『 hi da ma ri - ra se n 』


「 シンプルに生き死にしたかった 」


2005年03月26日(土) ひかりの迷子

あおいそらで
あんまりに
あおいそらで

あかるいのが目にしみてぼろぼろと涙が止まらない
これは別にアレルギーなどとはちがうと思う
あんまりにまぶしいそこだから、ただただ
射抜かれた目が逃げたがっているだけなのだと

昨日の夜にはりついていたまるい月が
あんまりに曇りなくしろかったこと
まっさらの銀のコインのように薄くひらたく
ぴかぴかとビルの上に置かれていたこと
今のこの昼に思い出すと
それはなんだか
贋物の記憶のように思えるくらい
鮮明なひとつの映像だった

ぼくはこのつよいひかりにうたれてまるでひとつの彫像になる
うつぶせたまぶたのすきまからも漏れてくる、ひるま
明るすぎるような朝


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


鼻炎もともかく全身反応、
熱っぽいのと炎症がおさまらないのと
そんなことをがんばらなくてもいいのにな
スギ花粉に反応はえられなかったくせに
それでもきちんと症状は悪化たどり中
どうやらもう、今日はお薬がまにあわない日です
病院はお休み、
わずかな爆弾をいくつも抱えている気分
いつはじけとぶかわからなくて、ただただ
息を殺して自分の体内うかがっているような
そんな気分

睡眠サイクルがめちゃくちゃなのをコントロールできない
欲しいのは熟睡感というやつ、
ほんとうにたいせつなのにね
小刻みなふるえる眠りはあんまりからだをやすめてくれないこと
くりかえし人に説明するのに少し疲れたので
もう笑ってそうですねと言います

ひとりにて通院という世間の時間に
じぶんをあわせてゆくことができない
手伝ってくれる人をつのったらいいのに
助けてということを
ぼくはしらなかった
知らないままで
こんなところにいる


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


発作……の程度がすこしずつ進んでゆくのです
そうしてなんだか、範囲が広がってゆくのです
広がっていくんです
どこに行くのか見えてこないまんま反応だけ強くなる
たくさんのものへの拒否をしめす身体
……ふあん、です
だけどそれを、その怖さをきみに言うことばの持ち合わせがなくて
みつけられなくて
また笑ってすませてしまった
歪んだ笑いでとりなして
ひとりで居ることのほうへ
流れてしまった

  ……たとえばあなたに気をつけてねとうるさいくらいくりかえしてしまうのも
  たぶん
  こんな感覚から出ているんだと思います
  ひとりぼっちが好きなわけじゃなく、ただ
  ひとりでいることのほうを学んできたように見えて
  ほかのことを
  学ばないうちにただそればかり
  上手になりすぎてしまった

ぶりかえしの発作
ぼくがぼくをみうしなう
たぶん
ただ外からの刺激を受け入れられないだけなんだと思う
物音や振動やランダムな騒音や
においや、ひかりや
……ごめんなさい
意識を手放して
なんとかなろうとする機構がまた
やってきてしまった
取り落とした自分をみつけられないまま
ただ悪寒だけ強まっていく

現実感すっぱりと殺ぎ落としたついでに足元もなくなり
麻痺したみたいに下半身の感覚をなくす
ひとりで歩くと言うことができなくなる
居ながらにして迷子になりました
ごはん食べながら
くずれていって
ただふつうに座っているだけなのに
くずれていって
きみの温かさくらいにすがって
あるいは
まっすぐにひっぱった傷の痛みにすがって
コルクボードに虫ピンで止められた蝶の羽、蟲の胴体

ここはなんだろう
ぼくはどこだろう
どこにいるんだろう
分厚いビニル袋につつまれて
世界中が
とおくなる
陽炎みたいにゆらゆらと
こころもとなく
存在感が、きえてしまった

おひさまのしたに
出てきてしまった幽霊は、いったいどれくらい
自分のことを場違いだと感じることができるんだろう
いったいどれだけ
影が薄まるそのすがたを
信じることができるんだろう

………。


「出口がどこにあるかおしえて、どこに行けばいいのかおしえて、

 ひとりにしないで ひとりにしないで」



3月26日、昼



2005年03月24日(木) ほのあかり

奇妙な時間に起きて、奇妙な時間にねむる
朝なのか夜なのかよくわからんねえ、と
枕元のぬいぐるみくんに話しかけた
一日、ということを知らないですむほど
からだのなかの時計、ふたたび止まった

