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■ 鏡
どこかに鏡があったんだ。 壁だったか。 地中だったか。 天井だったか。 探していたわけじゃないんだけど、それは目前に現れた。 ここ最近で一番驚いた。
鏡なんて久しぶりに見る。 これは本当に自分なのだろうか。 人差し指で表面に触れてみると鏡の中のぼさぼさな髪型の女が映っていた。
そうか、これが私なのか。 ここがどこかもわからないで不安で不安で死にたい気分だったけど、とりあえず自分がどんな顔なのかがわかった。
自分の顔は分かったけどほかに人がいない。 生き物がいない。
気がつくと周りにたくさんの鏡があることに気付いた。 視力が良くなったのだ。 こんなことってない。 こんなひどいことってない。 最悪だ。 不細工でぼさぼさの髪型の女がそこらじゅうに360度どの角度からも見える。 鏡が私を見る。 私が私を見る。 こんなに目があるなんて嫌だ。
私はそこから逃げたくて仕方がなかった。 空から声が降ってきた。 「逃げられないよ」 そのガキ大将みたいな声は私を徹底的に追い詰めるつもりだった。
もう死のう。 死んでしまえば私を見る私は居なくなる。
鏡を割った。 割った破片で頚動脈、脇下動脈、大臀動脈を切り裂いた。
もうここには人がいなくなった。 死にたい女も死んだ。 髪は血と汗でバリバリねちょねちょで最悪だった。
2006年12月15日(金)
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