言葉のサラダ
黄と藍



 ささやかな抵抗


僕が
つけた

君の
傷を

忘れたい


触れないで
そっと

ポケットに
忍ばせておく




2006年12月29日(金)



 身包み剥いで


君の服を剥いだ
無抵抗な君

笑っていいよ
バカな僕を



2006年12月28日(木)



 無題

楽しかった思い出が
小さな泡のように
音も立てず消えてゆく

周りから罵声が聞こえる
いや
本当は自分の頭から

誰か助けて
殺して

2006年12月23日(土)



 悲しい


重病になったので入院しようと思う
もし主治医が許可したら

そうでもしないと壊れてしまいそう
周りを・自分を殺したくてしょうがない

危険思想が止まらない
家族が助けてくれないのなら病院にいてもいいじゃないか


2006年12月21日(木)



 決死


決死の覚悟で美容院に行ってみようと思った。
こんな変な女でも髪を切ってくれると電話先の人は愛想良く言った。
だから大丈夫。

そんな気分でいるから後で落ち込むんだよ。

頭の中の人に罵倒された。
もう外に出られない。

2006年12月16日(土)



 

どこかに鏡があったんだ。
壁だったか。
地中だったか。
天井だったか。
探していたわけじゃないんだけど、それは目前に現れた。
ここ最近で一番驚いた。

鏡なんて久しぶりに見る。
これは本当に自分なのだろうか。
人差し指で表面に触れてみると鏡の中のぼさぼさな髪型の女が映っていた。

そうか、これが私なのか。
ここがどこかもわからないで不安で不安で死にたい気分だったけど、とりあえず自分がどんな顔なのかがわかった。

自分の顔は分かったけどほかに人がいない。
生き物がいない。

気がつくと周りにたくさんの鏡があることに気付いた。
視力が良くなったのだ。
こんなことってない。
こんなひどいことってない。
最悪だ。
不細工でぼさぼさの髪型の女がそこらじゅうに360度どの角度からも見える。
鏡が私を見る。
私が私を見る。
こんなに目があるなんて嫌だ。

私はそこから逃げたくて仕方がなかった。
空から声が降ってきた。
「逃げられないよ」
そのガキ大将みたいな声は私を徹底的に追い詰めるつもりだった。

もう死のう。
死んでしまえば私を見る私は居なくなる。

鏡を割った。
割った破片で頚動脈、脇下動脈、大臀動脈を切り裂いた。

もうここには人がいなくなった。
死にたい女も死んだ。
髪は血と汗でバリバリねちょねちょで最悪だった。

2006年12月15日(金)



 葬式


朝起きて
外が眩しくて
それでも
祖母は死んでいる

夜寝る時に
真っ暗な部屋で
何かが蠢いている

私は生きてる
私は生きてる

呟いてみた
それでも
心は死んでしまった

2006年12月07日(木)



 食欲


おなかが空くと
生きてることに気付く

食べ物がおいしいと
嬉しい気持ちを思い出す

+++++

なんにも食べたくない
噛んでも砂利

なんにも美味しくない
ただ豚に近づくだけ

2006年12月06日(水)



 カレンダーが怖い



エレクトーンの先生から
カレンダーをもらった
まだ開けていないけど
透明な袋から
センスのいい絵柄が見えた

あたしはこのカレンダーを
まだ開けない
開けたら
来年も生きなくてはいけないから

さようなら
もう限界です


2006年12月05日(火)



 憧れと失望

おとなになると
きれいな手になると
思っていた

おとなになると
なやみごとがなくなると
思っていた

おとなになると
子どもが生まれると
思っていた

おとなになると
ウソをつく

おとなになると
お金が好きになる

おとなになると
子どもを見下す

おとなを見上げていた
子どもを見下す

2006年12月01日(金)
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