言葉のサラダ
		黄と藍

		■■■ ■■ ■　眼帯 眼帯を片目にしたのは ものもらいのとき 赤く腫れて痛み とても醜かったことだろう あのときの眼帯をした気持ちは 誰にも教える事はない 2004年05月31日(月)

		■■■ ■■ ■　借金の心配 長く見なかった 元気で生きてたのだろうか 言葉を覚えているのだろうか 長く忘れてた 勉強しているのだろうか お金を返してくれるのだろうか 2004年05月30日(日)

		■■■ ■■ ■　ヤマアラシ ヤマアラシに感動だ わたしもまねしたい 最後まで見なかったけど きっと素晴らしいところへ行くのだろう わたしもまねしたい ヤマアラシに感動だわ 2004年05月29日(土)

		■■■ ■■ ■　回収係り 怒っている人から 紙を受け取った 回収していくのは 悪い気分じゃないはずだった 押し付けられた紙は 四つ折りにされてて いじわるで面倒だ 遠慮深く渡す人から 紙を受け取った 一声掛ける機会があるのは 悪い気分じゃないはずだった すばやく去ったあの子は 私の言葉をうなじで流した 悲しくて残念だ 2004年05月28日(金)

		■■■ ■■ ■　ブラックライト ブラックライトが欲しい 毎日のブラウスは青白くなると思う 乱雑した部屋は真っ暗で気にならなくなると思う 広がったスラッシュだらけのテストも忘れると思う 下に落ちている思い出も見えなくなると思う 見てるだけで迷う大嫌いな壁紙も 大切な人形も 腐った本棚も ブラックライトが欲しい 部屋に浮かぶ白いブラウス 2004年05月27日(木)

		■■■ ■■ ■　がーがー 私のがーがーは小さい 小さくて新しいのに少しのろい 最近失敗ばっかして使いたくない 父のがーがーは大きい 大きくてそんなに新しくないのに速い 怒っているみたいにせっかちで使いたくない 2004年05月26日(水)

		■■■ ■■ ■　からっぽ からっぽを探しても何も無い 奥へ進んでも何も見つからない からっぽを求めても何もない 見上げても何も見つからない からっぽを見ようとしても何も無い オペラグラスにだってわからない からっぽの色なんてない からっぽは透明でもない からっぽはからっぽ色 空虚な色 さびしい色 見る人を泣かせる色 2004年05月25日(火)

		■■■ ■■ ■　ゆめうつつ 眠い事に気づくのと 目をこすり始めるのはどっちが先だろう 右のまぶたから重くなる 悪い事に気づくのと ライターを持ち始めるのはどっちが先だろう 灰が上履きにかかる 申し訳ない事に気づくのと 祖母に質問をし始めるのはどっちが先だろう 泣かせてしまってる 失敗した事に気づくのと 手を上げる前に発言し始めるのはどっちが先だろう 先生の顔が赤い 比べる事に間違いはあるのだろうか 対象を並べてはいけないのだろうか 2004年05月24日(月)

		■■■ ■■ ■　癖 手はこんなに視界に入るからむしっちやうんだ チラついてうっとおしい だからムカつくんだ 足はいつも視界には入らないから平気だ 靴下を穿いてるし 頭より下にある もし視界に入ってれば大変だろうけど 2004年05月23日(日)

		■■■ ■■ ■　いらだちのもと 何かしなくちゃいけない 焦燥感 走れ走れと脳信号 グラウンドを４周する 何かしなくちゃいけない 劣等感 学べ学べと脳信号 図書館に向かおうか 何かしなくちゃいけない 危機感 話せ話せと脳信号 居間に座り込もう 何かしなくちゃいけない 義務感 頷け頷けと脳信号 隣りのクラスへ足を運ぼう 何かしなくちゃいけない 使命感 教えろ教えろと脳信号 机にテキストを置こう 何かしなくちゃいけない 何かしなくちゃいけない 今しないと すぐ始めないと どこかに行ってしまう だれかに言ってしまう 逃げないで 間に合わない 間に合わない 見失ってしまいそう 2004年05月22日(土)

		■■■ ■■ ■　とびらがあるなら 右手で開けようか 左手で開けようか 何れにせよ 鍵がなくては先がない 近付きたいなら その好奇心に従えばいい なぜ見る前から避けようとするのか 知ってしまえば 愕然とするか 喜びに苦しむか 近付けない 顔も見てない 2004年05月21日(金)

