ひとと会った後の自分はどこか凛として見える。
自分にだけそう感じられるのかもしれないけど、どこか尖った一方で艶めかしい。
それはさんざ舐られた肌のせいかもしれないし、
呆れるほど啜ったあのひとの蜜のせいかもしれない。
肌の上にまだ残る、あのひとのやさしい匂い以上に馨しいものなんかないと思う。
むかし僕はベッドの上だけで世界は繭のように閉じると思っていたけれど、
今はすべてがここに在ると思う。
ベッドの上から世界は創られる。
暖房を点けることすら忘れて合わせた肌を、夜がゆっくりと冷ましてゆくのを
灯りを落とした薄闇の中でゆるく抱き寄せている。
肌の隙間がないほどに抱き合うのなんて孤独を埋めるためだけだと思っていた。
愛しさを表すためだけに、唇が乾く間もないほどキスをして、
ひとの喘ぎが僕の次の鼓動になるように(もちろんその逆も)
高鳴りを合わせ熱を分け合っている。
頭のどこかでこれは祈りの儀式だと思っている。
その神聖さと忘我に何も誰も、割り込むことなんかできない。
できはしない。
it's just a love affair.
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