2008年08月24日(日) |
記憶のガレージセール |
発掘した昔の手紙をざくざくと捨てていく作業。 ふと手に取った手紙には9年前の日付、ふざけた差出人名、きつく崩れた読みにくい文字。
「でもあなたは私を愛していないでしょう?」
あぁ、こんな昔から、同じことを何度も繰り返して、繰り返して、
馬鹿みたいだ、
こういうことが愛情だと思っていた頃もあり、 恋愛だと思っていた頃もあり、 ただ何か、自分独りでは持て余す何か火照るものを、寄り添わせて何か崇高なものだと勘違いしていた自分のことを、
すっかり忘れて朴訥な何か幼い者のような顔をして
おかげですっかりブルゥな心持ちで一日過ごす。 そもそも悪いのは自分自身なので本当にやりきれない。
近頃じゃ恋愛なんてとんとご無沙汰なのでまだ何とか落ち着いている。 もうホント、僕は恋愛に向いていない。 早く眠って、また忙しく働こう。
あのころは、
愛が何かとても崇高なものだとか
勘違いしていたね、
とそんなふうに笑わなきゃいけないみたいな生き方はしたくなかったよ。
あのひとが好きだった、 死ぬほど好きだった、 ただ熱のこもったような頭で 別のヒトと泣きそうになりながらキスをした、
人が人を殺す夢を見る。 親族が殺されていく夢。 兄が、殺されるために隣室へ呼び込まれて入っていくのを見、鈍い音が響くのを聞いて、続きを見たくなければ目を覚ませばいいのだとようやく気付く。
死んでぶら下げられた何体かの死体の中に自分がいないのを見て、 あぁあの見も知らぬ顔をした幼い子供が自分なのだと気付く。
しかしその夢の中では、殺害者の云うがままに人を呼び入れ鴨居にぶら下げるのを手伝い真っ白な顔をしているのは確かに私なのだ。
白々と明けた朝のカーテン越しの薄明かりに、目を開けろと自分を叱咤して覚醒してから少し、泣いてしまう。
血の色が赤くなかったのをまだ憶えている。
昔から時々、人が死ぬ夢を見る。 そこにはいつも家族の姿がある。 血が絡めば判断が狂い、情が絡めば憎しみが混じる。 それだけに目覚めたあとの後味の悪さは格別だ。
|