12月の朝の寒さに凍る橋を、渡ってゆくとその家は木立の向こうにひっそりと建っていて、 僕はひとつ、タメイキをついてその家の門扉を開ける。 ほんの10分、懺悔を聴く告戒僧のように ここは僕の罪悪感に似合う。 そんなことを思いながら静まりかえる家のドアに鍵を入れる。 埃っぽい階段を上がっていくと その家の住人はまだベッドの中にいて、薄く目を開いて僕を見る。
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結局、と。 憎まずにいられないのは僕だということ。 そしてまた僕もきっと憎まれてしまうのだということ。 けれどそれはいつか 安堵に取って代わられてしまうのだということ。
そしてかなしいのにいとしい、と いうこと。
ばかみたい、って、
ヒトの笑う声を聞く。
2004年12月28日(火) |
雨が近い、と父親の声 |
誰に、でもなくその肌のぬくもりに対して、
あいしてる、
と言ってみる。
言葉が一瞬の真理で 後悔がそれを洗い流すとしても 僕はただ、あたたかな肌が欲しいと思っている。
この指はあまりに容易くこごえて今またとても冷たい
この僕の混乱を誰も 誰も愛してはくれない気がする。 嫌悪はいつも翻る。 翻って僕自身に還る。 小さくうめいて、 眠れない夜を頭痛のする朝まで持ち越していく。
さみしいのは錯覚だ、と言ってみる。 案外それもまた真理かもしれないと思う。
こうやって、僕は恋だとか愛だとかの重苦しい部分を器用にすり抜けるだけの技量を身につけて、あのひとのまっさらな目のような痛々しさも失くして、そうやって生きていくんだろうか。 なんだかもう、そんなの元からわかっていた気がする。 はじめから。 僕は常に異なる分子なのだと。
帰り道、 つきあかり、を、 肩から腕にかけての素肌に感じてつめたくこごえる。 まっしろなつき。 雨のほうがいい、と思う。 こんな夜はヒトがそばにいるとダメだ。なんとなく。 ダメだ。 トリハダ。 震えるゆびさき。いたむ、のは、 触れられたくないニンゲンに触れられる肌。 さわるな、と。 魂がおびえる気配がする。
僕はたぶん、間違ってる。 あしもとから。 だけどもう、賽は投げられ足は踏み出されてしまったのだから、僕はもう取り戻せない自分を惜しむつもりはない。 僕は助けを求めない。 欲しいものはひとつだけ。 なのに声は出ず視線も腕も禁じられて朝がまた来る。 呪うと言うなら神様、
僕は12の歳の僕を呪うだろう
年末というモノにかまけていたら、いつのまにかクリスマスが終わっていた。
という感じです、皆様コンバンワ。 若干嘘がありますが僕はまったく気にしません。 しかし24日のデパートはすごかった・・・。 ケーキ売り場に行列が! てゆかケーキってみんな食べるんだ、やっぱり・・・。 (→ここにケーキ食わなかった人間がいます!) うにゃー、天邪鬼も極まれり。 なんてゆーか、今年はクリスマスに踊らされるのに無意識に抵抗してた感があります。 びみょうだ。 うん。
しかし年末、あと5日ですな。 さっさと終われー。 あんまり忙しいので時々切れそうになります。 てかあれは切れてるのか。自分ではわかんないけどさ。 うにゃ、休みの日でもがんばって遊んでるからな! そりゃ疲れも溜まるわ。て思います。 今日も既に眠さ極限だー。 新年は嬉しいことも多そうなので、とりあえず年末は乗り切ります! 明日は年賀状つくらにゃー(疲
日当たりのいい部屋ですこしだけ眠る。 目を開けると部屋があおいろに染まって見えて、夜が近いのかと思って少し慌てる。 もうすこしだけ、とごろごろしていると窓の外を光る雨が通り過ぎていく。 それから近くにあったスーパーに買い物に出掛ける。
2004年12月21日(火) |
inside grave |
僕はそろそろ墓を暴かなくてはならない。
