか)満喫させられます。
ただ、ふたりの環境というか、生い立ちは痛ましい。
刑事ではなく警察官であることとか。
刑事がイジワルなのも、読者が彼に肩入れするような効果を狙ってるのかな。

さて、次は何読もう。

宿命



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2003年05月08日(木) 井上絵美『今はじまる、新ケーキ伝説』★★★★☆

今はじまる、新ケーキ伝説
今はじまる、新ケーキ伝説
井上 絵美
講談社 (2000/10)

料理本はもっぱら図書館から。
借りては眺め(るだけ)、そして返す(だけ)。
もちろんこの読書日記に登場することもほとんどなく。

…の私が、この本のレシピで昨日今日と2回シフォンケーキを焼いてみた。
できあがりは…感激!
シフォンケーキにしては丈が短かったけど、膨らまなかったという感じではなく、しっとりふわふわ、スポンジケーキのような生地。
しあわせ。

この本は、なにがすごいって、はかりを使わないこと。
『ケーキ作り=計量=面倒』
これで「やってみたいけど、なかなか…」「洗い物がたくさん出るし」と躊躇している人は多いと思うのだけど(もちろん私もその一人)、メジャーカップでざっくりはかる方法で材料は用意。
バターは200gが一般的なので、何等分したうちの何欠け、というはかり方。

例えばシフォンケーキ。
小麦粉1カップ、砂糖1カップ、卵4個、塩ひとつまみ、油と水が1/4カップずつ。
私でももうそらで言えるくらい、簡単。
ほんとに?と疑いつつ製作してみたら、めっちゃおいしそう、かつおいしくできあがって、びっくり。

今日はチョコシフォンを作ったのだけど、チョコを溶かすのではなく、ココアをお湯で溶く。なんでかなーと思ったら、その方が断然簡単でラクちん!

来週はこの本のバナナティラミスに挑戦する予定。
他にも、シフォンケーキのバリエーション、バターケーキ、クッキー、タルトのレシピなどがあったり、ホイップクリームの五分立てから泡立て過ぎまで画像も一緒に載ってたり、ケーキの配合表一覧があったり、お役立ちグッズの紹介があったり(買えねーよそんなの、というのではなくて、ほんとに身近で便利なグッズたち)、いろいろとレシピ本には感激してきた(するだけ)中で、これはホント優れものだと思います。
特にぐうたらさん(簡単に、めんどくさくなく、失敗なく、おいしいものが作れたらいいなー)に、ね。

ちなみに1700円税別。
入門書にもいいのではないでしょうか。
私のためにあるようなこの本、めいっぱい活用させてもらいたいと思います。

今はじまる、新ケーキ伝説



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2003年05月07日(水) 松岡圭佑『千里眼のマジシャン』★★★★☆

千里眼のマジシャン
松岡 圭祐
小学館 (2003/03)

446ページ。
読んじゃった。読み終えちゃった。終わっちゃったよぉ。
もっと読みたいよおぉ。

読んでも読んでも終わらない、『はてしない物語』だったらいいのになあ、なんて思っちゃう千里眼シリーズ。
でもまあそれだとさすがの岬美由紀も持たないし、敵も宇宙人とかになってしまうしかなさそうだからダメかしら。

お台場にカジノが出現!オープン前の興行で要人が集まる中、黒装束のテロ集団が彼らを人質にし、カジノに用意された400億円を奪い、海上自衛隊の原子力潜水艦の引き渡しを要求した!
イリュージョンのショーを始めようとしたところで劇場を占拠された里見沙希。
汚職警官として無為の日々を送っている枡城元刑事。
カウンセラーとして島内にいた岬美由紀。
知性を感じさせ、冷静かつ行動力、正義感も持ちあわせた案内係の米倉茜。
都知事を父に持つ、行革担当大臣の戸田。

絶対絶命の状況下で、果たして人質は無事救出されるのか。政府の対応は。

ま、岬美由紀がいるんだから大丈夫なわけで、どうやってこれらの困難をクリアしていくのか、がお楽しみなのだけど、それでもやっぱりもう、ドキドキ。
しかも『千里眼』と『マジシャン』のコラボレーションなんて、たまらない。
贅沢すぎます。

岬美由紀登場に関する謎もお楽しみの一つ。
ささいな違和感が育っていき、そしてどんでんがえし!
これにどの時点で気がつくかで「岬美由紀はまり度」が計れるような気がします。

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遅いかな?

