口をつぐんで眠るはずの夜、 知らず知らずのうちに言葉はあふれる、
自分を客観的に見ることなんか、 絶対にできないと思う、 今は、 特別な今は、 たぶん特別であるはずでも特別視したくない今は。
雨の音が耳元でぱたぱたとざわめいている、 夜の雨を、 その闇を安堵のように思う日が来るなんて考えもしなかった、 怖れは、 僕がずっと抱いていた怖れは感情だ、 だから僕は今それを否定する、 僕は今、 たぶん生きていてはいけない、 精神を揺らしてはいけない。
僕は訴えたくはない、 己の惨状を、 己の見る悲劇を、 この僕に同情せよと世界を動かしたくはない、 そしてこのあえかなかなしみを、 あのひとに向けて吐き出したくはない、 何よりもまだ僕が、 己を理解しようと努めて果たせないだけなのだ。
類推を僕は拒む、 憶測を僕は排する、 たとえどんな真摯な同情も僕は嫌悪する、 遠くへ、 遠くへ、 どこかあきれるほど遠くまで、 そんな勝手な慰めなど消えていってしまえ。
知っていたよ、 ずっと前から、 ずっと前から。
あなたを描こうとしてわたしは止まる
あなたを語ろうとしてわたしは強張る
あなたを追おうとしてわたしは転ぶ
あなたを 知ろうとしてわたしは目を閉じる
あなたへの
言葉など
今や
どこにもないことに
気付いてしまいたくないのです
できるならいつまででも探し続けていたいのです
だけれどそれは
停滞
ですか
あぁ、 それでも僕が、 誰が何と言おうと、 他でもないこの僕が、 あのひとの背を押したのです
今日も、コップ一杯の焼酎を飲み。 そして今ごろ悲しくなってきて泣きそうになる。 僕はそういう人間です。 ささやかな和やかな笑顔たちの間で不意に我に返ってしまったり、 そして我に返ってしまっても現実の軛が重くて泣けやしなかったり、 なんだか無性に神様、と言いたくなってしまったりで僕の中身が僕が護り続けているものが澄んでいるのかどうなのか、
・・・きっと誰にもわかりゃしないんでしょう。
そして僕は君に出会い恋がしたいと言う君に恋を教えるでしょう、 たとえそれがどんな苦い味でも。
それくらいの冷たさでいい、と思います
**
ねぇ君、やわらかく冴えた月の味を覚えていますか?
まだちょっと酔ってます。
今日は焼酎を飲みましたよ!コップ一杯だけど。 後からじわじわと酔いが回ってきて、なんだか気持ちよかったー。 明日も朝早いのでそろそろ寝ますが。 今日飲んだのは銀の水(黒)。 あんまり強くなかったみたい。 たぶん。
さて明日は『花いちもんめ』です。 この5月の花いちを最後に、また若干の見直し期間を置くことになりそうなので、思い残すところの無いように、来てみたかった方はぜひ明日どうぞ。
なんだか最近、朗読してなくってさみしいな。 僕の朗読ってあんまり上手とかいうレベルでないらしいんだけど、たまには人前に晒したいと言うか。 虫干しみたく。 ねぇ。
2004年05月27日(木) |
無意識に鼓動を数えるような日々。 |
いろんなところのパスワードがわからなくなってる自分に気付く。 困ったな。 とりあえずカードとメールは使えるみたいなのでイイか(爆)
明日はちょっくら梅田まで。 最近自分が焼酎を呑めることを発見して嬉しい。 お気に入りは紫蘇焼酎かな。 高揚感がイイ感じなのです。
酒の話で行けば、こないだ親が亀岡で買ってきてくれた日本酒が良かった。 なんかカワイイ感じで。女の子が好きそうです。 『微炭酸入り、まるでシャンパンのような風味の甘さ』とやらで、日本酒メーカーも苦労してるんだな、と思ったり。