白い、四角い部屋は天井が低くて、なのに曇った感じに白い壁はただすこし息苦しいだけで。 それでも時間に削られていく忍耐力はどこからか不協和音の軋みを届けてくる。 僕は自暴自棄なんだろうか。 よく、わからない。 自分自身を分析するのはかなり前にあきらめた。 根源的な問題点が見つからないのだからどうしようもない。
休みのたびにさまざまなヒトに会う。 泥のように疲れて家に帰ると、耳がきいんと澄んで静寂の叫びを聞く。 僕はただひとり、眠りに落ち込んで何かの淵を見る。 これを辛い、と言うならきっと僕は辛いんだろう。 けれど僕の尺度はいつも曖昧なので、たぶん辛くはないんだろうと思う。 そしてそれが正しいんだろうと思う。
絶望が在る場所を僕は知っている。 もうずっと前から、それはここにひそんでいる。 だから数式は簡単だ。 マイナスは、隔離しておかない限り他を食い荒らす。
ぽつぽつと、詩を書いている。
思考は因果なことに 失くしたはずの穴を掘り返す。
いまの
僕の言葉は
正直ではない
真実に向き合えない
いまの
僕の言葉では
詩が書けない
たとえばたった11万8千3百9秒前の
僕が
歌い踊るやわらかそうな幽霊と
四ツ橋筋の交差点ですれ違い
揺らぐ気持ちにぐらぐらと泣き出しそうになった
と
思ったとしても
きっとあなたは 早く寝なさい と
呟き返すだけなのです
というようなことが
僕のあたまのなかでぐるぐるとまわっています
2004年12月18日(土) |
それに溺れたって僕は酸素が欲しいとは思わない |
いいでしょう、たとえば僕には
今まで信じてきたものがあったはずでした
2004年12月15日(水) |
電話のむこう、雨音のように |
言葉は断じて僕の味方ではないので
ただひとことだけ愛してると言ってみる。
そして直後に僕はうそつきだ、と思う。
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僕は少しずつ変形していく。 変容だとか変節、そんなものであってもイイ。 堕落とか。 妥協とか。 昔からこの心を切り売りするニンゲンであったのだから、自分がより悪人になったのだとは思わない。 今の、これが。 僕の常態なのだと思うから。
誰も僕を信じなくってイイ。 信頼されるに値するようには生きていないから。 ただ騙されてください。できるなら容易に。 そうすれば僕もあまり多くの嘘をつかなくて済む。
今思えば、見苦しく嘘を重ねないで済んだのも たぶんあの物憂い午後の電話があったからでした。
雨の デパートの屋上で、 とおく歌うヒトを 見ていました。 あなたはパラソルの下で煙草に火を点けて戻ってきて 僕はむき出しの肩に当たる雨粒を数えて いました もうあの時からなんとなく 落ちてしまう恋が見えていた気が します
そうして容易く僕は傷付く。 どこに 居ればいいんだったっけ、とか考えながら すこしだけ立ったり座ったりしている。
・・・うわ。 てか僕、「傷付く」とか言ってるよ! 笑えねー。何歳のお子ちゃまだ、僕。 こんなに弱虫だったっけ? 覚えが無いなぁ。 と笑い飛ばしてみる。
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今日には今日の喜びがあり、明日には明日の。
前髪が伸びている。 笑おうとすると目に入って痛い。
傷付けて傷付かない相手が増える。 つまり、(相手を)傷付けて(しまったことで自分が)傷付かない(くらいの軽い)相手が増える。 いいことだ。たぶん。
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朝、家を飛び出すと深く濃い霧で、 100m先もなかなか見通せないくらいの霧で、 不思議にやわらかく重い空気。 こんな日にひとは居なくなるのだろうと思った。 居なくなるつもりなどなくても、 ただ、 穏やかに。