振り払えない霧のかかった頭かかえて
三月、春になりきらない空気をたたえた時間のなかに
ぼくはまたぼくを置いてきてしまった
凍りついて
そのまま
現実感はんぶんくらい失せて漂っていく

目をさましたら
さらさらと雨が降っていた
ぶあつい雲に覆われた空
午前8時でも午後5時でもいい
ひたひたと眠りがうちよせてくれるなら
招きよせて、いつまでも眠るよ

空腹や喜怒哀楽のないということ
いらいらすることと涙くらい残って
かなしいのやひとがしぬのは
もういい、と思っているのに

電話から
ディスプレイから
また
かなしいお知らせ、ぽろり。

保とうとやってきた生活のレベルがじわじわと下がってきていて
なにやらガンバロウと思っていたきもちの根っこが見当たらない
なんにもない
ちいさな歌声みたいなものがとおくから聞こえている

願わくば

やりたいと思ったにちがいないこと
たくさんたくさん、この時間のなかに残して
そっくりそのまま、一年あとに
荷造りして送って

そこまで行きついたら
またふたを開けて
マグカップと湯気とおふとんから
凍りついたぼくを取り出して
少しずつ……解かす



3月24日、朝



2005年03月20日(日)

すきでした
すきすぎて
ときどき
ぜんぶ忘れてしまいそうになります
ぜんぶ投げてしまいそうになります

……いらない

・・・・・・・・・・

歯医者さんに行った
歯茎がいたんでいるので
じいんと痛いくちのなか
すべては自業自得的

まっしろでまあたらしくてきれいな歯医者さん
BGMに室内楽、きらきらしている、ぴかぴかしている
心臓は、ばくばくしている

結果、アレルギーの関係でいっさいの治療をしてもらえなかった
ふつう使うくすりが使えないんだそうだ
治療の方針がたてられるまで
これ以上いたまないことを願いながら暮らすのだ
なんてこった

レントゲンのなか中空になった歯が写っていた

まぶしいまぶしいライトのしたで
だいぶ荒れていますねえと看護士さんと医師に感心されたこと
平気で受け答えできたと思ったのにあとから思い返したら
ずんずんかなしくなっていく
忘れてみようとがんばってみても結局のところ
よその人からみたらあきらかに病気の肌してた
つきつけられた鏡の中でも
もうイタルトコロ

あかるいところは、苦手

・・・・・・・・・・

枯渇して
いくらそそいでもらっても足りない
足りないと駄々をこねて
そのうちすてられるのを
待っているのですか
もういらないよって
投げつけられるのを待っているのですか

お情けのように時間をわけあたえてもらって
そこでしっぽふって待っているのです
でも、ぜんぜんいい子じゃないから
気まぐれに目を向けてもらっただけじゃ、ほんとうはてんで満足できない
それでちっとも構わないわ平気よしあわせよって
似つかわしいちっぽけさ、身に付けたいのに

まるまるとふとって
貪欲にないている

・・・・・・・・・・

たのしいもおいしいもうつくしいもよくわからないで
せかいを嫌っていたよ
嫌えるほどせかいはちっぽけじゃないから
ひるがえって自分でも
たたっきって返す
それくらいしか損なっていいものが見つからないので
やつあたりはこの腕と身体のあいだの空間で
片付けられていくのだ

会いたいなとおもうことはまちがってるかもしれない

そんなわたしだった

・・・・・・・・・・

ごめんなさいが今日もたくさん
ありがとうを何十倍にしても
おいつかないくらい、たくさん
誰でも彼でも

目の前に存在していてごめんなさい

会いたいと思ってても届かない
はやくはやく、もうあきらめよう
欲しいなんて思わないくらいに
なってしまえばそれでよかった


呟くと、眩しいって、
にていますね


3月20日、未明



2005年03月18日(金) 中空

てんてんと
寝返りをうちながら夜がすぎるので
枕元のとけい
かた、かた、かた、と
秒針が刻んでいく60回かける60回くらいで
ぼくが根をあげる
いつものことですね

だからもう、朝です
午前何時かの
暗いくらい、朝

おはよう。



……ことばが少しずつこわれていって
この身体から頭から飛びはなれていって
もう自由になってしまう
置き去りにされたらからっぽになってしまうから
悲鳴以上のものであなたに近づけなくなりそうで
ぼくは手繰り寄せようとする
何もないように思えるその不穏な空間から
取り落としてしまったたくさんの単語をつかみ出そうと
額に、汗して
徒労のように

