2003年03月29日(土) |
なだいなだ『どうでもいいようで、やっぱりどうでもいい話』毎日新聞社★★☆☆☆ |
『どうでもいいようで、やっぱりどうでもいい話』 なだ いなだ 毎日新聞社 (1989/10)
帯より。 『心の栄養になる、おとなのおやつ!! 一読すると、目からうろこが落ちたように、新鮮で上等な常識が、くっきりと見えてくる。ユーモアをまじえながら、さりげなく穏やかに語られる、示唆に富んだ大切な話。』
他の本と横並びで、3週間ほどかけて読んだ。 なので最初の方の話はもう覚えてないのだけど、好きだなあ!と思ったセリフとスタンス。
「そんなことはどうでもよろしい」
これがやたらめったら出てくる。 脱線も多くて、その最後に「そんなことはどうでもよろしい」。 妙なこだわりも、「そんなことはどうでもよろしい」。 だいたいタイトルが『どうでもいいようで、やっぱりどうでもいい話』だもの。
自分なりのおまじないの言葉を持っている人っていると思うけど、この
「そんなことはどうでもよろしい」
もけっこういけるな、と思った。
ついつい焦ったり、イライラしたり、許せなかったり、こだわってしまったり、気に病んでしまったり、悔やんだり。 そんな毎日だけど、これを歌うようにつぶやいてたら、心が軽くいられそう。 な、気がする。 気がするだけでやっぱり何も変わってないかもしれないけれど、そんなことはどうでもよろしい。 そんなことに関わってる間に、素敵な本が読めるもの。 そだね、時間がもったいない!昨日届いた『ゲド戦記5 アースシーの風』読まなくては! ああでも嬉しくって眺めるだけでまだ満足なの。嬉しすぎて開けられないの。 いったいいつ読めるのか。
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2003年03月25日(火) |
東野圭吾『交通警察の夜』実業之日本社★★★★☆ |
『交通警察の夜』 東野 圭吾 実業之日本社 (1991/12)
帯から。 『彼らの夜は終わらないーーー。 日夜、絶え間なく発生する交通事故。 その背後に渦巻く複雑な人間模様と、 事件解決に全力をつくす交通警察の姿を描く、 乱歩賞作家渾身のサスペンス!』
というわけで、信号無視、違法駐車、ポイ捨て、あおり、ノーヘルといった「つい」やってしまう「ささいな」行為が、こんな結果を生むこともある、こんな悲劇を生むことがある、という恐さを伝えてくれるお話が6つ。
恐い。 めちゃめちゃ恐い。 ホラーとして、ではなく、現実にありえるというか、実際ありふれた話だろうから。 違法駐車のせいで起きた事故も多いし(しかもそのドライバーはおとがめなし!死者が出ても)、ヘルメットやシートベルトをしていれば死ななくても済んだかもしれない事故だって、毎日多発しているだろう。 子ども持ちの私にとっては、チャイルドシートをしてない野放し状態は、目にするのも嫌だけど、それもありふれてる。 そして、どこかの不運な子どもがまた殺される。(親に!)
車を運転することが恐くなる。 いい加減に乗ってちゃいけない、と改めて思う。 車(そしてドライバー)は凶器になりうるということを、実感させてくれる、そういう意味でも評価したい。 小説としても、優れてるけどね。『捨てないで』『通りゃんせ』なんて泣けてくるよ。うう。
高らかに、私は主張したい!
