テスト前だというのに風邪をひいて呻いていたら
風邪の時は水分のある果物が一番、と言いながら
友達が家まで桃を持ってきてくれた。
奥までやわらかな果肉、
表面のほのかなピンク色、
それから少しざらざらした皮の感触。
桃を触っていると誰かの顔に触れているような気分になる。
頭を寄せ、
触れるか触れないかというところまで近づけると
頬の薄い産毛が触れ合い、そこからかすかなぬくもりが伝わってくる。
とても優しい感情が湧き上がってきて、息が震える。
夜8時、大学の図書館から徐々に人が減っていく。
夕食後の勉強はダレ気味、
ぼんやりと携帯をいじりながら過去のメールや写真を見返したりする。
その時ふいに音が聞こえ、建物がかすかに揺れた。
あ、花火。
友達と慌てて研究室のある高い建物に上って外を見た。
湖の向こう、遠くで花火が咲いては散りを繰り返すのが見えた。
黒の上に咲ける花火は強い。
せっかくセールで新しい服を買ったのに
こんな天気じゃなかなか着れないよね、と話している。
どうせ初めて袖を通すなら、やっぱり晴れてる日がいい。
試験が近付くに連れて、減っていた大学内の人口がまた増え始める。
食堂が込み、講義では席が足りなくなり、
わたしはなんだかぐったりとなる。
せめて空が晴れてくれたら、こんな気持ちも少しはマシになるんだけど。
2005年07月09日(土) |
わたしの中のある乖離 |
刻一刻と試験が近付いてきて、
なのにいらないプレゼンやレポートやなんやかんやを抱え込んで
あっちへこっちへと忙しく動いている。
1日が36時間あったならどれだけ気が楽になることか!
大学から帰ってきて荷物を床に置いたら
服も着替えずベッドに倒れこんでそのまま寝てしまう毎日。
こころに体がついていかない。
せっかく一つしか入れていない授業が休講で大学が休みだったのに
バーゲンでお金を使い果たして所持金が300円だったので
さすがに色々まずいと思いお金を下ろしに登校した。
色んな方の日記を読んでも、週末はバーゲンに繰り出していた人が多いようで
どうりで昨日のデパートはすごい混雑だったわけだよ、と納得がいった。
新しい服を来て歩くと、ちょっと気分が違う。
けれど雨は憂鬱だ。
歩けば水が跳ねてスカートの裾を汚し、
肌はべたべたと嫌な汗をかき、
髪の毛は湿気を吸ってやたらその存在を主張しだす。
貸したノートを返してもらうため、図書室で友達を待っていた。
いつ来るのかもはっきりしないその人をぼんやりと待ちながら
窓ガラスを打つ雨の軌跡を目で辿れば
すぐに気分も沈んでゆく。
降ったり止んだり、雨の勢いが変わるたびに
外の景色が現れ、水の流れにかき消されが繰り返される。
遠いところで何かが鳴っている音がした。
雷か、風の音か、それとも他の何かか。
まるで海鳴りのようだと瞳の奥で記憶が疼いた。
急に梅雨らしい天気になってきた。
雨が降ったり止んだり降ったり止んだり降ったり。
夜になるとぱったり我が家方面のバスがなくなるので
ぐずぐず降ったり止んだりされるとホントに困る。
歩いて帰るのもしんどいし、
雨の中自転車を漕ぐのも危ないから気が乗らない。
はやくからっとした夏にならないかな。
とどめようがなく肌の隙間に入り込んでくる湿気に
静かに心が沈んでゆく。
水溜りがぬるい泥水になって
サンダルの隙間から赤いペディキュアを汚す。
降るな、降るな、と念じて握る手の甲に
かすかに浮かぶ青い線
その儚さに喉が鳴る。
欲しい、
暑さのせいかとても喉が渇いている。