僕は大吟醸とかは正直苦手な、酒飲みとしてはダメ人間だと思うんですが、それはともかくやっぱり日本酒は純米酒が美味しいのです。 『日本人にはコメでしょ!』というのは僕の口癖ですが。 どうもコメを使ってない酒はダメみたいです。 と言うより日本酒系以外はダメらしい。焼酎は呑めるみたいだしね。 洋酒のきつい匂いがいかんのか。 それとも洋酒と日本酒の成分にはそんなに隔たりがあるのか。 むぅ。
何はともあれ日本酒1合が限界の自分を少しはレベルアップさせたいです。 こないだはコップ1杯のビールの酔いを抜くのに日本茶5杯と2時間かかりました。 微。 日本酒1合なら1時間でOKなんだけどなぁ。
すこしずつ脱いでいく。 いらないものを。 みっともないプライドとか、どうでもいいしがらみとか、ささいなこだわりとか。
そうして後に研ぎ澄まされたものだけが残る。 そういうのがいい。 たとえそれがどんなにつめたい光でも。
何故なら僕はやはり今でも生きているのです。
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明日の予定を立てる。 それくらい先のことは現実に近いから無機質だ。 それは来月とか来年のこととは違って何か硬い素材でできていて、綿アメのように弱い来月や来年のことは息を吹きかけただけでぺしゃんこにつぶれてしまう。 そんなものだ。 だから僕はいつの間にか「いつか」の話をしている自分を嫌悪する。
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逃げきれない。 そう気がつくと力が抜けて、僕は深く呼吸する。 夜の無い北極はまだ遠く、夜ばかりの南極もまた遠い。
ねぇ、訊いてもいいですか
もういいんだ、 もうまっすぐに家に帰ろう。
2004年05月21日(金) |
だんだんと乾いていくので僕は |
『ねじまき鳥クロニクル』を読んでからなんだか狂っている。 読み終わって、なんだか好きな話じゃなかったなぁと思ったのに。 それなのにあの現実感のない世界に囚われてしまったみたいで。 雨の中の薄暗さのように世界が不鮮明だ。 そしてそれでいいと思ってしまう諦めに似た納得。
今日は死んだように眠ろう、泥のように、褪色した夢を見ないように。
それだけが望みと言ってもいい
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海に行きたいな。 誰もいない海。 別に広ければプールでもいい。 そして誰もいなければ。 ただ浮かんで目をつぶりたい。 微妙な緊張感と絶望のような浮遊感が欲しい。 たぶん僕は今、他人を必要としていない。 ただ時間、あるいはそれに見合うだけの空漠を欲している。
別に夢を見てもいい、ただしそれを憶えていなければ。
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とりあえずあなたには僕を癒せないのだということ。
そしてあなたは僕を癒してくれないのだということ。
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明日は逃げて行こう。 どこか遠くへ。 有効利用した時間なんか屑みたいなものだ。 だから僕は自家用機も車も要らない、この弱い両足だけで。
そして駆けてゆくよ。
握りしめた手はいつになく熱くて、僕は人ごみのなか不安に駆られる。 遠くから漂ってくるのは切なげな哀しげな視線。 何度も僕は間違える。 目の前の誰かに対する圧倒的な恋。 そしてこのひとではなかったと気付く非情な瞬間。 哀しむ誰かを胸に抱きしめる。 あなたの手を引いて、あるいは導かれて人ごみを抜けていく。
神様、どうか今だけは僕を見ないでいてください。
あなたの顔がわからなくて僕は途方に暮れてしまう。 そして僕はここにあるものが愛情ではなくて一瞬の天の啓示のような狂気だと気付いてしまう。
あなたが好き、それで?
