『 hi da ma ri - ra se n 』


「 シンプルに生き死にしたかった 」


2007年09月07日(金) 脈の河

ざわざわとがたがたと
押してくるは圧倒して質量あるもの
その硬さ重さでねこそぎ揺さぶり
たゆみなく擦り減らしていく
いつか冷蔵庫にわすれられたチーズのよに
みんな、ばらばらと散るだろう
もろくくだけてちらばるだろう
ただ、単色のせかいに

ごとごとと鳴るね
それは誰のくだした裁き?
……いいえ、だれも
だれも、ここにはおりません。

ふるえる琴はそらにも地にも切り離されてちぎれとぶ。

水とひとつになればよいか
風とひとつになればよいか
揺れる樹木のひとえだにすべて
投げかけるようにこの窓を開けて

おなじつめたさまで
おなじさびしさまで
沈めてしまえば、もう鳴らないでくれるか
血をはきだす、鼓動のいたみ
ごとごとと絶えない音律がまた
ぼくを少しずつ削るから
鈍くひかる胸底鉛
あなたはどうしてさけばない
いたいとどうして
あのひとへ向けて、さけばない

試験管の世界を掻き回せ
撹拌、昏迷、そうして
その手で放りだしてこなごなにくだけば
もう

このいたみにだれも悩まされずに眠れるね



嵐の夜に。


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