『 hi da ma ri - ra se n 』


「 シンプルに生き死にしたかった 」


2005年04月30日(土) 落果

日常がアップダウンの激しいジェットコースターみたいだ

・・・・・・やめてしまいたくなる

ひとになにかを言ってゆるされるくらいの器量なんて
ほんとうは持っていないのに

息を吸って、吐いて
勢いだけでさけんで
今日もごはんを食べてしまった


ねえ

泣きついてもいいですか


……そこにいたる道なんてぜんぶ
自分でばっさりと叩き落してきたでしょう
だからもう
あたしには涙を見せる資格のないことも
体よく忘れようなんて許されないことだ


04.30.1:24


音楽と夢との相乗効果
たかがとかげの抜け殻ひとつに
恐怖して泣き叫ぶなんて
あたしらしくない

そんなもの現実に目の前にあったなら
ちょっとつまんで平気な顔で
外にほっぽりだしておしまいなのに

からみついて離れない恐怖に怯えきって
目をさましたら、
喰らいはじめている不安

午後5時


・・・・・・・・・・


さびしいが巣食いはじめたらなにもわからなくなってしまうから
何にもまして注意深くそれを避けてとおらなくてはいけない
そうわかっているのに

気がついたらそれはちゃんと微笑みかけてきていて
ほんとうに何よりも親しみぶかい笑顔でぼくに触れる
脳の奥底のほうの焦燥

つなぎとまっていたところ
弾けとんで

行きたくないのに。


・・・・・・・・・・


はやく目をさまして
この腕を掴んでやってください
なにも与えてくれなくていいから
掴んでやってください
好意なんて期待しないから

もし
できれば


・・・・・・・・・・


みかただったもの
おまもりだったもの
たいせつだったもの
揺るぎないと信じていたようなもの

見えなくなってしまった。



どうしよう。


皐月闇、夜



2005年04月29日(金) love song to a little child

どこかしらこわれているぼくを
自分で所有できているとは、到底
思うことができないのだけれど
それでも持っているもの

力づよいことばは
じぶんには無効なんだよ
いくらひとを泣かせられても
いくらだれかを
楽にすることのできても

傷口にあてる手は自分のものよりも
ひとのほうがいいことをよく知っていて判っていて
支えて、と
ひとこと頼むことができない我儘なぼくたちのプライド
塞がないできりひらいていくいくらかの傷痕

旅は愛を深めるかも知れないけれど
ひとりで泣きじゃくるのは孤独を深める
その両方をいっぺんにこなしながら
それでも、ね

わたしはいつかまたあなたに会いたい。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


誰かの不在のぴんと来ないまま
とりこんだ、夏のひざしによく乾いたシャツの一枚
もう袖を通すひとがいないことに気づいたとき
そのときの狂おしさを今のぼくは知っている
悼むことばの持ち合わせがなくて不器用に黙り込み
だけど、知っています
その取り残された一枚のぱりっとかわいてあたたかいシャツの
どうしようもないかなしさ

……隔てているのはそれくらいのちがいなのかも知れません

持っているもののひとつきりは
あの不在のあまりにも大きくて
どうしようもないこと

季節だからでしょうか
思い出してしかたなくて
口に出せないから
こうやって……こんなところに記している

ねえあのひとが生きて暮らしてわらっていたことを
おねがいです憶えていてください

そんな思いしか浮かべられなかったころがカレンダーの日付と
めぐってくるお日さまや緑の色や日差しのつよさに載せて
またくりかえし親しみぶかく、現れるということ

たくさんのひとがまたふっふっと
かき消すように、不在に変わって

うねるかなしみ


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


泣きじゃくるしか能のなかった夜
昔ずっと前に処方されていた
睡眠薬と安定剤と
ついでに頭痛薬を追加でなげこんで寝床のなかへ自分をねじこむ
夢はおぼえていないけれど
そんなにも悪いことはなかった
目をさましたら
あかるくてふりそそいだ夏のひかり

役にたたないぼくでした
ずっと以前から
そのままで
座ってことばをつむぐことはできても
立ち上がり外に出て行くことはなくて
なんにもなくて
熱と炎症と、たびたびわきおこる不安やなにかの
正体の不明なやつらを飼いならし、羨ましがり妬みながら