ただ
行にぽっかりとブランクのあいてしまったごとく
頭の中に虫食われ

落ちていった
思い出せない

眠れない、やすまらない、やみくもの中に
食われていってまぎれてしまう
記憶力には自信があると笑っていえたのは、ああ、あれはいつのころだったでしょうか
そうしてどうやって、あのころぼくは、
自分がそこに存在していることを疑いなくああもかんたんに
感じつづけていられたのでしょうか

……。

消えていくほうがやさしくなって
病じみたもの
また少しちかくなった気がする
なにか、これまで
遠ざけることに成功してきたやつらが
すぐ隣で微笑む

「やあ、また、会ったね?」

……。



腫れあがりかけた顔とか熱っぽいことよりも
眠れないでまたここに戻ってきたことの方が今は
途方に暮れて、もてあますこと……そうして外に出てゆけるのかひとりで
なかないでも
道をみうしなわないでも
からっぽにみえる外へ
この足で



まぶしいと思った

ぽかりぷかりと
目の前にただよう
訪れてくるもの
咲き初めた沈丁花の香りは今朝もつよくたちのぼって
すがすがしいきれいなものを
ぼくにくれた

ほんの少しわらう

今日は、ほら、
晴れているよ
窓をあけたら、あの鳩が
目の前をまっすぐに横切って飛んだよ

うつくしいと言うよ



3月18日、未明→朝



2005年03月16日(水) たまご

目がさめると
自分のなかみが
こわれていて
くずれていて
それは
あたかも、生のたまごを振り回したかのような、ぐずぐず具合?

攪拌された中身はこぼれだしそうにとろけ
マブネシウム、はかなく硬い殻の鎧で
形を保つ、起き上がりこぼし

ひるのひかりが
あたしを焼いた

なのに
あたたかくない
まぶしいが
ずんずんと
皮膚から遠くへいく

起き上がるために飲み込むおくすり
ああまた頼ってしまった補完してしまった
さしのべられなくても

ゆるやかに効きはじめる
血管のなか少しずつ
めぐる

ぐらぐらとするならばふたたび眠ろうか、春めいたひだまり、あたたかくくるまり

意識なしに心配をかけてしまったなら
すまながるというしぜんなながれ、
申し訳ないとかんずる脊髄反射
そして更に囲い込まなきゃいけないんだと
信じてしまった
あたしが、あたしの、はみだすことを、イエスといわない
ありえないという

それなりに元気ですよと
ほんとうのところ、だめじゃないよと
信じてもらえるかともかくとして
境目をたやすく超えるまでのことはないから

安心して、そこにいて



2005年03月15日(火) 洗濯物とねことメモ

眠られなかった月曜日
ふとんから抜け出し
暗いうちにふらふら歩く家のなか
ついでに
そのうち
朝6時に干すせんたくもの

ずいぶん冷え込んで
手がかじかんだ

誰もいないしずかで物音のない朝はけっこう好きで
息ができるような気がして

ああ、つめたいね

みんなが起き出してくるころ
活動をはじめるころ
エネルギーが底をつく
蓄積したエネルギーが切れるのはとてもはやい
3時間くらいかしら
何をしたわけでもないのに

ごはんを食べる体力ののこらないこのごろ

ぼんやり寝て
夕方、すっかり曇ってしまっているのに気がついて
あわててせんたくもの取りこみに出たら
使っているふかふかシーツ、地面に落ちていた

……?

猫的あしあと、
起毛シーツの白さのうえに
てん、てん、

シーツの上をおさんぽしたのか!
いつも通りがかる猫のどれか
茶色のトラ猫か、ぶちのついた太った猫か
しかし
それだけならともかく
ついでにトイレ代わりにされていました……(T_T)
ふ、ふかふかで気持ちよかったのかな?
ナワバリにしたい気分も
わからなくはないけど