↑押すと続きが読める投票ボタンです。(ネタバレじゃないのでご安心を) いいと思うんだけどなー。 今ドライバー、いつかドライバーのあなたには、一度読まれることをオススメします。
『交通警察の夜』
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2003年03月24日(月) |
北川歩実『僕を殺した女』新潮文庫★☆☆☆☆ |
『僕を殺した女』 北川 歩実 新潮社 (1998/06)
NHK朝ドラ『まんてん』がついに宇宙へ。 んなわけねーだろ、と思って醒めて見ている人がどれくらいいるのかわからないけど、夢を持ち続けることは、大変だし素敵なことだと、醒めつつも思うわたしでした。
一方で、この本は、んなわけねーだろ、という話なら面白かったのに。 疲れた。 途中までは真相が気になって読むのがやめられなくて、夜中の3時になってあきらめて就寝。 寝不足で起きてさっき読みおえ、ここまで体力使ってぼーっとなってまで得たものは少なすぎ。
ある朝めざめたら、大学生の僕は見知らぬ部屋で若い女になっていて、しかも5年後にタイムスリップしていた。 SFじゃあるまいし、小説じゃあるまいし、映画じゃあるまいし。 と主人公は謎を解くべく行動を起こすのだが…。
SFだったらよかったのに。小説だったらよかったのに。 これは後ろ書きいわく、『気鋭の新進作家がおくる超絶技巧ミステリー長編』。 そう、うそっこ物語じゃないのだ。 もちろんフィクションだけど、ありえる話。 とてもロジカル。
こういうのが好きな方にはよいのでしょう。 しかし、わたしは頭がゆるめなので、ついていくのがやっとで疲れてしまいました。
この人のはもういいかな、と思ったけど『金のゆりかご』はちょっと気になる。機会があれば、読んでみよう。
『僕を殺した女』
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2003年03月18日(火) |
東野圭吾『放課後』講談社★★★☆☆ |
『放課後』 東野 圭吾 講談社 (1988/07)
第31回江戸川乱歩賞受賞作。
ここから「東野圭吾」が始まった。(ホント?)
という気も確かにする、「若さ」を感じる作品。 すんごい一所懸命書いた、って感じ。うんうんうなって書いた、って感じ。 で、お話自体はやはり東野さん、めっちゃおもしろかったです。 いつもどおり、まったくラストが読めませんでした。 意外な結末にびっくり。
どんなお話かというと、受賞作品紹介のところより紹介。 『女子高校で起こった密室殺人事件。危険で純粋な現代女子高生の生態をイキイキと描いた本格学園ミステリーの傑作』
主人公は女子高の教師。アーチェリー部の顧問。 自分の命が狙われていると思っていたが、殺されたのは同僚の教師だった。 それも密室で。不可解な謎を残したまま、次の殺人が起きる。 密室のトリックは。犯人は。動機は。
↑押すと続きが読める投票ボタンです。(ネタバレじゃないのでご安心を) 動機が弱い、と選者の評にもあって、わかるようなわからないような。 いやでも殺意を覚えるかどうか、実行するかどうかはおいといて、他に例えようがなく恥ずかしい、いたたまれないというのはわかる。 せいしゅんじだい、ってそういうものだものね。
他の江戸川乱歩賞も読んでみよう。 世の中には面白い本がありすぎっ。
『放課後』
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2003年03月17日(月) |
東野圭吾『分身』集英社★★★☆☆ |
『分身』 東野 圭吾 集英社 (1993/09)
うわわん。 前評判なんか聞くんじゃなかった。 期待しすぎた。
面白い話でぐんぐんひきつけられて、終わりまで一気に読んだけど、けど。 これならまだ「秘密」「変身」「怪笑小説」の方が、自分の中では上位だ。 ということで、星はみっつ。
北海道と東京。 お互いを知ることもなく、別々に生きてきた双葉と鞠子。 性格も趣味も全く違うけれど、ふたりは瓜二つやそっくりさんどころではなく「同じ」だった。 双葉のテレビ出演をきっかけに、運命の歯車が狂い出す…。 出生をめぐる真相は。 自分のうまれた、存在する意味は。 分身とは。