ひかりに食いついていけるかは、、、もう、
みんなそれ個人個人の
思うところにまかされるまま

黙るなんて大人ぶることもできないで
見つめていようとそんな気持ちでしか
いられなかった

はつなつの匂い
燃え上がっていく

つきささる緑
青い槍の葉
それを覆い隠しふりつづける
きんいろの

あなたのところにもふりそそいでいたらいい
あなたの目にも
見えていたらいい


4月29日、午後



2005年04月27日(水) 緑光

緑が
めちゃくちゃにきれいな夢をみた
毛糸の帽子とマフラーにくるまって目をほそめて
ふきっさらしのロープウェイに乗っていれば
行く手は
あんまりに眩しくて泣きたくなるようなひかりで
見覚えのない隣に座るきみに
(でもとても大好きなあなたに)
ぼくが
夢中になって叫ぶ
きれいだねえ、とそんなようなことを
ただ

誰もみんな向かい来るつめたい風に目もあけないで
下を向いてやりすごしている、ふきっさらしの乗り物の座席で

ゆくてには
あんまりに
きらきらしてしかたないみどりの
いちめんに
待ち受ける

ひかりだ

ときどき呆然としてしまうような夢を見る
向こう側の世界に半身だけきりひらいて置いてきてしまったような
そんな気分で

目をさましたらふたたび熱だった
目蓋の裏には、
泣きそうになるほどにまぶしいあの緑が
残り絵となって
ちかちかとしていて

その映像だけ無くさないように
ぼくは目をとじる
そこに至るまでの出来事のことや
なくしてしまった体温のことや、錆びてしまった教室の机
ことばの出ないかなしみやなにかを凌駕して
ただただ
覆われようとしていたあのとんでもなく
とうめいな色のことだけ記憶に刻もうとして
ぼくは目をとじる

どんな絵画も
どんな写真も
まだ
焼き付けていないあざやかでかなしい
風景のこと


4月27日、夜



2005年04月25日(月) 夜明けくらいに見るべき夢

たとえば、あのひとに泣きつかないで
立っていることがときどきとてもむずかしくなること
そういうぐじゃぐじゃに弱い部分が
もうあと一押しで
転がり出てこようと待機している

ひとりにならなきゃ
そう思った

自暴自棄なのとは少し違って
また「正気」に帰ってきたとき自分のうしろにつらなる昨日をみて
あの脱力感に襲われないように
寄りかかってよいところといけないところ
その境目の見えなくなる前

ひとりにならなきゃ

支えをうしなったブロックが
がらりと落下する
その重たさと衝撃を
受けるひとにはそれなりの傷がつき

……傷をつける

この手が誰かに傷をつけたことをぼくは知っている

物を言わない旅をする
知らないものに囲まれる
眠った場所とちがうところで
目をさまして
すべて声をかけるものにははじめましてと言おう
両腕に抱えられるだけのものが今のぜんぶで
足りないものが在りえるとすれば
それはきっとあなたがたの不在だけれど

遠く遠くに運ばれていくぼくのからだと
遠く遠くへいくぼくの意識は
なにも傷つけることはないままに思い出し続ける
自分で選んできたあなたの不在について
さめたばかりの夢の
後味みたいに


 がたごとと列車は銀河のなかを走るので
 これからいつか誰かの見る夢のおりかさなって朽ちて
 きれいな層になっているのがたくさん見えるでしょう
 かぞえきれない沿線の枯れすすき
 手折ってみれば恐らく
 あのひとに送る手紙の一文を思い浮かべて
 ぼくは少しだけ、遠くの空を見る


甘くて儚い綿菓子の
いちぶには到底なれないが
その甘さが明日の朝への助けになるんなら
ねえ、それじゃきみ
誰の手もいらないとほがらかにこの身に嘘をつき
遠くへ行こうか

遠くへいけるか



4月25日、夜



2005年04月22日(金) 冬、陰性植物

古びた青いシートの座席に座り込んで
かたほうの端で
きえてなくなりたいとわたしが泣き

もうかたほうの端で
きえてなくなってしまったあのひとがいて
なくなりたくなかったと

泣く

泣きながら、そのことを知っている
薄く細く
けれど確かな境界線で
ぼくたちがくっきりと別けられていることを
つねにきちんと感じながら

誘う手は内側からのびてくる
のびて、のびて、
届きはせず
はねかえされる言葉とまなざしを
食べ物にしてふいに生長するあおじろい手が
ふらふらと

憎んではいけないとすべてのものが大声で言う
おまえの怒りは不当だとすべてのものが投げ返す
列車は、夜のなかを走るので
ぼくはただ
暗がりへの段をひとつ踏み外し
ただしく間違った自分の上を
きちんとスピードをあげて
走っていく

(いらないのはぼくです)
(……でも)