もんのすごい面白さだから目をつぶっちゃうか、と思うけど、やっぱり変だよなあと思うこと。
なんでみんな「あの」岬美由紀の顔を知らない(ということになっている)わけ?あーでも知ってたらダメなのか…。こんなにおもしろーくならないものね。
この設定でOKOK!なので、是非是非また続きを書いて下さい>松岡様

千里眼のマジシャン



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2003年05月06日(火) かこさとし『あかですよ あおですよ』福音館書店★★★★☆

ちまちま系(?)をかかせたらぴか一のかこさとしさん。
「とこちゃんはどこ」「からすのパンやさん」「だるまちゃんとてんぐちゃん」でもちまちまと楽しませてくれているのだけど、この本もやっぱりイイ!
シンプルでおしゃれな装丁、サイズもちょうどよい。

海の中にある、たこのこどもの学校。
生徒はいっちゃんからろくちゃんまで6人。(6匹?6杯?)
先生が言います。「きょうはえのべんきょうです。みんなでえをかきましょう」
みんなは先生に言われた色で、思い思いに絵を描いていくのですが…。

あかい絵、あおい絵、みどりの絵、きいろの絵…。
最後は黒の絵を書いて、なぜだか授業が成立しなくなり、きょうのべんきょうはおしまーい、さよーならーとなってしまいます。
なぜかは読んでみてね!

たまんないなあ、好きだなあ、と思うところ。

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私のツボに入りました。こういうの、弱いんだ。
あくまで決まったものばかり描く、ろくちゃん。
つりざおを持って逃げて行く魚。
はさみを持った蟹。
懐中電灯を持って照らすのはあんこう?
本題と全然関係ないところでのこういう遊び心がくすぐったくて、楽しい。

そして、せんせいのほめことばが毎回違うこと。
しっかり、じょうずに、みごとに、すてきに、りっぱに、ていねいに。
そしてせんせいはとってもよろこんで。

3歳の息子はきっと、この「できた、ほめられた、よろこんだ」の繰り返しが心地いいんだと思う。5月最初の彼のヒット。
これは購入いたしましょう。



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2003年05月05日(月) 横山秀夫『動機』★★★☆☆

動機
動機
横山 秀夫
文藝春秋 (2002/11)

今朝みた夢は、とてもシビアだった。

二人の殺人を犯した私、逃げ切れそうにないけれど、発覚しないことを願い、しらばっくれ、焦る。アリバイを作るため特急あずさ名古屋行き(ない)に乗ろうとしたり、刑事の追及で観念したり。
逮捕後の夫と子どもの生活を想像して、申し訳なさと離れて見守ることができない寂しさに、後悔の念でいっぱいになる。でももう取り返しがつかない。なんて切り出そうか悩み、明日離婚届を用意して話をし、自首しようと思う。(婚姻届を出してないから無意味…というのは今日の夕方気がついた)

目が覚めて、安堵したのなんのって。
あまりのつらさに、ミステリー読むのをやめようかと思った。


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そ、それは『青の炎』だね…。私のシチュエーションもそういえばそうだ。
でもそれはぜーんぜん考えてなくて、獄中から手紙書くことも想定してた。

↑押すと続きが読める投票ボタンです。(別件のネタバレ注意!)
バンドやってる相方だけに、シャレになってなくて、イヤだーーーっ。

犯人(わたし)のお気楽ぶりからして、殺人を犯す所まで『青の炎』、その後は『手紙』になりきってたみたい。疲れた…。

ところでこの『動機』、評価は高いのだけど、私にはいまひとつ。
なんかグズグズいじいじとした話だなあ、という感想しかもてなかった。
『ネタ元』は職場での女性の扱いを軽んじ認めず拒否する男社会で奮闘する女性事件記者の話なのだけど、作者自身、本音はそのまんまなんじゃなかろうか。なんかこう『男の矜持』『男の美学』『男の意地』がじわじわと感じられて、読んでてしんどい。
『密室の人』ではそういう男の悲劇が書かれているようだけど、人間を『男』と『女』にびしっと線を引いて分けちゃってるのが、読んでてつらい。
『女』がステレオタイプ、描写が浅い。
それが胸の奥でひっかかってたような気がする。

