与太郎文庫
DiaryINDEX|past|will
1906年06月30日(土) |
蘆花の老化 〜 敬老・傾老・警老 〜 |
http://d.hatena.ne.jp/adlib/19060630 19060630 蘆花(37-39)トルストイ(77-78)を訪問 19080402 関 寛斎(78-79)蘆花(39)を訪問
Tolstoj, Lev Nikorajevich 18280909 Russia 19101120 82 /客死/18280828 Julius 関 寛斎 蘭学・阿波藩医 18300312 千葉 徳島 19121015 82 /服毒/文政13.0218 徳富 蘆花(健次郎)蘇峰の弟 18681208 熊本 伊香保 19270918 60 /客死/明治 1.1025
トキトミ、トルストイの暖い手を握る ── 明治三十九年、徳富蘆花は四月から八月まで、四ヵ月、百二十日 の海外旅行を行った。上海・香港・シンガポールを経てイスタンブール に着き、それから陸路ブルガリア、ルーマニアを通ってロシアに入り、 帰りはシベリア経由で敦賀に入港するという行路。 いちばんの目的は、ヤスナヤ・ポリヤナでトルストイに会うことだっ た。ヤスナヤ・ポリヤナに着いた蘆花は、停車場から馬車でトルストイ 邸までたどりつく。早朝六時なので庭内のベンチに腰かけて待つことに した。 …… 余は暫し憩はむと、コルクのヘルメット帽を枕に、インヴァネス うち被りて仰向けになり、うとうと何時しか夢心地になりぬ。良(やや) 久しくして人の近寄る気はひあり。つとめて重き瞼を開けば、一人の老 翁吾側(わがかたはら)に立てり。庭の掃除に来し百姓爺(ムウジク) かと思ひしは一瞬、まがふべくもあらぬ翁の顔に、刎ね起きるより早く、 「おお君はトキトミ君」と翁は歯ぬけて子供の如く可愛ゆき口もとに笑 を崩して手を差伸べ、余は「ああ、あなたは先生」と緊(ひし)と握り し其手は大にして温かなりき。 ── 徳冨 健次郎《順礼紀行 190612‥ 警醒社》 ── 文学・戦争・社会主義・キリスト教と七十八歳のトルストイと 三十九歳の蘆花、二人の話はいつまでも尽きるところがなかった。(*) ── 板坂 元《日本文学三六五日(上)19741210 講談社現代新書》P197 ┌┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┐ ↓=Non-display><↑=Non-display └┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┘ 蘆花、関 寛斎との出会い ── 明治四十一年四月二日の昼過ぎ、妙な爺さんが訪ねて来た。北海 道の山中に牛馬を飼って居る関と云う爺(じじい)と名のる。鼠の眼の 様に小さな可愛い眼をして、十四五の少年の様に紅味ばしった顔をして 居る。長い灰色の髪を後に撫でつけ、顋に些(ちと)の疎髯(そぜん) をヒラ/\させ、木綿ずくめの着物に、足駄ばき。年を問えば七十九。 強健な老人振りに、主人は先ず我(が)を折った。兎も角も上に請じ、 問わるゝまゝにトルストイの消息など話す。爺さんは五十年来実行して 居る冷水浴の話、元来医者で今もアイヌや移住民に施療して居る話、数 年前物故した婆さんの話なぞして、自分は婆の手織物ほか着たことはな い、此も婆の手織だと云って、ごり/\した無地の木綿羽織の袖を引張 って見せた。面白い爺さんだと思うた。 ── 徳富 健次郎《みみずのたはごと 19380415 岩波文庫》 http://www.aozora.gr.jp/cards/000279/files/1704_6917.html ◆ http://d.hatena.ne.jp/adlib/20080109 クロイチェルの残響 〜 東儀家と西村家の人々 〜 http://d.hatena.ne.jp/adlib/20030524 《クロイツェル・ソナタ》 ヤナーチェック《弦楽四重奏曲第1番 19241017 初演》 〜 トルストイのクロイツェル・ソナタに霊感を受けて 〜 http://d.hatena.ne.jp/adlib/19681001 《初演日誌》 October http://d.hatena.ne.jp/adlib/19680414 《初演年譜》 1921〜 http://d.hatena.ne.jp/adlib/20060115 黒白記 〜 大阪外大の人々 〜 http://d.hatena.ne.jp/adlib/20050531 花田家の人々 〜 ワカッタカ?騒動 〜 http://d.hatena.ne.jp/adlib/20031224 おやおや? 〜 続・親の顔 〜 http://d.hatena.ne.jp/adlib/20031208 第三の偶像 〜 もういちど観たい映画 〜
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20030321 死せる魂 http://d.hatena.ne.jp/adlib/20001007 ポール先生、さようなら 〜 続・教え子の消息 〜 http://d.hatena.ne.jp/adlib/19850313 野上 弥生子の日記 〜 日記総覧 〜 トルストイ 生立ちの記 三D 木村 祥子 http://d.hatena.ne.jp/adlib/19541006 図書室便り 〜 読後感想文コンクール 〜 http://d.hatena.ne.jp/adlib/19531129 併存 〜 徳富家の人々 〜 ◆ 進化論から資本論へ http://d.hatena.ne.jp/adlib/18731001 ダーウィン(64)vs マルクス(55) ケインズ(45)vs ウィトゲンシュタイン(39) http://d.hatena.ne.jp/adlib/19290118 先知不読 〜 読むべきか、書くべきか 〜 ヒルベルト(70)vs タカギ(57) http://d.hatena.ne.jp/adlib/19321008 数える人々 〜 ヒルベルト訪問記 〜 (20081017)
|