……あの白樺林はまるで骨のように見えますね
ええそうです
寒さと雪に白く白くみがかれて
枝の何本かを打ち落とされた地面の骨です
そうしてすぐに緑に芽吹くだろう無数の骨の林

叶うことなら
野生の木になれ



2005年04月18日(月) 旅の前の日。

ぱたぱたと日がのぼり
ぱたぱたと日が暮れる
外の時間となかの時間、
ゆるやかにずれたまま添うことがなくて
途方に暮れてみる

暮れてみてもとくに何も起こらないのは承知にて、
健康ってなんだった。

少しきちんと暮らせていたとき
向こう側があかるく見えそうな気がしていたから
旅をするという提案にうんとうなずいた、
あの視界どこへ行った?

うすぐもりでつめたい風のふいている日は好き、
花冷え、花曇、
すいすいと通り過ぎていくつめたい粒子

邪魔なのは消えてくれない熱やら
からだの痛みくらいなんだったから
どうしてそれだけがなんともならないのだろうと
不思議にくらい思いながら

みんな変わっていくのにね

うちのなか歩き回る皆のぱたぱたとせわしない足音を
少し離れたところで聞いている、そのまま、そのまま

目を瞑って
じっとして
じわじわと低温で焼かれるような
からだのなかを
なだめたい

……こんな筈ではなかったとか、そういう思いも浮かばずに

笑顔つくるのが少しむずかしくて
くっきりと控えている予定が
何かとても不穏なもののようにも
見えてくる、その理由が
ぜんぶぜんぶあたしのからだの中にある

あした、あたしは、笑っているでしょうか
笑うことができるでしょうか
とても好きなはずの
少しつめたい風のふくなかで
もう少したやすく
もう少しほがらかに


…………。


とりあえずとりあえず
熱よ下がれよ



4月18日、昼



2005年04月16日(土) 濁り水

まとまらない。

考えがまとまらないついでに
自分のからだまで
どんどん、ふたしかなものに薄まってひろがって
拡散していってしまえ

叩かれた衝撃の一瞬で消えて
のこらなかった痛み、
なぜかかなしいことばかり目に付いて仕方ない週末です
季節は八重のさくらへとうつり
たのしみにしていた音が
たのしみにしていはずの声が
顔もない誰かさんの言葉によって
次々に落ちていく

春の広葉樹林をみたいなと
そう思いながら駅の大きなポスター
ながめていた
たとえばぶなの森の水

白濁、

もえあがるみどりの木、
自分の存在が
もううるさくてしかたがない。

ひざをかかえてうずくまろう
旅に出て行く夢を見よう
あたしのからだはとてつもなく自由で
重い荷物も苦ではなくて
ただ
未知のものに目をまるくして
みずみずしいよろこびということを
神経のすみずみで余すところなく
味わうのだ


4月16日、夜



2005年04月12日(火) 午前0時

叩き続ける手が止まらない
キーボードにしばりつけるか
なにがなんでも
どこかに。

額も首も頬も覆われてしまった
あたらしい湿疹と言うやつに

ひっきりなしに自分を殴るなんかばかげたことだと
わかっているのになんだか止まらない手で

いやだって言っているのに

言うことを聞けよ
あたしのからだ?
言うことを聞け。

0:44


この皮膚が弱くなって痛くて
勝手にとろけていくような感覚
あたしまっくろになってしまう
もう駄目かもとか
まだ駄目かもとか
そんなふうに
考えの持ち上がってきてふくらんで

ちがうちがうちがう。

爪を、みじかくみじかく切ってやすりをかける

どうしてか今日に限って
あのこからたくさんメールが届くから
キーボードを打っていたら少し気がまぎれた
ひとりじゃないものと
くりかえして

眠れないとかさびしいとかで
つながっているのは不毛で不健全だって
あの人なら軽蔑した目で見るのかもしれないけど
でも、あたしは
現実に助かってしまっているから
なんにも言い返せない

ごめんなさい

2:25


枕カバーもタオルもおふとんも、
触れると気持ちが悪くて
寒いのにあたたまれないやって
思っているうちに、もう外は明るい

ステロイドの何度めか塗布
こんなおくすりとタッグを組んで
ひとりで夜中うろうろしているのなんか
慣れたけど
でも
繰り返したいわけなんかじゃないし
平気になれたわけでもないのに