二人の性格が全く違うのって、持って生まれたもの(遺伝)よりも「環境」の及ぼす影響が大きい(であろう)ことを強調したかったのかな、と思った。 どちらも、とても魅力的なキャラクター。双葉の母親(育ての)の強さもいい! 小道具のフルーツがにくいね。
なんでいまいちだったのかなーと考えてたら。
↑押すと続きが読める投票ボタンです。 そりゃーいまいちだろう。 いざ活躍!(敵陣に乗り込み、人質救出、悪をやっつけ、ついでに駐屯基地から飛行機乗っちゃう)というところで鞠子のよわよわそうなおとうさんが××しちゃてラストは××…。こんな千里眼ないって。 千里眼ちゃうって。 違うけど、双葉、かっこいい!鞠子もいじらしい。
というわけで、面白かったです。こういう楽しみ方もありかと。ほんまかいな。
『分身』
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2003年03月16日(日) |
まついのりこ・ひょうしぎ/脚本・画『ごきげんのわるいコックさん』童心社★★★★☆ |
『ごきげんのわるいコックさん』 まつい のりこ ひょうしぎ 童心社 (1985/06)
先日行ったまついのりこさんの講演会。 紙芝居の実演をしてくださった。
お話自体も素晴らしかった(とても、大事なメッセージがたくさんこめられてた。さらに、美しい日本語に触れられた)のだけど、これまた貴重な体験をさせてもらった。
子どもも、昔子どもだった大人も、「共感の喜び」を感じることができた。 その場でしてくださった紙芝居の3つのうち、二つを購入してみた。 アマゾンでは紙芝居が買えず、es-bookで購入。
届いて、さっそく開封。新品っていいなー。(めくりにくいが)
↑押すと続きが読める投票ボタンです。 さすが名作。他のもどんどん買いたくなる。 ママサークルに持ってってみてやってみよう。 図書館ボランティアでもやってみてもいいな。
わかってても、ツボでは何度もはまり、にっこーっと嬉しがる、今子どもの人の反応は、昔子どもだった私の心も嬉しくさせてくれるのがいい。 小さいお子さんがいて、読み聞かせ大好きな親御さん、今からでも遅くない、紙芝居もどうぞ本棚に! 「めっかい!」「もっかい!」で大変ですけど…。
『ごきげんのわるいコックさん』
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2003年03月15日(土) |
アネッテ・カスト・ツァーン著古川まり約『愛情の次にたいせつな子育てのルール』主婦の友社★★★★☆ |
『愛情の次にたいせつな子育てのルール―ドイツ流・子どもの心がわかる本』 アネッテ カスト・ツァーン Annette Kast‐Zahn 古川 まり 主婦の友社 (2001/10)
副題は「ドイツ流・子どもの心がわかる本」。 原題は「どんな子どもでもルールは学べる」。
ドイツでは、今の日本のちょっと先を行っていたらしい。 子どもの意志を尊重する育児方針、ものわかりのいい親になろう、友達のような親になろうとしていた80年代。 社会全体がものわかりのいい大人たちになった頃、不登校、万引き、教室徘徊など非行が問題化。 90年代に入ってから「しつけ」が見直されるようになった。
しつけとは。 訳者いわく、「親が必要と考える、共同生活や社会で生きるために必要なルールを子どもにきちんと教えること」。 押しつけの弊害を恐れるばかりで、子どもにルールをきちんと教えなかったことが問題の根本にあったという結論になったそうだ。
そういう風潮の中でベストセラーになった一冊がこれ。 読んでみて、うなづけることが多かった。 反省した。学んだ。やってみようと思った。 実は相当煮詰まっててイライラしていて、秘密の落ち着き処に逃げて、そこで一気に読んだ本。いいタイミングで、いい本に出会えた。
訳者あとがきから。 『「しつけ」や「ケジメ」とは、親の言うことをよく聞く子どもを育てることではありません。著者は、「家庭や学校といった共同生活に必要なルールを伝え、子ども自身が納得したうえでルールを守る子どもに育てる」ことを言いたいのです。』