でもこれぼくのナワバリなのだよ、すまんよ、ねこ

……洗い直しです
しょんぼり
夕方に回す洗濯機、ごうんごうん
我が家の洗濯機は、二槽式

ひとさまのせんたくものをあらしてはだめだよまったくもう

なんて言ってもしかたがないので
粉石鹸投げ込んで
ごうん、ごうん

それでもぼくはねこが好きです……
ああ。

可愛らしいなんて、ずるいんだ。


memo memo

頭痛
微熱
寒気+おちつきなさ
泡立った神経が身体をひきずっていて止まれない
睡眠がつづかない、四日ほど眠れず
苛付く
テレビと物音にがまんできない
ひとをききいれる余裕をもたない
痒み
叩く、、、そのほか思い出せないようなささいなことがらのたくさん

顔から上半身の皮膚がかなり敏感に弱くなっている
薬負け、プロトピックが痛む(使い始めの痛さでなく)
いつものお湯に触れると熱さが痛い
顔色が黒くなってきた

:レスタミンコーワその後
お風呂あがりにつけると刺激がつよすぎる?
赤み、ほてりが誘発されるような?
→乾いた皮膚、火照っていないときに使うこと
それからある程度弱っている場所に塗ってしまうと
どうやら肌が負けてビリビリ痛みはじめるらしい

:デパスその後
ねるまえ、入浴後、起床後……等
ひとりで神経を収められないとき
あったほうが、楽だった


今日はもう朝からおふとんにこもってしまったので
なにも見ていないしなにも聞いていない
いいことをかぞえられないのは奇妙にかなしいことだ
そうして、苛立ちやすいことだ
苛立ち
怒り
不満
かかえこみ、うれしくないことがら

……なにか、さがしに、いきましょう。



2005年03月13日(日) memo memo

とりあえず期待されたほど効果は上がっていないみたいで
うまくいってないねえ、と渋めな発言をもらった。

いつもの年よりも湿疹がおさまらなかったこと、
また眠れなくなっていること、
うちのなかのこと、
色々。

外用剤追加、
レスタミンコーワ軟膏1%+酸化亜鉛

つかってみたところ傷口にしみる。
酸化亜鉛、だから当たり前、か。
がまんできないほどではない。
皮膚科の薬はひそかに痛いことが多い。
あと、臭いのも。

内服薬も、、、追加?
たぶん意味がないと思うけどねえ、と言われながら。
デパス、
たしかにあまり期待できないけど
無いよりはあったほうがいい……よね?

実際、待合室でのんでいた。
バスのなかでも。

大丈夫と大丈夫じゃないの境目くらいかもしれない
よくわからない。
たまに歩けなくなる。
ひとりでは何にもできなくなる。
でもまだ、ことばを発することは、できる。
何時間かかかるけれど
メールを書くことも、できる。
たのしいことを見つけることも、たいていひとつくらいは
できる。たのしかったよって人に報告したいようなこと。

そういうことは別の場所に書いているから
ここでは……なんだか酷い日常ばかりでめちゃくちゃでごめんなさい。

花粉の正体はよくわからず、
探してくれたけれど参考書類がみつからなくて。
でも一応もう少し前から対処をしようね、と。
……ですね。

以前は三箇月、熱がさがらないで
どうしようもないアレルギー状態だった
10年くらい。
市販薬ではとうてい追いつかなくて
ときにステロイド吸入もしていた。
効きすぎるのが怖くて二年でやめた、けれど。

なのに、ここ2年くらい急にさっぱり、そういうことがなくて
自分で自分の身体が不思議。
外に出ないから?と思っていたけれど
そういうことでも……ないみたい?

いつもいろいろ節制しているから、とか
そういう理由だったらうれしい、な。
そんなにうまいこと、いかないかな。

ただ皮膚の表面と身体の中が粟立って
アレルギー症状が活性化する感覚、はすごくある
ただいま自己攻撃中、炎症生産中ですよ、と
からだががんばっている。
それから外に出ると皮膚にアレルゲンが触れている感覚。
だから……何かに反応はしているのだと思う。
だから……対策は行っていたほうがきっといい。

そういえば
屋久島に行ったらアレルギーってなにも起きないです。
空気と水がきれいすぎて、どんどん身体がきれいになる。
……そういえばその年以来、鼻炎が軽快したような。
因果関係ははかりようがないけれど。
でも、あの島にスギの花粉症はないみたい。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


今日の天気は
雪、のち快晴、のち雪、のちくもり。
今年はいつもよりたくさん雪を見ていて
それはきっと
うれしいことにかぞえられると、思う……
ぼく雪がほんとうに好きだから。

