言葉のサラダ
黄と藍



 マウス


実験台になって。
あたしが観察する。
何をおもって、
何がしたいか。
あたしは予想する。
外れていようが、
当たっていようが、
あたしは記録する。

すれ違って、
振り返って、
手を繋いで、
頬寄せあって。

とりあえず、
それから考えるから。

2003年06月30日(月)



 


あたし
いつまでもこんなところ
ぐるぐる

いつまでも
へばりついてここを徘徊
誰にも迷惑かけてないでしょ?

ここにいるだけで
脳内麻薬は緩やかになる

徘徊させて
いつまでも

2003年06月28日(土)



 収穫


確信の無い種を蒔く
生えた双葉は朱色
嘆く声を遠く聞き
私は双葉の影になる

栄養のある土
吸い取る栄養分
成る実は
人を殺す

泣く泣く拾う
転がる花
手に持っては
ちぎって捨てる

したいことを
我慢して
したくないことを
せざるを得ずに

2003年06月26日(木)



 逆転

逆立ちをして
世界を見たら

長所が
短所に
思えてきた

好きな人が
とても嫌いに
感じてきた

心まで
元気だったのが
急に
悲しくなってくる

だから

気持ち悪くなって
世界を元に戻したら
赤い顔で見えたのは
何も知らない人々だった

2003年06月25日(水)



 だん


怒鳴り声
お願いだから
降りて

出ない声
限界で
代理を頼んだ
この体さえ
もっと動ければ

気を付けて
2度目はないかもしれないんだから
走って抱えて
部屋で見張ってあげていたい
学校さえ
なければ

考えなくちゃいけない
考えたくないけれど
予測して指示して
失敗は1度までにしよう

まだ別れるには早すぎるから

2003年06月24日(火)



 3つ


弓と
本と
扇風機

一つは入らない
一つは欲しい
一つは役立たず

溢れかえって
ひっちゃかめっちゃか
足の踏み場は自分で探す

2003年06月23日(月)



 野外

空腹を心地良いと感じるのか?
汗に塗れるのを望んでいるのか?
待っても来ないものを期待しているのか?
傾げた首で関節が鳴るわ

目を赤く染めたり
膝を黒く汚したり
腕を茶に焼いたり
滲んだのは動機か?

音はしない
土ぼこりも立たない
草原に寝転がり柔軟体操か?

阿呆らしいわ
見上げた空でまた首が鳴る

2003年06月22日(日)



 単純作業

存在価値を低くされ
目の前でちぎって踏まれた

与えられた役目もこなせず
足手まといになるなら
猫の手の方がマシ

あきれた方が負け
根性無しは連敗

首を傾げながら
日陰で
遠く怒鳴り声を聞きながら
小説のネタを考えていた

2003年06月21日(土)



 ひつじ


目を擦り
痛む指先を撫で
凝った肩を回す

立ち上がって
両手にノート溢れさせ
暗闇を背に猛ダッシュ

明日起きれるか
本当に心配だ

2003年06月16日(月)



 ながれだま


すべき選択肢を捨てた
何かいいわけを探していた
問われぬ前に理由を

準備は只無駄に終り
待っていた連絡も来ず
時間は流れるように過ぎ
私のする
こんな現実逃避も
無意味に終わったならよかった

2003年06月14日(土)



 キー


破壊のメロディーが聞こえる

唸る重低音
刺さる超高音

叩くリズムは不明確
赤いガラス越しの視界
窓はいつか割る

振動でかみが揺れる
地に這い付くばる虫
基本は大きく
音量は小さく

確信のないメロディー
明瞭なボイス

待っていたあの人

2003年06月13日(金)



 蒸発


目が乾いた
もう涙が出ない人になったかも

泪を出そうと欠伸した
目の前の先輩に睨まれちゃったよ

目が痛い
薄い光にも眩しがるこの目玉2つ

0.1>私の視力
いつか視界は0になるのかしら

何も見えなくなったらどうしよう
何も見たくないときとはわけが違うんだよね

暗闇が怖くて仕方が無いのに
明るい陽射しを避けちゃう私

欠伸をしても
泪はでない

2003年06月12日(木)



 さようなら


とりあえず
試してみてもいいか
と思った

一時的に
頼ってみようか
と考えた

暫く
居て欲しいな
と感じた

でも
もうすぐ会えなくなるのだろう
と想像できる

2003年06月11日(水)



 迷彩カクレンボ


あなたを私が探しても
あなたは隠れて見つからず
私と映す虹色水面
あなたは自然に溶け込んで

私はいつも探してる
あなたはいつも草の中
いつもジャンケン負けるから
あなたはいつも探される

暗い井戸を伝う紐
濡れた底で息潜め
私はあなたを探さない
あなたはずっとそこにいて

私はあなたを覗き込む
あなたは今は骨と皮
腐ったロープに伝う虫
今は消えたうめき声


2003年06月10日(火)



 入浴


同じ匂いのするバスタオル
同じ風呂に浸かった

真っ赤になった足や
掻きむしって青くなった腕
塗りたくる薬
何度も
沁みないかと問いながら

このまま
この乳白色の風呂を流してしまえば
「同じ」は他になくなる

誤作動と云って信じてもらえないだろうか
一人多いいんだよな

2003年06月09日(月)



 4時頃


診察室で
観察されて
話をしながら
自分の動作を覚える

指先を弄くり続ける私
親指の付け根を摘む
目線を逸らし本棚を見て
左横のマンゴーの山の絵を見て

脳みその記憶を探って
言葉を続けて
自分の動揺にさらに動揺

家を思い出し
小学校を思い出し
習い事を思い出し
携帯のメールのことを考えてた

脳内で再生されている音楽
読んだ本の文を読んでいたり

身体を引いたり
爪を弾いたり
落ち着きが無かったね

2003年06月06日(金)



 言葉の記録


言葉で遊んでいた
言葉を観察してみてた
言葉を並べてみてた
言葉を考えていた
言葉を作っていた
言葉を思い出していた

言葉には映像が付いてくる
言葉から浮かぶ映像
言葉で浮かぶ映像
言葉で思い出す記憶たち

言葉が思い出されて
言葉に苛立って
言葉に喜んで
言葉に混乱して

言葉言葉言葉

今度は書く時間

2003年06月05日(木)
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