あきれるほど遠くに
心なんか言葉にならなくていい。

2006年10月26日(木) 不道徳





  あいたい、と思うことはこんなにも不道徳な概念だったろうか。




足跡が揺れて、遠く伸びていくのを
窓からずっと見下ろしていた。

雨は白く霞むように降り続ける。

心がなぜ、こんなふうに停滞したままなのか理解したくなくてぼんやりする。

ここには、
口にしてはいけない想いが多すぎて
言葉にすることも躊躇われて
たとえ心の中でも具体化したくないので
(心の中で思うだけでもそれは、誰かに伝わってしまいそうで)




たとえば、
あいすることが
やさしくするということでなく
やさしくするということが
あいするということでないとき

もうやさしくしたくないのであいたくない と思うことは

たぶん間違っていないと思う

もうやさしくできないのであいしたくない と思うことも

もしかしたら間違っていないのだと思う

どちらも僕だけの正論、僕だけの言い分。





あのひとは、たぶん
とてもさみしがりなひとだったのだ、と
今さらのように思ったりしている

ひとのこころがほかのひとのこころと
どうしてもどうやっても全く同じには重ならないことが

あのひとにはどうにも哀しかったのだ。

たったそれだけのことを
僕は白黒の映画を眺めながら呆然と思ったりしている。










↑ゆるやかな離陸のあと

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あのひとはずっと僕の頭上にホバリングしていて、
どこかのヘリポートが海に呑まれてしまうのをずっと見ている。
それを僕はたぶん、
哀しむこともできない。





2006年10月23日(月) irritating






急な電話。
あるところ からの。
(つまりそれは、もう縁もゆかりも無いだろうという勝手な思い込みのもとに忘れてしまっていた場所のこと)

残されたメッセージに、少しだけ思考が停滞する。


あぁどうしよう、と。
どうやら少し動揺しているらしい。


なんとなく思っていたのとはやっぱり現実は違っていて、普通に薄情で普通に成り行きどおりの展開で物事は進む。
秋は、
かなり苦手かも。
しかも神戸あたり。

何の脈絡も無く、姫路に行きたかったのを思い出す。
美術館に行きたかった。
どうしよう。




このところ何かの病気じゃないのかと思うほど昼間眠い。
たぶん夜あまりよく眠れていないのだと思う。







↑表面上は無表情。

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なんだかひどく、馬鹿みたいだ。




2006年10月19日(木) 夜もすがら







夜。
どことなく春のようだ。






夜の空気がとても好きだ。
息を殺すみたいに耳を澄ますと、静けさが染みてくる。






ひとのことを考える。
何度も何度も。
まるで死んでしまった人を想うみたいに考える。
愛しいひとのことを。
ただいつまでも忘れないだろうひとのことを。


どこにいるのかしら、とか
何をしてるかな、とか
穏やかに穏やかに、ただ




   会いたいというようなことを。







この心の何割かはあのひとのものだ。
そしてこの物思いの何割かをきっとあのひとは共有している。
だからまだ穏やかに、息を殺して耳を澄ましていられる。



  遠くへ、どんなに行きたいと願っても

行けないことくらいわかっている。
だけどただ、一緒に行かないかと言ってみたかった。






あの日、

もうあのひとに、言葉ではなにひとつ語らないと決めた。

   それが間違っていたとは思わない











↑そしてそれはとても、想っているというだけのこと

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2006年10月11日(水) そしてここではないどこかで立ち止まる日を夢見ている





少しでも遠くへ、行きたい。
そう思うことはまだ多く強い願いで。

だけど傍らに手を、求めなくなった。
愛情で縛られるのも縛るのも、僕にはきっと、業が深い。





どこへ行こうね、と問いかける。
返事はない。
遠いから、それは、とても。
僕の求めるものはたぶんとても遠くにあるから。

泣きそうになるのはきっと、僕がまだ思い切れないひとのせいではない。







2006年10月08日(日) 深夜、君なしで






あのひとは僕の半分を持っていった。
だから僕は亡くした自分の半身のために泣こうと思う。







まるで恋をするみたいに笑って、恥じらって、目の前にいるあのひとだけを決して見ないで、
恋はなんて遠い存在かと思った。

  きみをきみだけをあいしています

言葉遊びのように。
愛情なんてどこまで自己中心的なものかと。


会いたいひとがいる。
だけどどこまでいっても会えないと思う。
心を騙すような恋、そんなものはもう十分だ、とか。
けれどそれもまた自業自得だ、とか。






  早く早く帰らなくてはと思うたびにどこへなのか迷う










↑目が乾く

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そして日々は飛ぶように過ぎて、いけば

---And the years go past so fast







2006年10月06日(金) 反復する現在





目的があれば生きられる、と書いた。

きっとそれは間違いじゃないけど。



 *



濡れた髪が少し重く、て額からかきあげる。
明日が明日じゃないように思うのは灰色な明日と明後日とその次との積み重ねが同じだけの重さでドミノ倒しのように続いていくから。

今日がぱたり、と倒れる。

明日もそれにつられてぱたり、と倒れる。

そんなふうに、かた、かた、かた、と毎日が終わっていくだけ。
その反射的にエンドレスな一定限度の反復を、重いととるか耐え難いととるか、あるいは退屈ととるかは視点の相違に過ぎない。



 **



指先に銀の輪、
一切合財捨ててしまおうかと思いながら、
感情が少しずつ瞬くのを惜しんでいる。
ここにまだ、心があるのかと、
それはまるで季節を惜しむみたいに。









↑だから言葉にもできない。

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