		■■■ ■■ ■　シイテ言うなら冷たかったアイス したのさきにできたしろいやつ はすこしいたいしすこしじゃま なんだがこのあいだかんだせい でできたからわたしがわるいの だれもなにもわるくないからシ イテいうなら冷たかったアイス 2004年05月20日(木)

		■■■ ■■ ■　ブロック しばらく時間がわからなくって まっしろな壁の前にいて ピントがちっとも合わなかった ぐんぐん草むらをかきわけて 風切って時間が進んでいて 今吹いたのはもう春風なのか 今降ってるのは雨季の雨なのか てんで分からない まっしろな床を長針が進む 広いのか狭いのかよくわからない部屋 2004年05月19日(水)

		■■■ ■■ ■　ひとりごと どたばた忙しいのは 時間の使い方が下手なんだけど そう考えるのは悔しいから 時間が少ないと考えてみたい だけど使い方の上手い人は もっと上手く使って その人の一日はすごーく長くなるのかもしれない それはもっともっと悔しいから 一日が２５時間がいいだなんて願わずに 一日でも上手く時間が使えるようになりたいと 思うだけでなく計画的に実行しなくてはいけないんだろうか 2004年05月18日(火)

		■■■ ■■ ■　コーヒー 朝起きてとりあえず飲む 甘くしないことにした たくさん牛乳で割るけど それは甘いのより大人 2004年05月17日(月)

		■■■ ■■ ■　午後 走りますよ走ります 足が遅いのは家系です 息が続かないのは単なる運動不足です やる気がないのは眠いからです 2004年05月16日(日)

		■■■ ■■ ■　あえて避ける 右に見えれば 左に進む 上に見えれば 下へ進む 向かいに見えれば 後ろへ進む 後ろに見えれば 向かいへ進む 逃げろ避けろ ドッペルゲンガー 2004年05月15日(土)

		■■■ ■■ ■　まばたき まばたきしている間に失っている時間って一生に何時間だろう 十七年間のうちでは、何年だろう もったいない もったいないかな でも全人類がそう思って 瞬きはしないで生きていたら怖いんだろうな やさしいまばたきってあるのかしら 2004年05月14日(金)

		■■■ ■■ ■　みずたま カサを忘れた雨上がりの放課後 晴れているときは誰もが雨を忘れてる 水溜りに顔が映ったとき思い出すもの 2004年05月13日(木)

		■■■ ■■ ■　支配 喋りたくなくても 勝手に口は動くのに 喋りたいときは 動こうとしてくれない 2004年05月12日(水)

		■■■ ■■ ■　目に悪い うつ向いて歩く女の子は 両手に本を持っていた うつ向いて歩くのは なぜだろう 2004年05月11日(火)

		■■■ ■■ ■　がんばる 顎の下がやわらかい おばあちゃんの首 いっぱいさわる 2004年05月10日(月)

		■■■ ■■ ■　ストレス 傷が増えていく わたしは悪くないのに 2004年05月09日(日)

		■■■ ■■ ■　いわゆるノック 戸を叩く音がする トントン トントン 戸を叩く音が聞こえる もう開くよ もうすぐ開くよ ギシギシ ギシギシ 戸が押されてるよ 戸がきしんでるよ もう開くよ すぐ会えるよ 2004年05月08日(土)

		■■■ ■■ ■　湿疹 ぜんしんにはんてん まっかでまるい これはスイッチ 切り替えボタン 2004年05月07日(金)

		■■■ ■■ ■　らくがき まるの中にお母さんがいる お母さんのとなりには子どもがいる 子どもの手にはおもちゃがある おもちゃのなかにはなにもない 2004年05月06日(木)

		■■■ ■■ ■　東京ＳＯＳ 近付いてくる声がする 足音がする廊下が響く じりじり ずんずん 壊れている音がする 恐怖してる声が割れる 2004年05月05日(水)

		■■■ ■■ ■　限界 その子は耐えていた 両耳を塞いで 目をつむって 眉を寄せて 黙って この騒音だろうか 2004年05月04日(火)

		■■■ ■■ ■　傷 中心がずれた いつのまになれていたんだろう 感じていていいはずの違和感はなく 直すことこそ違和感のもとになっていた 2004年05月03日(月)

		■■■ ■■ ■　音楽 コードを引っ張って 絡ませて 束ねて 同時に 切る 2004年05月02日(日)

		■■■ ■■ ■　編集 すごいすごい 背中を押すよ 持ち上げてるよ すごいすごい 上へ上へ 紙束を集める 2004年05月01日(土)

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