が、4編入っている中の『逆転の夏』は今朝の夢の重い気持を思い起こさせてくれて面白かった。とうか、重かった。
悲劇だけれど、すこーし救いがあるような。あのラストでよかった。

動機



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2003年05月04日(日) アニタ・ジェラーム作絵/常陸宮妃華子訳『ぼくじゃないよジェイクだよ』★★★★☆

ぼくじゃないよ ジェイクだよ
ぼくじゃないよ ジェイクだよ
アニタ ジェラーム Anita Jeram 常陸宮妃華子
国土社 (1997/10)

んもーっうちの子ったらいいわけばっかり!!!

なんてことをよく思う時期のおかあさんおとうさんにおすすめの一冊。

少年ダニーと犬のジェイクはとてもなかよし。親友です。
いつだっていっしょ。
ある日、たいくつしたダニーは「いいこと」を思いつき、ジェイクと一緒にファッションショー。
やってきたおかあさんは「こんなにちらかして!」
ダニーは「ぼくじゃないよ。ジェイクだよ」。
ジェイクにもういたずらをさせないように言って(ここ重要)去るおかあさん。

続くいたずら、その度に「ぼくじゃないよ。ジェイクだよ」。
とうとう言われてしまいます。
「いいかげんにしなさい!なんでもかんでもジェイクのせいにするのは。」

でもって次のページでジェイクがそのいたずらの数々が不可能だったわけを説明するのだけど、ここがたまらない!
スコップをもったジェイクのかわいさには倒れそうになる。
最後のオチもいかしてる。

誰かのせいにしないこと、ちゃんと謝ること、罰を受けること、許すこと、ほんとうに仲良くするということ。
そんな大事なことをあたたかく、やさしく、おかしく、語りかけてくれる本。

息子3歳も気に入って、母親(わたし)が「こぉらぁー××くんがやったでしょぉおー」と芝居がかって叱る時は、にかっと笑って言うのでした。
「ぼくじゃないよジェイクだよ」と。
是非是非一緒に読んで、遊んで、たのしく、しつけもしちゃいましょう。
(そういう”教育的””効果”を目的にしたくないのだけど、この本はもれなくついてきてしまうのです。が、ほんとに楽しい本です)

ぼくじゃないよ ジェイクだよ



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2003年05月03日(土) 森絵都『DIVE!!1前宙返り3回半抱え型』★★☆☆☆

DIVE!!〈1〉前宙返り3回半抱え型

DIVE!!〈1〉前宙返り3回半抱え型
森 絵都
講談社 (2001/07)

ジュニア小説とか青春小説とかいうんでしょうか。
青くて酸っぱくて甘くて平和な、中高生向けの小説。

評判を聞いて借りてみたら、三十路の私に今さらって感じ?とかなり乾いた感性で読みました。
が、おもしろいです。
めちゃめちゃおもしろい、という程ではないけれど、続きが気になる程度にはおもしろい。

4巻あるうちの1巻。
紹介より。
「一瞬にすべてをかける競技、高飛び込み。謎のコーチの出現で少年たちはオリンピックをめざしはじめる。」

ダイブに青春(はずかし…)をかける3人(他にもいるけど)。
闘志のかけらもない、のほほんとした、でも「ダイヤモンドの瞳」もった知季。
悲運の天才ダイバーの孫、天性の才能を持った飛沫(しずくと読みます)。
恵まれた血筋と才能、努力で高い実力を持った要一。
祖父の悲願成就とクラブの存続をかけ、彼等をオリンピックへと導こうとする麻木コーチ。

知季を応援する「彼女」の美羽。
ダイブに時間も気持も割くのが必死の知季からいつしか美羽の心は離れ、最悪の結果をもたらす。そのショックから立ち直れない知季は重要な選考会への参加に間に合うのか。