「生きていくことは習慣病で」と。 昔僕は言った。 そう、 思い出すそのときに、 昔校舎の上から見送ったあのひとの背中を思い出す。
そしてやっぱり雨は長続きもしないし星を隠しもしないので、 息苦しさがだんだんと増すのでした。
あなたがいま やめてくれといったら やめてしまえそうなのに
朝は温室のようなカフェで陽だまりに座っている。 ほこほこと暖かい。 本を、1冊読み終わって顔を上げると薄く雲が広がっている。 しあわせははかない、と思いながら階下へ降りていく。
12がつ12にち、 ぞろめだ、 と考えながら新京極を下っていく。 探しモノはなかなか見つからなくて、僕もあんまり元気ではないのであまり速く歩けないでいる。 指のさかむけが気になってひどく痛む。
映画館から出るといつのまにか雨になっている。 ちょうどよかった、って気になるのはなんでだろう。 映画を観た後の、たとえようもなく空虚な内側に、雨の息吹は容易く流れ込んで僕を冷却する。 心は変形しない。 だけど、
だけど。
そして僕は
あのひとと同じ名前のひとを見つける。
2004年12月11日(土) |
闇空に雨を探すのに、星はうつくしく光るのでした |
日付が変わって家に帰る。
あかるい大部屋のなかで大人数で大声でしゃべる、なんてすごい僕の苦手なことをしてきた。 着いた早々帰りたいって思ったんだけど。 でも大人じゃないことができない年頃になってきたので、とりあえず終わるまでそこにいた。 それからひとりで暗いバーに行く。
独りで呑んでいると、案外自分のことを考えない。 考えるのは目に映る範囲のことばかり。 それで。 いいと思う。
眠くなるくらいに酔う。 コートを夜風にはためかせながら、夜の四条を歩いて帰る。 河原町に着く前に酔いは醒めて、寺町を少し歩く。 一本だけ煙草を吸う。 それから、甘いシロップ入りのホットミルクを一杯だけ口にする。
泣きたくなるのは僕が弱いからだろうか。 吐きそうになるのは僕が意地汚いからだろうか。
少しだけ血を吐く。 こんなもの要らない。
2004年12月09日(木) |
熱惚けと馨しい嘘を。 |
風邪かな。 これは風邪かな。 ものそいアタマ痛いんですけど。 けっこう熱もあったりするんですけど。 でも明日は休めないし。 てゆかこういうジレンマみたいなしがらみみたいな浮世の義理みたいなもので世界は世の中は回ってると思う。日本では特に。
あのひとの美しい指先でもてあそばれて世界はくるくるときらきらするのでした。
遠くに、 ごめんね行けないね、 明日は、 とてもうつくしいものを見るの そしてとても切なくくりかえす、 ほんとうに、 ほんとうに、 なんて、なんて嘘くさく聞こえる言葉ばかり、 僕は手のひらにためて、 いるのでしょう
あしたをあなたをあのひとをにくんだって どんなにどんなに愛したって こわしたって追いかけたって呼んだって引きずったって 僕は壊れたりしないんだから。
だけど
2004年12月07日(火) |
せめて今日ではなくて明日の未練 |
ウツ期、そろそろ終了。 てかもういいかげん浮上しないとやばい。 職場内での僕の評価ダダ落ちだよきっと既に。 まぁ、金曜から落ちに落ちて、だからまだマシか。
何ですか、浮上のきっかけはただの読書ですかやっぱり。 宮部みゆき「ブレイブ・ストーリー」上下。 2日で読み切ってちょっとスッキリ。・・・しかし本を読むスピード落ちたかしらん。 話の筋はありがちなものだったかもしれないけど、後味は良かったのでもう全然オッケー。 まだまだ控えがたくさんいるので。 ポアロシリーズとかファルコシリーズとか。 うにゃ、それだけだとやばいな正月? てなわけでたぶん読書期、開幕。