あなたの目が哀しみに曇っていくのを僕は見てしまう。 その切られるような痛み。 喉の底が干上がっていくような焦燥感。 これが否応のない愛情なら僕を殺してしまえばいい。 あるいはただ一瞬のゆらめきなら何もかも壊してしまえばいい。 けれど僕はどこかで悟ってしまう。
あぁ、また捕まってしまった、と。
もうどこへ逃げてもおしまいなのでした。
ひどいひと、
ひどいひとだあなたは。
2004年05月19日(水) |
北海道に行きたいね。 |
もうすぐまた6月が来る。
*
雨の染み込んだ道に足跡は白く浮き上がって、束の間そこに残っている。 僕の前を誰が歩いて行ったのだろうと思う瞬間。 足跡はおぼろに丸くて、ドラちゃんかな、と何気に思ったり。
*
カラーインクの足りないプリンタ。 外は鮮やかに5月初夏の瑞々しさなのに、僕のパソコンの打ち出すレトリックはしめやかなモノトーンに沈みこんでいる。 だけどそんなもの、人間が生きているか死んでいるかの違いくらいでしかなく、大したことじゃない。 例えば僕がときどき明日を忘れてしまうみたいに。
*
激しい頭痛のする夜に、額に置かれた柔らかな手のひらを思い出す。 涙ばかり。 目を開けるとそこにあのひとがいて、心配げな瞳で僕がほろほろと涙を流すのを見下ろしている。 そして僕は瞼を下ろして、深く奈落へ沈んでいく。 力を抜いたその瞬間から、ハデースに連れ去られるペルセフォネーのように。 あるいは冥界へ引き戻されるエウリディケのように。 もう、 目覚めなくてもいいと思いながら。
2004年05月16日(日) |
Sentimentalistic |
雨上がり、夜、タクシーの中。 詩になりそうな言葉をもぐもぐと口の中で呟いている僕は何だかとても孤独だと思う。 ぬばたまの闇を切り裂いてタクシーはくねくねとそれでも飛ぶように走り、犬の背のようになめらかな感触の後部シートに沈み込んだ僕はゆらゆらと車の遠心力に合わせて揺れながら、世界から20枚ほど遠ざかった場所から夜を覗き込んでいる。
愛しているのは大変だ。
他人事のように。 明日は何故か遠いように思えるのに朝は手が届くほど近く見えて。 あんなに素直にさようなら、と言うんじゃなかった。
**
多少めかしこんだ日が雨なのはやりきれない。 ズボンの裾が重く濡れて、電車の中の湿気が不機嫌だ。 朝食も食べず家を忍び出ると一散に雨の中を駅へ、車を。
やけに開放的な駅は雨にしっとりと湿らされてしまって、アスファルトも点字タイルも白線も、どこかうっすらと汚れて見える。 遠く田んぼのあぜ道を雨の中、傘を差しながら自転車で渡っていくひとがいる。 雨の直線が曲線に変わる瞬間を水たまりに映してじっとしている少年。
幼い日、遠い駅のホームでずっとはるか遠くへ続く葦野原を見つめていた。 その時のことを思い出してぼんやりとする。 電車はわりあい早く来た。 揺れていく各駅停車。 そんな穏やかな列車のほうが好きだ。 本当は。
**
あのひとをぎゅっとするんだった。 本当は、 その髪をこの手で乱すはずだったのに。
2004年05月13日(木) |
風邪でも必要なものはアイロン。 |
えぇと何だ、僕は僕なりに生きていたわけですが。 おとついの夜から急な発熱でダウンしてたりなんかして、実は今なお熱冷ま○ートの愛好者になってたりして。 いやアレは良いよ。 ひやっとしてね。 うん。
とりあえず日記くらい頑張って書こうかな、と思ったとたんに寝込んでしまったわけで、あぁ僕ってやわな人間様だ!なんて思い知ったわけですね。 ちなみに人間に「様」がつくのは熱で世界を回しながらも畠中恵『ぬしさまへ』を読んだ影響です。 ここ3日くらいで8冊くらいは読んだかな。 5冊はノベルスで、2冊は文庫本、2冊は単行本。ありゃ、計算が合わない。 こうやって一気呵成に何冊も読んでいて思うのは、小説を大量に読む場合はそれぞれの世界設定が極端に違わないとダメだってことですな。 ちなみにファンタジーと時代物と化け物系と現代モノでした。 こんだけ違うとフィクションがそれぞれ混じらない。
で、熱でふらふらのところで熱冷ま○ートを買ったせいでしっかりお子ちゃま用のを買ってしまった僕。 昨日は医者に行って何とも知れない診察を受けてきたわけです。 医者が何と診断を下したのかわかりませんが、大方風邪だろうということか何かで薬も出してもらいました。 たぶん喉でも腫れてたんでしょう。 以前は眠れないのだと必死に訴えたら睡眠導入剤を出してくれました。 ・・・良い医者だ。(苦笑)
