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■ (日記) 昨日の続き・・・・・
女性客も帰り、その男性客と二人だけになり、互いに歌を交えながら会話が弾んでゆく・・・・・・。 そして彼はアタシと同年代に見えたのだが、実際はアタシよりも7つほど若かった。
・・・と、彼がポツリと「実は今回の一人旅はチョット遣り切れない事が続いた直後の傷心旅行なんですよ・・・・・・」と呟いた。 「一体何が有ったの?」と聞くと、こういう事だった。
つい最近、彼の親しい職場仲間が相次いで二人も自殺を図ったのだそうだ・・・・・・。 自殺した二人はさほどの接点はなく、自殺原因に連鎖や関連性は無いのだそうが、二人とも彼の部下だったらしい。 その内の一人はまだ若く、3人の子供はまだ小さいと言う。 私達は少し沈黙し、それから自殺する人の心理状態や、残された人間の苦悩や将来についてしんみりと語りあった。
アタシの店は不思議な店で、例えば悩み事などの相談に訪れた人が居るとして・・・、その事に付いて真剣に語り合っている内は邪魔をしないかのように本当に人が入って来ないのだ・・・・・・。 その話題が一段落すると、ポツリポツリと人がやって来る。 話しを聞いていると彼のまじめさや、正義感や、人の良さや、温かさなどがヒシヒシと伝わってくる。
歌や会話で彼を元気付け、彼も少し元気を取り戻した頃、1年半ぶりくらいの摩訶不思議な小父さん客が入ってきた。 その客は過去一度しか来たことは無いが、ベレー帽のような不思議な帽子をかぶり、何時も大きなかばんと紙袋を下げ、アタシの母の名前を知っており、独り言のような事をブツウツ呟いており、しかし何か話しかけても会話があまり成り立たず、正体不明、意図不明、性格不詳、意味不明の変わり者だ。 漫画家か小説家か画家のような風体ではあるのだが、アタシャどう対処してよいか解らないので苦手なタイプだ。 自分でも自分の事を「変わり者だからねぇ・・・」と言い笑っている。 まぁ、来れば焼酎を一杯頼み、付き出しを旨そうに食べ、何時も山崎ハコなどの風変わりな歌を4〜5曲歌い、突如帰っていく、人畜無害な客ではある。
しかしその人のお陰で、男性客とは妙な連帯感が生まれ、目を合わせては首をかしげながら苦笑し、さっきまでの遣り切れない気持ちが少し緩和されていた。 と、そこへ常連客の(T)が入って来、皆で歌三昧、対話三昧の和気藹々的なムードになった。
やはりヘンチクリンな小父さん客が突然帰り、その後は(T)が男性客に「僕も外の手書き看板に惹かれ、何気なく入ってきてからの常連なんですけど・・・この店って不思議なんですよね・・・」と、この店の宣伝よろしく男性客と意気投合しながら歌いまくり、談話を続けていた。
やがて夜も更け、男性客はすっかりこの店が気に入ったらしく、自分の身の上話まで総てさらけ出し、スッキリ顔になっていた。 結局彼はサービスビール含め、10杯近く飲み、歌も沢山歌った。
帰り際、男性客が「この店って・・・笑うセールスマンの[魔の巣〕のような店ですね。」と言っていた。 「そうですよ、選ばれた人しかこの店には入れないんです。アナタはハンドルを握った時から、この店に来る運命だったのよ」と、アタシも不適な笑みを浮かべ、ニヒルに笑ってみた。(漫画の見過ぎじゃ!)≧≧≦ブハハハハハハハ 名刺を渡し「今度来た時にはこの店は無くて、今日が幻かもしれませんが・・・」と再びジョークを言った。 (T)はニヤニヤと笑っている。 それから(T)としばし飲みながら話をし、ほろ酔いで無事に店じまいをした。
翌日男性客からメールが届いた。
昨日は、色々ありがとうございました。今、白糸の湯にたっぷり浸かり疲れも取れて、みやまの手打ち蕎麦をおなか一杯食べ、満足しました。今から静岡に帰ります。身体に気をつけて何時までも元気で居てください。ありがとうございました。
(K)さん、先日はありがとう。 又何かプラリと出かけたくなったらいつでも来てください。 愉快な仲間がいつでもアナタを待ってますから・・・・・・。 まぁ、何はともあれ、元気になってくれて良かったナリ。
2007年02月28日(水)
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