ふりつもらないでどんどん消えていくばかりの
切片でありつづけたのが、残念だけれど。

なにも見ないですぎるよりは、きっとよかった。

青いそらからふりしきったかけら。

はかなくてみずみずしかった。
空気につたわって
とけていく。



2005年03月11日(金) やさしかった筈の雨が

通院日の筈だった
それといっしょに
したいこともあった

のに
こんなところでうずくまっている

携帯電話で話しながらうちを歩きまわる家人のあしおと、は
けたたましくて、夢から急に連れ出される
……きもちわるいよ
いろんな神経症状ぶちまけて床のうえでうめいて

気がついたら診察の受付時間、まぢか
準備しても間に合わない
自動人形みたく着替えはするけれども
なんとか、ぐちゃぐちゃになりながらもすませたけれど
もう間に合わない

ぼくが靴をはけない

ぎゅっと凍りついて四肢を縛られた
ああいつものあのルールだ逃げられないやつらだ
半月も、外、出られていないから
たくさんのことが外に待っているのに
ちっぽけなたのしみもつくっていたのに

もう夕方は自分の時間でなく。
みうごきができるならば家の仕事をして人のために動けと。
寝込まずに起きていることができるならば人のことをしろ。

ぼくがぼくのために作り出した法律
ぼくがぼくに科してしまった
がんじがらめの規則

……嵐みたいに殴りつけて
ぎゅうぎゅうにしばりつけられてみうごきができない

聞こえるのは
楽しんじゃいけない楽しんじゃいけない楽しんじゃいけない
自分のことをしていい権利なんておまえにはひとかけらもない
すべきことは、ほら、そこらじゅうにころがっているのに
それを無視するなんて許さない

・・・・・・誰が許さない?

こんな規則
ほかのだれも
わかりえず
抜けられないのは
自分のせい
そうやって責められても
何度責められても

崩せない、がんじがらめ、

泣いても
泣いても
泣いても

自分を殴りながらお皿を洗った
調理のついでに肌にキズ
そこらじゅうがしみるのより
こころのほうが痛いなんか
ほかのひとの機嫌をそこねる可能性、を放置することのほうが怖いなんか
そんな強迫観念じみた
あたまのなかの機構なんか
……いらないのにどうして消えてくれないんだろ
どうしてこんな
他の誰もが普通に無視していることがらが
ぼくにだけは、もうまるで
罪悪に感じられてどうしようもないんだろ

くすりを
変えてもらおうと思い
保護剤を
ふやしてもらわねばと思い
ゆっくり下降するのが
止まらなくて
……安定剤
もらおうと
思っているのに

そとにいけない

お医者にはなす勇気よりも
うちを出ていい許可のほうが
なんびゃくばいも得がたいなんて

自分で自分が信じられないし
そんなばかげたやつなんて
もうどうでもいい見放してどこかに廃棄処分してやりたい

いらないのに息をしてる

物音が怖い
怖い
怖い



2005年03月09日(水) 青い水

さびしいが
しずかに
ふりつもり

しずかに
澱をためていき

にくしみにかわるのはあんまりやさしい
君を憎むのもあんまりやさしい

地面はなにも思わずに
ずっとずっと
雪も凍りも
水になるのを待つろうに

ぼくには書くことしかできないから
ただ
書くことしかできないから

飲みすぎた水は
あふれて
吐き出せるわけでもなく

飲みくだせもしない、棄てられもしない
とうめいなんかじゃない

なら
なにいろ?

ずっとずっと、かすかな
四方から意識を叩きつづける音

毛布のなかでとろりとろり
なめていたごはんがわりの飴が、とけて
口の中で苦味に変わる

ただ
ただ

誰かに会いたかったよ
きみに
会いたかったよ



2005年03月08日(火) のたりのたり

やってくるもののことを、知っていて
それでも逃げることをしないでいるぼくは
生きものとしてちょっと出来損なっていると、たまに思う
ただしくない反応

世界中の人間がおまえだったら戦争は起きないね、
と兄は言う

でもそのかわり災害が起きたら真っ先に死ぬね
と兄は言う

………うーん。

いざという時になるとヘンにどうにかできるやつ、と
自分で自分のことを評価してきたけれど、かなり
まちがっていたかも知れない、よくわからない

むくむくとわきあがるみたいなエナジーは
長持ちしない、ということはちょっとわかった
遅すぎるかもしれないけど、ちょっと、わかった……
へこんでへこんで
消えちゃったもの

