ジョージ北峰の日記
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2002年11月04日(月) 拉致問題と国交正常化

 つい先日、日本のK首相と北朝鮮のK主席との間で日朝国交正常化に向けての会談が持たれ調印がなされた。両国の基本的な問題点は北朝鮮は第二次大戦の日本の侵略に対する謝罪と賠償問題、平たく言えば経済支援であり、日本側は北朝鮮の核兵器を含む大量殺戮兵器開発の即時停止であり、北東アジアの安全確保と日本人拉致問題の解明である。その内容については、新聞・テレビなどのmediaで詳しく報道されている。
 しかし既に報道されている通り、日本人の1番の関心事は北朝鮮が日本人拉致問題を認めるかどうか、どのように扱うかだったように思う。北朝鮮にとって拉致問題は現在の政権の体制のあり方、威信に関わる問題であり、出来れば触れられたくない問題であろうと考えていた。1番困難な問題になると予想していた。しかし実際は、大方の予想に反して、北朝鮮の最高指導者が拉致問題を簡単に認めてしまったのである。これを認めれば、最悪の場合自らを犯罪国家と認める事になるのである。どうしてこんな大変なことをこんなに簡単に認めてしまったのだろうか?先ずそれが疑問に浮かぶ。何か裏がるのだろうか?それとも一般に言われているように、想像以上に北朝鮮の経済状態が逼迫しているのだろうか。
 近代法治国家に住む人間にとってはとても不思議な出来事に思えるのである。北朝鮮の説明によれば、日本が認定している11人の拉致被害者のうち8人が自殺、災害死、自然死だったそうである。しかし、日本人から見れば死亡された人の年齢から考えて、1人を除く7人全員が自然死、災害死だったとするには、とても無理があるように思える。やはり、このような不自然な死に方については、その科学的根拠を明確にする事が要求されるだろう。そうでなければ、当然の成り行きとして、処刑されたのではとか、未だ生存されているのではとか色々憶測される事になる。
 もし何の罪も無い彼等が国家によって処刑されていたなら、自分は何も知らなかったとしているK主席すら、その犯罪責任を免れ得ないだろう。拉致して殺害すれば日本では死刑をも覚悟しなければならない。 
 しかし日本の調査団に示された北朝鮮側からの説明によると、拉致問題の責任者の1人は死刑、他の1人は15年の強化刑に処せられたそうである。とにかく、この事件は、国家の政策とは何ら関係の無い所で、特殊工作機関の特定の人間によってなされた犯罪とされた訳である。もしそうであるなら、この問題は国家間の外交で扱われるべき問題ではなく日本の警察と北朝鮮の警察(もしそのような組織があるなら)とが協力して解決する問題である。
 一回目の国交正常化交渉で北朝鮮は「K主席が拉致問題を認め謝罪したので、この問題の大筋は解決したと考えている。」と反論した。その通りで、外交問題としては90%解決したと考えるべきであろう。この問題はもう外交問題ではなく、拉致問題をどう解決するかの実務的な問題に移ったのである。現在,拉致されていた5人が里帰りされている。印象としては、日本での滞在を喜んでおられるように思う。言葉では語られていないが、子供達、家族の日本へ復帰を望んでおられるように思う(全くの憶測であるが)。そうであるなら、当然、k主席は拉致被害者の要望を最優先する判断をされるべきと信じる。このような犯罪を犯した部下を処罰した、政治家(リーダー)が、最初にするべき高度の政治的判断はそのようなものではなっかたのか?このような判断がされた時初めて、k主席の言葉は本当に信頼され世界での評価も高まるだろう。
 一方死亡された8人の方々の死亡の状況については、科学的に納得できる証拠はいまだ何一つ示されていない。北朝鮮は、こんな説明で、この事件をかたずようとしているのだろうか。証拠が何も無い説明は、常識的な法治国家、日本から見れば判断の対象にもならない。このような説明で十分と考えるなら、北朝鮮を世界は常識的な普通の法治国家と、日本だけでなく世界中が認知しないだろう。
 核問題について北朝鮮はアメリカと交渉するとしている。しかしまともでない国(B大統領によれば、ならず者国家としている)をアメリカが真剣な交渉相手と認めるとは思えない。
 こんなことを知ったうえで北朝鮮は拉致問題を認めたのだろうか。拉致されて死亡されたとされる家族の方々の無念な気持ちは察するに余りあるが、しかし先ず、拉致されたことを北朝鮮が認めた事は、それだけでも、この問題は9割がた解決されたと言っても良い。何故なら事件の全貌を調べる方向性がはっきりしたからである。しかし北朝鮮が普通の法治国家であるかどうか、k主席が正しい判断が出来るかが、この問題が納得できる形で解決できるかどうかにかかっている、ことも認識しておく必要がある。

 


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