みんなみんなが熟睡しているのに
ひとりで自分に取っ組んで
つかれきったころ朝が来て
起きているのを見つけられて、たしなめられたり

なぜかなあ

どうして、ひとと同じような生活時間帯で
生きていられないんだろう


午前5時半


ステロイドでふたされた皮膚は
薄くてやわらかくて
補修、という表現がぴったりだと思う
強くつついたらくずれそうな
からだのなかは暴れっぱなし

それでもひとは表面をみてものをいうし
寝転がっていたら起き上がれるといいねと言われるし
ごはんを食べたら熱が出るんだけど
食べないことで責められる
罪悪感を抱く
恋人さんはまた治ったなら夕方出てきたらなんて

ときどきかなしいよ

13:00



2005年04月11日(月) 雨、花催

雨がさらさら降っていて
ああこんな日こそ
ちゃんと桜
見にいけたらいいのにと思う

だってぼくは雨の日のさくらが好きなんだ

熱っぽいのがやまないので
なにもしないで
とにかく寝ている
雨の音を聞いている
前にみた、たくさん、たくさんの花のことを
いっしょに思い出す

水にけぶってやわらかな色は
記憶の中でも同じ気がする
めのまえでも
時間の奥でも

授業中にひとりで窓の外をみているのとひとしいような孤独感
誰もいない、誰もしらない、誰もみていない
さらさらさらさら
降りつづける雨と色をなくした顔のない花
黒々と濡れてひかる木の幹と
ふわふわと水をうけよろこび萌え出でてくる
あんなあかるいみどりの色と

雨が
ふってくるのを待っていました
花をみるのはただひとり
傘をさしかけて水のにおいと
なにもかもが落ち着きすぎるほど落ち着いてしまった
そんな日であればいちばんよいと
肝心の雨雲の広がる少し前までちゃんと
待っていました

さえぎられて見えない
木のことを思っています

夕方だね

また眠るよ

おやすみ。



4月11日、雨、花催



2005年04月07日(木) memo memo

あたたかくなったからか
それとも何かのはずみなのか
痒いようなんて夜中にぐずって
3時間睡眠、
着がえようと脱いだパジャマに、久しぶりに血がたくさん
びっくり。

がさがさとした頬をケアしようとつけてみた薬で
失敗をして顔がよけいに皮膚炎をおこしたので
臨時に通院、
先生に驚かれた。

レスタミンコーワ軟膏、
くすり自体がキズがあるところにしみます、と
そう言ったら驚かれて
(通常はしみないのだそうだ、知らなかった)
パッチテストをしてみようと言うことになり
現在実施中。

パッチテスト、
調べたい薬剤かなにかを肌に塗って
上から大きなばんそうこうを貼って
マジックでマーカーをつけて
二昼夜放置、というやつ
前に背中いちめんで実験したんだけれど
今回は一種類だけなので、二の腕の炎症のないあたりにて。

ステロイドの種類がふえる
今度はロコイド軟膏、
皮膚の薄くて薬剤を吸収しやすいところのために

EAを自分から指定して処方していただく。
ユベラ軟膏……だっけ、
やわらかくて肌あたりがやさしいので
お気に入りだったことを思い出して。
たぶんこれなら反応が起きることも……ないと思う、
効果がつよいと肌がくすりに負けて逆効果と
そう思ったほうがただしいみたい。

デパスは増量、
抗アレルギー剤は維持、
手指のぐじゃぐじゃが治らないので
密閉用に貼るタイプのおくすり出してもらった
好きではないんだけれど
治るひまなしの箇所だから、仕方ない。
親指と人差し指をひとはほんとうによく使う動物なんだな
インタールはあいかわらず高い薬だ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


週に三回病院に通うのはちょっとつらい、
と、思う
慌しくあたたかい春のなかにあって
沈降していくから

元気とか
元気じゃないとか
元気とか
ごめんなさいとか
謝るんじゃないとか

ひとりで支度してひとりで出かけてひとりで待合室

ままならぬようだったらまた
精神科をさがしてかかろうかと
思った
さいなまれていっぺんは出てきてしまったところ

あのころぼくは
すくなくとも
名前が出てこないんだけれど、SSRIとSNRIと
ハルシオンとかユーロジン(?)とか
デパスとか
そんなものをそれぞれ一日最大処方量めいっぱいまで
毎日のみこんでいたのであり

そこから乱暴にも抜け出してきたんだった
二ヶ月か三ヶ月かけて
血管が切れるんじゃないかしらと思うような
頭痛と闘ってみたりしながら
(ぼくはSNRIの血中濃度がさがると酷い頭痛がするらしい)
乱暴にも