その通り! そう思う。うまく生きる術ではなく、よく生きる術を身に付けてほしい。 自分で考え、判断し、選び、責任をとる。 それができるようになってほしい。できるように手伝うのが親の役目。
なーんて立派なことを考えてはいるものの、現実には親の言うこと聞きなさーい、時々無茶なこともあっ言ってしまった、怒鳴ってしまった、八つ当たりしてしまった、無視してしまった…だめじゃん…の繰り返し。
最近子どもが反抗心をあらわにするようになってきた。 相当育てやすい、よくもわるくもイイコなので、少しホッとしてもいるのだが、何分未熟な自分は「むっかーっ」ときてしまい、大人げない反応をしてしまう。 彼のにらみ方は、私の真似。怒鳴り方も、私の真似。当たり方も、私の真似。 彼は「学習」した通りにしてるだけなのに。
がつーんときたのは、140-141ページ。 『こうした非難は、子どもの行動に対する「正しい批判」ではありません。 子どもの人格を否定し、子どもを軽蔑することです。 これによって、子どもの心にはどんな感情が引き起こされるでしょうか。 子どもが「態度を改めよう」と思うことは、まずないでしょう。 「あなたに注目されたい」、「顧みてほしい」という欲求が強くなります。 このため、子どもが仕掛ける「親の関心をひくための戦い」を激化させることになるでしょう。』 「非難は、子どもの自尊心を打ち砕きます。 親からの非難は、ものすごく大きな破壊力になるのです。 子どもの自尊心を一瞬のうちに、粉々にしてしまいます。 どなることで、さらに破壊力はアップします。」
そう、私が怒りにまかせて無茶や理不尽なことを言った後の彼の瞳は、自尊心を傷つけられた怒りの色でいっぱいだ。 自分も通ってきた道で、通らせたくない道なのに。 虐待の連鎖ってやつでしょうか。
自尊心を砕かれるとどうなるか。よくわかってる。 なにもかも、どうでもよくなるの。自分は無価値、いない方がいいんだって思う。守らなくては。大事な子どもの自尊心、それからこれからの人生。
買おうかなぁ。いい本だと思う。 「がんばれおかあさん!」でもなく「よい母になるべしです」でもなく、「こういうコツがありますよ」だから、聞き入れやすい。実行しやすい。 秘密の気分転換癒しどころから帰る道中では、「今日のこと、謝ろう。明日いっぱいつきあってあげよう。本だっていっぱい読もう。一緒に遊ぼう」と神妙な心映えに変わってた。 帰ると、ずーっとママ、ママ、と待ってて寝ちゃった、と。
くうーっ。 こんなにかわいい子どもとの時間、ほんとうに、大事にしなくては。
『愛情の次にたいせつな子育てのルール―ドイツ流・子どもの心がわかる本』
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2003年03月13日(木) |
中村牧江/さく林健造/さく福田隆義/え『ふしぎなナイフ』福音館書店★★★★★ |
『ふしぎなナイフ』 中村 牧江 林 健造 福田 隆義 福音館書店 (1997/02)
息子2歳10ヶ月の反応が、★いつつ。 購入決定。743円(税別)
見開き、まっしろなページに、ナイフがひとつ。 ページをめくる度に、形がかわる、動きがある、不思議なナイフ。 まがったり、ねじれたり、切れたり、ちらばったり、のびたり、縮んだり、ふくらんだり。 そして…。
この展開に、子どもの目は釘付け。 自由な発想に、大人も楽しめる。
最後の絵には言葉がないのだけれど、口をついて出てくるから大丈夫。 うちの息子も「××っちゃった…」と嬉しそうに言ってくれる。
絵も、文(というか単語?)も展開もシンプルきわまりない、お話。 なのに「めっかい、めっかい」コールがすごくてびっくり。 今日は散歩中に「すべりだいが、ねじれる!」とアレンジして楽しんでいた息子でした。 外国の方にプレゼントしてもおもしろそう。
『ふしぎなナイフ』
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2003年03月12日(水) |
田中和雄/編『ポケット詩集』童話屋★★★★★ |
『ポケット詩集』 田中 和雄 童話屋 (1998/11)
昔から心の琴線に触れた言葉を集めるのが好きで、ノートにまとめたいなあと思ってました。 そして、かなりいい線いってるこの本に出会い、やっと購入。
