『 hi da ma ri - ra se n 』


「 シンプルに生き死にしたかった 」


2006年07月29日(土) あかるすぎた夜。

知らない夜の道を歩きながら
すとり、と
物音がするみたいに考えた。

わたしにできることは、たぶん
だれかの話を聞くことと
それから、みていることなのか、しれない。
つぶさに、見落としのないように、
かなしいこともうれしいことも
そのままに。

アクティブな眩しい大勢の人たち。

その位置に立ったふりをして
呼吸困難だったときも日も。

帽子をとってそらをみたよ
ばくぜんとした暗さ、
夏の暑さがそのまんま落ちた
不透明なそら。

ちいさな声でうたうたいながらうちへ帰る。
つまらない架空の死なんてうたってもしかたない
真似だけしても、よけいに、かっこわるいだけだよ。
……それは少なくとも、もう、わかってる。
いやというほど、わかってる。



2006年07月25日(火) 約束。

飼っているひとが
巣くっているひとが
あばれはじめた

喪失感を喰らう
傷をもとめて
声にならない、さけびは無音

やいばが呼んでる
いやだとあらがえば
おまえの一部をよこせとか
昔語りの魔法使いのようなこと
言い放って、笑い

……真夜中の攻防、朝までつづく

あたしがなくしたのは長い髪
あなたが得たのは、なに?
うまく逃げ出そうとしてた奴に爪ひっかけてひきずり戻した
その獲物一匹ですか

血は、あげないよ
あげないんだから
抵抗でからだギシギシにさせながらただ
めのまえの刃を睨む

いつもいつも、圧倒的にあなたは有利でした
遠くはなれてもまだ、足りませんでした
さまざまに、うしなったぶんだけ揺れ動くこの
ぼくそのものが、悪いのだけど

…愛してる?
…うん、愛してる
…愛してる?
…もう愛してない

…あたしはまだ、愛してた。

そして力をとりもどす
あたしのなかの、たくさんのひと


・・・・・・・・・・

ほしいものはたくさんあるの
だけど手に入らないのは
消えないよという、約束だった
破られつづける、約束だった

朝がくる。



2006年07月21日(金) わがままなうたをこの手に。

ぶりかえしたものを
痛みや涙やくるしさや、そんなものを
つつみこむように湯舟のなか
うずくまる

胎内、羊水、それは
ほんとうに言われるほど
やさしいものだったの

ぼくにはわからず
陸にあがったばかりの人魚が
捕われたよな違和感をもって
からだを見下ろして

つつみこむ、音
以前にあいした、音
愛なんかではたりなかった
わたしの一部を
部屋のなかに満たして

脳髄のやわらかいところまで、この愛でいっぱいになればいい
痛みや涙やくるしさや
そんなものを、消すように

こわがりながら手をのばすの
まだ、消えるのは早いから
あなたに逢ってはいないから
好きと伝えていないから
この声で

わたしはこわがり
わたしは臆病
でも
ささやかに、諦めたくないことはあるよ
歌声につつまれながら
ふるいおこす、気持ち
ドアを開けて靴をはいて
その海を、たずねていく勇気

ザンサイアン。

八月、
無防備な冒険者になって
あたし
あなたの歌を聴きに行く。
かなしい今だから
転びそうな今だから

祈るように夜
溢れるおひさま
待ってて



2006年07月19日(水) 波風のよな雨だから

この夜の雨はまるで季節のさかさになったように降るから
あたしはその音の打ち寄せるたび、天井の下で小さくなる
弱小な、やわないきものは
たったこれだけの雨音で
じぶんをみうしなえるのね
あるいは
見つけられるのね
いつもは(たぶん)隠し通せている
おびえながらせかいに、つかまっている立ちんぼの存在
どこにいるのかいていいのか
次々、わからなくなっていくから