入る時と出る時、説明なんかできないし唐突だ。 だけど行け僕走れ僕、ジャンプして転んで助走して舞い上がって着地、しろ。 僕がここに抱えているものは諦めなんかじゃないと納得しろ。 ちゃんと勉強、そして実績、全部それから。
足掻く僕を誰も見てくれなくてイイ。 いつだって僕は遥かに孤独なので、 僕が信じるものはいつも硬質な手触りだ。
だけど、と。 せめて僕は言おう。 恐れながらも気も狂いそうなほどに、
青白い街灯の光の下に座り込んだ夜を、僕はまだ鮮明に刻み付けています。
あのひとはやわらかく、やわらかく僕を傷付けるので
友人とカフェバーに甘いものを食べに行く。 なんだか最近、夜遅く家に帰る習慣がついてしまってる。 とりあえず今日は日付が変わらなかったからヨシとしよう。 甘いものを食べてたはずだったのに、一緒に飲んでたのは紅茶のはずだったのに、何故だか気持は酔っぱらったみたいにひとのことを話す。 何を考えてるんだろう僕。
最近の僕をさいなむ後悔(のようなもの)が、いったい何にかかっていくものなのかわからない。のが、イヤだ。 なんだかもう、どうでもいいような気がするのだけど。
ふと、気が付くと
あした、 あさって、 しあさって、 そのつぎ、
と ちいさなちいさなこえで つぶやいている自分が。 なんだかとても病んでいるように思う。 つめたいつめたい指を、 もう早いところ失くしてしまえたら、と思った。 どうせ動かないんだから。 だから手袋ごと捨ててしまえたら、と。 虚ろに。
かみさま、 と。 何かを呼んでみる。
かみさま、 かみさま、
貴方が意地悪だと聞いたとき 僕はとてもつらかった。 何故だか とても
雨は忠実に降り続けた。
夜深く流れてゆく雨のおと。
遊園地いきたいな、と きみがつぶやいたので いいね、遊園地 と 穏やかに答えている。
弱めのカクテルの一杯に他愛なく酔ってしまって、なんだかとても、ふわふわしている。 ひとを、 好きになるのってややこしいな、とか ぐるぐる考えている。 そして差し出された煙草の一本を断わるのに少し、苦労している。
あぁ明日は土曜日だ、と考えると 妙に肩の力が抜けてしまって ふわふわ、そして明日は雨だ。 雨を待ち焦がれるなんて、しかもこんな冬に、 僕は一体どうしたというんだろう。 最近は声もメールも出せない自分に軽く絶望してみたりする。
それから さみしがりやのひとに代わって 遊園地へ行く段取りをつけてみたりする。
どうしようもなくさみしくなって
深く酔って帰る深夜、なんてものに慣れたくはなかった、と 思いながら なんてワガママなんだろう、と 僕の中の貴女が言う
僕が選ぶものはいつもどこか不安定なのだ。 そして僕はきっとその不安定さを愛している。
ぐらぐら。 深い黒のカウンタに座って隣に座るヒトを観察、する。 最近飲みだした水割りは冷ややかに舌を焼いていく。 あなたにも過去が色々あったんだろうね、なんて言うニンゲンを僕は一生信頼しないだろうと思う。 けれど僕もきっと言う。 くちびるに、浮かぶ笑みはきっと見た目ほろ苦いのだろうと思う。 タバコを少し強引に勧められて、 挨拶のようにぷかりと 強めの白を吐き出して見せる。 くらりと する。
アルコホルは血管を収縮させるので体温を下げる働きがある と 思いながら9℃の外気に震えている。 指先がひやりと冷たいので てのひらを誰が穢してもかまわないと思える。 投げやりに、もう帰ろう、と言う舌が動かないように感じる。
あぁきっと明日も、
明日も、 あさっても、
きっと、
ただ僕にできるのはあのヒトを癒してあげたい、と思うことくらいで
それもまたある意味では不遜に過ぎることで
たぶん僕にできるのは僕がせめて死なないでいることくらいで
自分の死の日のことを語らないことくらいで
でも泣かないでね、 泣かないでね、 あなたはどうでも優しすぎる。
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