と、盛り上がったところで2巻へ。

中高生の頃に読みたかったなあ、と思った。
「読書」が当たり前じゃなかったあの頃、誰か「ここにくれば、好きなだけ好きな本が読めるよ」って図書館に連れて行ってくれていたら。
そしたらお小遣いからやっとの思いで買った「赤川次郎吸血鬼シリーズ」や新井素子のSF、堀田あけみのハードカバーでいっぱいいっぱい、なんてことにはならなかっただろうに。

今頃読書少女もとい、読書おばさんになっても、ねえ。
今、楽しいからいいんだけど。ちと寂しさも。

DIVE!!〈1〉前宙返り3回半抱え型



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2003年05月02日(金) 谷川俊太郎+だれかとだれか『なんだかうれしい』★★★★☆

なんだかうれしい
なんだかうれしい
谷川 俊太郎
福音館書店 (2002/11)

月刊「たくさんのふしぎ」2001年4月号として刊行された『なんだかうれしい』を改訂、増補した増補版。

だれかとだれか、というのは19人いて、例えば、元永定正(『もこ もこもこ』の人)、長新太、スズキコージ(あ、6月に講演があるんだ。行こう)、和田誠、瀬川康男などなど。

いろんな人の、いろんな『なんだかうれしい』を集めた一冊。
絵や写真も楽しみつつ、ささやかだけど、なんだかうれしい「滴」が、胸の中でぱちんぱちんとはじけるのが楽しい。

たとえば。
朝露にぬれて光るクモの巣の写真。
「クモの巣ってきれいだなあ。」

新しい靴を机の上において兄弟でゲームに興じてる。
「新しいスニーカー、あしたはまだはかない。月曜日までかざっておく」

こんな定番の「なんだかうれしいもいいけれど、以下のような意味不明なのも長新太ファンにはたまらない。

「プフー! ねたきりのおじいちゃんのおなら」
「これは、ヒマラヤがインド洋まであるいてきたところ。」

最後の一ページ、机の上に卵がひとつ。
「きょうがあしたになる…」もいいね!
読み終えると、落ち込んでいても、明日が来るのが「なんだかうれしく」なる気がする。なにかいいことありそうな気がしてくる。


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やっぱこれでしょ!

ポストカードサイズで、もう少しページ少なくていいから700円!だったら即購入なんだけどなあ。

なんだかうれしい



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2003年05月01日(木) 斎藤孝文つちだのぶこ絵『おっと合点承知之助』★★☆☆☆

おっと合点承知之助
おっと合点承知之助
斎藤 孝 つちだ のぶこ
ほるぷ出版 (2003/01)

声に出すことばえほん。

付け足し言葉ですすんでいくお話。
おじいちゃんがにんじゃごっこをしようと提案、やってみたらキツイ。
おなかがすいたのでおだんごをこっそり盗み(そしてバレ)、「じつはワシおじいちゃんじゃないんじゃよ」というおじいちゃんは変身、忍者になってくもがくれ。そして帰宅するおじいちゃん。

各ページで一言ずつ付け足し言葉が大きく書かれてる。
『おはようごん左衛門』
『おっと合点承知之助』
『結構毛だらけ猫灰だらけ』
『ただいま帰ってキタキツネ』などなど。

大人と子どもで一緒に読むと楽しいと思うのだけど、大人でも楽しめる。
相方「『その手は桑名の焼蛤』って何?」(えっなんで知らないのー?)
私「『しーらんペッタンゴリラ』なんて聞いたことない…」
子ども『何か用か九日十日』『さよなら三角また来て四角』→中川ひろたかさんの『うみちゃんのまど』を思い出してる様子。(これも言葉遊び満載の絵本)

あとがきに、こういう軽口は人間関係の距離を近くするとあって、そうはいってもかえって「引く」場合もあるよね、なんて考えてしまう自分は寂しい奴だとも思うけど、さむいギャグを飛ばしたりとばされたりして、遠慮なく「さっむーっ」といえる関係、ここ数年作れていないなあとふと気づいた。

それ以前に。笑ってないかも。
それって、さむいかも。それこそ、さむいかも。

よーしそれじゃあ2ちゃんの笑えるスレへ。
↑それがいかんのでは…。

おっと合点承知之助



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