なんでだか外出しない休みの日はひたすら本ばかり読んでる。 食事の時とかちょっとした用事のとき以外はひたすらに。 がつがつ読んでます。
ここんとこ一ヶ月くらいで読んだ本。 アガサ・クリスティー:「火曜クラブ」「アクロイド殺し」「複数の時計」「ゴルフ場殺人事件」「開いたトランプ」「死者のあやまち」「ビッグ4」「スタイルズ莊の怪事件」 吉本ばなな「王国 その2」 恩田陸「黄昏の百合の骨」「麦の海に沈む果実」 白石一文「見えないドアと鶴の空」 江国香織「スイートリトルライズ」 東野圭吾「幻夜」 栗本薫「真夜中のユニコーン」 はやみねかおる「僕と先輩のマジカル・ライフ」 泡坂妻夫「飛奴」「泡亭の一夜」 芦原すなお「たらちね日記」 梨木香歩「丹生都比売」 北村薫「語り女たち」「朝霧」 平岩弓枝「十三歳の仲人」 その他諸々。
かなりの濫読やと思う。 毎日できれば読書日記をつけるべきだと思うんだけど、そんな手間をかけるほどの本ってなかなか無いし。 しかしこうしてみると案外少ないな。 一日2冊程度は読んでるのかと思ってたのに。うにゃ。 たぶん漫画とかも同じくらい読んでるしなぁ。 もっと勉強しろってか。 うぅ。
強い風が吹く。僕に追いすがるように。 服の裾をつかまれた気がして振り向くと、この風にもかかわらずニセアカシアの濃い匂いが雨粒の合間に深く澱んでいる。 風が散らした緑の葉とハナミズキの花。 黒く濡れたアスファルトに、僕の乾いた足跡がずっと、続いている。
*
嵐の朝は心が湧き立つよう。 ベッドの横のカーテンを少し引き開けて、吹き散らされていく諸々を見る。 窓をほんの僅かに開くと、吹き込んでくる質量を持った風。 ふと、いつかの濃い暗闇と音も無い駅舎を対比するように思い出してしまう。
*
裸足で庭に降り立つと、伸び放題の芝と雨に濡れた落ち葉に足が柔らかく包まれる。 こんな日は寝巻きでも遠くまで歩いていける、と思う。傘も無しに。 灰色に明るい空。 嵐はどうしてだかいつも晴れやかなイメージだ。 家を揺さぶる風も、僕の髪を乱し服を肌に貼り付けるだけであとは僕の味方。 アスファルトも雨に濡れてまろみを帯びている。
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風に押され、風に誘われるように、足は迷いもなく前へ前へと進む。 この世にどんな人間も居なくなったような錯覚。 時折ざぁっと叩きつける雨粒と、あっという間に冷えてしまった足先が同じような音で地面を辿っていく。 嵐の朝は何もかもが音を抱えている。
そして嵐の朝は灰色だ。
僕ってキライなもの多いなぁ。 と思う瞬間。
安易なものはキライ。 とにかく何でも。 一番ヤなのは安易な想像。 それは想像力の貧困を如実に現すからかも。 別にムカつく、とまでは行かないんだけどかなり視線の温度が落ちる。ひややかに。
そういえば僕は他人に対する期待度が高すぎるのかもしれない。 完璧を求めているのではないにせよ、人生経験豊かなヒトと話すのがほぼ絶対的に楽しい、と思うのなんてちょっとおかしい。
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アイディアと素材は似ている。 理性と事実が似ているみたいに。 わからないのはそれを組み立てていく技術。 それこそが宝と思うのに。
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たとえばあなた がここにいれば、
地の果て海の底を思わなくても良いということ。
朝、夢の終わりをやわらかな唇で辿っていくことができるということ。
2004年05月01日(土) |
例えば隣の部屋に見える時計みたいに |
ゴールデンウィーク。 いったい誰が考え出したのかねぇこの呼称。 五月になる前に散ってしまったサツキ。庭先の牡丹が見事な花をつけて、早や散り際。 半袖の人が多い。 家で丸くなっていると、なんだか骨まで丸くなりそうな気がする。
僕の毎日はなかなかハードだ。
いろんなことを後回しにしていたら、なんだかあっという間に日が過ぎていた。 こういう日々は嫌いじゃないけどさ。 でもちょっと悔しくもなるので。 もう少し大事にしよう、時間ってものを。
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いとしいものを限りなく少なくして生きていく。
そんなふうだといい。 いつの日も、 いつの時も。
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