「人を殺してしねよとて24までを育てしや」「自分の感受性くらい自分で守れ ばかものよ」「ホメラレモセズ クニモサレズ」といった、青かった日々にがつーんときた名文がつまった一冊。 ま、今も青いんですけどー。
そばにおいて、時々喝をいれてもらうのによいです。 泣きたい時に励ましてもらったり。 処方せんはいろいろ。
茨城のり子さんがお亡くなりになりましたね。 彼女の『自分の感受性くらい』は腐りそうな気分の自分に喝を入れてくれる詩。 またゆっくり読み返したいと思います。
ほんと、ポケットに入れておきたい詩集。
『ポケット詩集』
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2003年03月11日(火) |
東野圭吾『怪笑小説』集英社★★★★☆ |
『怪笑小説』 東野 圭吾 集英社 (1995/10)
毒笑小説につづき、こっちも笑わせてもらいました。 おもしろいよーすきだよぉーこういうの。 ばかばかしくて、でも下品ではなく、発想と展開とオチで笑わせる。 読めないオチもいいけれど、だいたい読めているオチに向かってひた走り、そしてどうだーっとオチがつく。 読んでて楽しい。 こういうの、もっと読みたい。
それぞれについている作者のあとがきがまたぴりっときいてて、いい。
ねたバレになってはつまらないので、タイトルだけ紹介。 私が面白かった!と思う順に並び替えてみます。 (ばかばかしいのが好きなので、その順かな?)
超たぬき理論 しかばね台分譲住宅 動物家族 無人島大相撲中継 あるジーサンに線香を 鬱積電車 一徹おやじ おっかけバアさん
どれもこれも、オチを思い出すだけでにやけてしまう。 くだらない。でもおもしろい。たまらない。 もっと読みたい!
『怪笑小説』
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2003年03月10日(月) |
東野圭吾『同級生』祥伝社★★★☆☆ |
『同級生』 東野 圭吾 講談社 (1996/08)
女生徒の交通事故死。 彼女は妊娠していた。 彼女を追いつめた教師の死。 そしてさらに事件は起きる。 女生徒の「恋人」だった主人公の所属する野球部は大会に出場できるのか。 妹春美の病いの理由は。 真相は、一体どこにあるのか。
てな感じですすむお話。 東野さんは他の小説でも書いてらしたけど、「教師」というものに嫌悪感を 感じてらっしゃる。それがストレートに伝わってくる。 そう、大学出てからずーっと閉鎖された学校社会にいて、「社会というのは そんなにあまくないんだぞ」としたり顔で言われてもねーっての、わかる。 自分も教育実習やら家庭教師やら塾講師で「せんせい」扱いされて、困った。 もちろんやるからには「らしく」ふるまいたいと思ったけれど、「せんせい」に内包される「尊敬されてあたりまえー」という空気に違和感を覚えたのだろう。
「せんせい」が尊敬されるのではなく、尊敬できる「せんせい」が尊敬できるだけなのだ。
推理小説でもあるけれど、これは青春小説といった方がしっくりくるような気がする。 主人公の大人びた点(頭のよさ)と、稚拙な部分が交錯しているところがいかにも高校生で、甘酸っぱい印象。 読みながら、林真理子さんの『葡萄が目にしみる』だっけ、を思い出した。
私にも、こういう時期があったなあって。 せつなくて、バカで、恥ずかしくて、楽しかった、そんな時期が。
たまにはこんな風に自分の過去に触れてみるのも、いいのかもしれない。
『同級生』
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2003年03月09日(日) |
東野圭吾『学生街の殺人』講談社文庫★★☆☆☆ |
『学生街の殺人』 東野 圭吾 講談社 (1990/07)
さびれた学生街のビリヤード場で働く主人公。 脱サラした松木が殺された。不思議なメッセージを残して。 第二の殺人が起こる。それは主人公の恋人だった。 事件の犯人は、真相は。そして、進むべき道を見つけられない主人公は、それを見つけることができるのか。