そう、乱暴にも。

生きてゆく力の弱くて
なんの病気ともつかず
あちこちで叱られることや
そんなことに
やられて

外に出て行ったときの、ふあんほっさ、というやつ
頻度がたかくなり、つよさもだんだんひどくなる
頭のなかの霞がかり具合とか
意識のばらばらほどけていくこととか
コントロールのできない部分が
少しずつじわじわ広がっていくのを
感じていて、どうにもならなくて

意識をしっかり持っていたらおかしなことにはならない、なんて
健康な精神を持つ人たちの間でだけ通じる言い分だ、と

自分の
うけこたえする声やせりふや笑うことなんかが
耳障りになってきた、それから遠くて
現実感がうすくて
出所のない恐怖感に駆られないかぎりは
ぐずぐず言いながらカロリーオーバーの食べものを次々にたべ
色んなものを衝動買いしてお財布を軽くすること、
現実感がうすいと変なほうに踏み出していける。

はやく見つけなくちゃ
はやく、やめなくちゃ
色んなことを。

診察室で
自分が消えてなくなるような不安に襲われながら
かたかたと震えていたら
看護婦さんが、「いつもかわいいわね」と
声をかけてきて、まわりでふわりと笑われた

ストリートオルガンのまっしろなエプロンを着て
病院のまんなかに座っていた日
最近いつもこんなふうな格好だから
知らないうちにいろいろ、目立っていたのかも知れない

エプロンスカートが好きです。
春だから
あたたかだったから
真っ白いのを
昨日は着ました

ギンガムチェックのスカートと
白い生地に白い糸でぬいとりした
エプロンの重ね、

ふわり、

ふわり、


4月7日、きのうのこと



2005年04月05日(火) バニラ

胸をはって
元気だよなんて言える日が気がついたらずいぶん
なくなってきてしまったんだけれど
今日は、たぶん
きっと元気だったよってきみに言えると思う
そんなふうに思っている
午後4時のひだまりと、窓越しのひざし

ピアノの音がしていて
ゆらゆらと
まぶたのうらで潮の満ち引き

硬貨ひとつもって
ぽくぽくと歩いていってただ2分
あのひとならたったふたくちかみくちで平らげてしまうだろう
ちっぽけなアイスクリームが
どことなく蜂蜜のにおいをさせていた

バニラビーンズ

しずかな午後



4月5日、夕刻



2005年04月03日(日)

物音がみんな痛くひびく、
怒ってるの?
ねえママ
あたしここにいたら
生きててごめん?
痛い、

こわい。

仕事は、いちばんにきっと、眠ること
なにの助けを借りてでも眠る

それは、耳をふさぐこと?

考えることが散乱する
むずかしくて途中でわからなくなると
思っても
いくら思っても

目をとじること
口をつぐむこと
縮こまって
眠る

………。

なにかくるみこまれたように
うっすらな意識
見えるもの聞こえるもの感じられること
遠いね、みんなみんな遠いね
そうして手探り
つるつるとすべり落とす
つかもうとする気配もそろそろ薄れて
投げ出したもの視界の外に
雑多にころがり
壊れても腐っても
どうでもいいように

ぼんやりとしているなか、ただひとつきり
はっきりとしていること

こわい。



2005年04月01日(金) sickness

たぶん、決定的なところでのさびしい病。


だあれのことも
ひとまわり遠くに
信じてはならぬと
睨みつけて

ぼくはいったいいくつだろうか。

信じてはならぬ
信じてはならぬ
この一点に於いて
気をゆるしてはすべてが粉々になるのだから

恋人でさえ信じてはならぬ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


あちこちで
エイプリルフールの冗談を
たやすく信じてきて
そのたびに
ええええ、そうなの?
なんて驚いていた日

「冗談のセンスがすっぱり抜け落ちている」しま子ちゃんみたい

でも
人の言うこと信じてころころ笑うのも
悪くない。

そんな日、
桃色のワンピースを着た
ドビーチェックのかすれた濃淡
袖を通せなくて
きっとちょうど一年、経った

凛々しいコーギーや
ひとなつこいダルメシアンや
大挙しておしよせてくる
どこからこんなに現れたのかというくらいの子どもの群れで
そこらじゅうがいっぱい、
そして身を隠すのらねこ
どこへ行ったか

みんなみんながうちへ帰ったら
どこからかのそりと現れて
おもむろに日だまりに座るだろうに

午後4時半、
ねこの時間まで
あと少し

だれも見えなくてぼくが
うちへと帰る。



2005年4月2日、エイプリルフール翌日な朝


 < キノウ  もくじ  あさって >


真火 [MAIL]

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