夜の雨

波のように強弱をかかえながら
ふたしかなものを、うちたおしにくる

朝が来る、とて
すくわれるわけでなく

となりに誰がいるんだろ
いても、いなくても

あたしは雨の音で咽までいっぱいになり
こころは心臓とからだの怯えを
すきまなく抱えて、聴いていて

きみのキスも
あたしをここから出せないって
それだけは、もう
ずいぶん前から知っている

けど

……ひとりでこわがる、それはとても、こわいよ



2006年07月16日(日) 潰されゆく、sign

真夜中の
耳をふさいでの、絶叫
喉ががりがりと、鳴った
がまんできない感情が壊れて吐き出す

貰ったのは

罵声。
甘えんな消えろ出ていけ
死ねるんなら死んでみろ

あびせかけられるのは
繰り返しくりかえされた
にくしみの、抽出物、
おまえが気に入らないとそれだけをくれる

……どうして?

息を詰めて
わらいながらくらすの
それしか
みつけられなかった
あたしが支払う代償が、いま。



……あなたにあいたい。



2006年07月13日(木) じょきり?

よどみなく
日常をこなしている人をみると
ふしぎです

障害なく
眠り起きている人をみると
ふしぎです

痛くない日々、苦しくない日々

けど
外からみたら
出歩くにふらついて混乱したり
休めなかったり息切れしてる
なにをするにつけてもオクスリを飲むあたしのほうが
ふしぎで
理解不能、なんだろう

ねばならない、の、嵐。

上へ上へ上へ、飛翔セヨ

…邪魔なら
消えたいと思いました
笑っても泣いても
同じくらい、苦しいんなら
ときどき
たまに

どこに向かってもあたしが許されないとき
同じようにできないならいなくなれと
たくさんのメッセージがふりかかるとき

敏感すぎて、すみません。



2006年07月09日(日) ゆがみ

痛い痛いで朝があけて
そのまま夜になりました
痛みに疲れたら
きっと、ぱたりと眠れるんだろうな
いつかみたいに

怖いことが家のなかまで
あたらしく、押し寄せてきているのを感じる
でも、感じても、
私にはなんにも変えられなかった
こどもっぽさと、甘えと、それにちょっとした適応ミス
理由はきっとそれだけで……

あたしはあのひとらのてあしではない
玩具ではない
理屈はわかっても
怯える体は心にしたがう

笑いたい

痛いことで
現実の痛みでおおかた埋まった日々でした
明日がそうでないように
だれかれの前でも
笑えるように
まるで祈りみたいに想いながら眠りにつきます
今日も

おやすみなさい、
また、あした


7月8日、夜



2006年07月02日(日) SummerSale

痛み、というやつに
日常をふりまわされて
何日たったでしょう。

傷んでいくのはカラダと一緒にココロですか。
消えうせたくなり
刃物を怖がり、同時に
吸い寄せられる
腕をなぜると膨れたままの去年の傷のなごりが
ふうとあたしを呼んでいて

……ちがうちがうちがう。

喧嘩を売るみたいに
なにかをしたがり
予定を立てては
痛みに負けてみんなが白紙、
かなしいななんて泣くまでもいかず
痛いの塊になって倒れるばっかりでした
七月になったとて
回りはセールにそわそわするけど
わたしは、ね
半時間でダウンして
鏡のなかのぼろぼろの顔、熱出したまなこで見るに見られず

ぴりりんと痛いほっぺたの顎のちっぽけな発疹
こわがりながら(またヘルペスさんは嫌です嫌だ)

たまにはね
たまには
笑って外に出て、いろんなものをそのままみて
泣くことなしに、帰ってきたいや、
顔、落っことして闇雲なものになるのでは、なくて

おかいものにいきたいな
ちっぽけなものをいっしょけんめ見て
くたびれたらお茶でも飲んで
ささやかな戦利品かかえてうちへ帰りたい


 < キノウ  もくじ  あさって >


真火 [MAIL]

My追加