長編小説。 といってもこの人のものはいつもこれくらいかな? おもしろくてどんどん読んでしまうので、長いとは思えない。 しかしこの本はゆっくり読みました。 他のを併行して読んでて、ついつい後回しに。 なので自分の中ではたまらなくおもしろい、先が気になる話ではなかったということでしょう。
そうだね。 推理ものよりも、『変身』とか『秘密』みたいなのが好き。私はね。 松岡圭佑さんだと『煙』。 三浦綾子さんだと『母』。 もういいって。
てことで、中断すると、登場人物が多くてわけがわからなかった。 でも、ぐぐっと途中から面白くなるのがこの人のお話。比較的あっさり犯人がわかる。でも、本のまだまだ途中。まだずいぶんと残ってる。 絶対に、裏があってくるくるひっくり返る! この人のは、それが面白い! で、読み進めるうちに、真相があきらかになるのです。 読み終えて気が重くなるような、かなしくなるような、ほっとするような、結末。 主人公がひとつ成長したように感じられるのがいい。 『放課後』『卒業』も読まなくちゃ。
『学生街の殺人』
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2003年03月08日(土) |
松岡圭佑『千里眼 洗脳試験』★★★★☆ |
『千里眼/洗脳試験』 松岡 圭祐 小学館 (2001/03)
あの戦後最高のテロリスト、有里佐知子が生きていた! これまでの危機を上回るさらなる挑戦を受けた岬美由紀と嵯峨敏也。 4千人の人質は救えるのか。 絶体絶命の状況の中、美由紀は助かるのか。 そして、少年は。 疲れて虐待に走り投げやりな母は。 嵯峨の心の危機は。
冒頭から、すごいです。 京都の人々が危機にさらされてしまいます。 液体窒素を充填した飛行機が落ちてきそう。 パイロットは道真の手がうんぬん、とか言ってる。 さぁどうなる。
もうだめ、ああだめ、絶望だわ、という状況が、「絶対あきらめない」ヒロイン、美由紀によって救われる。 こんな小説みたいな話があっていいのか。 小説だからいいのだ。 なんだけど、わかっていても、オハナシでも、どきどきしてしまう。 せつなくなったり、かなしくなったり、うれしくなったり。 エンターテインメントというのはこういうのなんだね。
分厚い本なのに、ほんと数時間で読んでしまう。 だって、おもしろいんだもの。松岡さんたらっ。
あえて言うなら、ボートの上での語り合い。議論はぐぐっとこなかった。 美由紀と佐知子の頭のよさに私がついていけなかったのでしょう。
ほんとおもしろかったよー。 蒲生さんも好きよ。 この夜見た夢は、なんかスケールがでかかったです。
次は、何が待ってるだろう。楽しみ。
『千里眼/洗脳試験』
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2003年03月07日(金) |
赤川次郎『素直な狂気』角川書店★★☆☆☆ |
『素直な狂気』 赤川 次郎 角川書店 (1994/02)
ミステリー6編。 子どもに中断させられても「んもーっ!」とならないくらいの、面白さ。 でも、なにかが心に残った。
一番面白かったのは、『皆勤賞の朝』。 厳しい校長のいる名門小学校。 そこでただ一人、皆勤をとおした主人公。 熱があっても、注射で下げ、天候不順も用意周到にすることで乗り越え、いざ表彰される卒業式に向かう朝。 主人公は間に合うのか。
前日に、通学途中に邪魔をする犬を弓で射ぬく。 それも平然と。 何かがおかしいのだけれど、母親の異常さが一番恐い。 「何がおかしいの。うちの子が皆勤をとおすのに邪魔なんだから、殺されたってあたりまえでしょう」といわんばかり。
そして、せつなく、かなしい、ラスト。 母親はまだ食い下がる。気付かない。気付けない。大切なことに。 皆勤よりも、表彰よりも、プライドよりも大切なことに。 その天然さが、痛すぎる。
アガサ・クリスティの『春にして君を離れ』と同じ痛さだ。 でもこの母親は気付かないままかもしれない。
気付いたつもりの、自分も、やっぱり変わっていない。 だめだなぁ。
『素直な狂気』
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