たのしいってなに。
おいしいってなに。
あしたってなに。
わらうってなに。

ひとりでいることの幸いと弊害。
そのどっちもを噛みしめて、
なにもできていないからなにも書けることもなく
注げるのは血液と涙くらいかな
あたしなんていらないがグルグルまわる

このまちがったやつらを打ち消すくらいつよくつよく
いるって教えて
サランラップみたいなこの膜を
切りさいて破るのが刃じゃなくて
ことばとか抱擁とか
そういうもんに変われるんじゃないだろかって

……思ってた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


いろいろなことをわずかずつ、はじめる
やっぱり今日も寝ていたが
吐き気は、止まらなかったりも、するんだが
なみだうかべそれでも

ゆるやかにのたりのたりと日常を運行させはじめる

各駅停車にて
あちこちで立ち止まって
すれちがうのを待ったりしながら
走るよりも長く
通過まち

……そんなに嫌いじゃなかったし

ひくく飛びましょう
とりあえずは
飛びつづけましょう

しずみながらすこし浮き上がったら春になってる


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


さびしさを
これ以上
ふとらせたら、だめだよ
膨張させるままに
好き勝手させちゃ
だめだよ

おやすみ。



2005年03月07日(月) forgot-me-not

深夜。


夜はしずかだから好きで

誰もいないからおだやかで

つまり

もう

どこまでもふかく潜っていけるから

きょうき、らんぶ。


   来るはずのないものをいつもいつも
   待って
   凍りついてしまう


笑うことが少し、死んでしまった
笑わせることよりも笑うことのほうが
むずかしくて、それから
味わうこととか、聞きとることとか
語りかけることとか……待つこととか?

ととのえるよりも壊すことのほうが得意だ
ひとのことをわかるよりもじぶんをあやつることのほうが
面倒で、手間で

空腹が空腹じゃないこと
毛布のそとは敵だらけだと
つめたいつめたいお面をかぶる

でもやっていける
あたしがいなくても
きっと平気で
あたしはやっていける

forgot me not

へいきよ


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

午後。


落っこちていくの
止められないや

苦笑

ひえびえとしている空気が、そこらじゅう
すきま風だらけでごめん

石つぶてを投げつけて
立ち去れてしまえたら
どんなにいいだろ
どんなにか

忘れなければならないのはほんとうはあたしだったので

巻き込もうとしてすみません
悲鳴なんてあげててすみません
もう
止めなきゃいけない
受け止めかねて沈没する
すくいあげてもらおうなんて
ムシのいいこと考えてました
ごめんなさい

しばらくはずっと続いていつかきっと永遠になるんだ
約束に意味を持たせることが今はちっともうまくいかない
十年後くらいに、もう
きみと笑いあうことなんて信じがたいから

もうおわりにしちゃおうか
もうおわりにしちゃおうか

たった四文字で事足ります
ただそれだけです
たやすすぎて
笑ってしまいます



2005年03月04日(金) ない

なにもかけない
ろくなことにならない

ターニングポイント、
赤い線ひっぱって
きれいに忘れて
うまれかわったように
錯覚をつくり

窓のそとの大きな風
からだをさらして
ひえきろう

ばかなことはいくらもできるのに
後ろ指差されることも
陰口たたかれることも
いくらも

雪がやんでしまった
雪がやんでしまった

のこされたら
からっぽしかなかった



2005年03月03日(木) 毒のように、蓋ができずに

注:毒なのです。フラッシュバックなど、注意ください、、、ごめんなさい



気持ちが悪い
居心地が悪い
はやく出て行きたいよ
ここから

うるさいのはとがる音
つきたてられる音

まとわりつくのは忘れていた記憶とか
わすれたほうがいいに違いない記憶
ストレッサーからは離れて休息しなければいけないと誰もが口をそろえて言うけれど
その芯にいるのが肉親であればどうしたらいいんだろうと
あたしはにくらしく考えるのだ
ふつふつと静かに沸騰する
アルコールという飲みものをあたしは憎むよ
あたしなどまるで玩具か慰み者であるように
あしらってそして触れようとするその体温が
消えて亡くなれとときに本気で思ってしまう
あなたが消えてなくなってもあたし悲しむかなんてわからない
それくらい不信に陥ることができるくらいに
振り回されつづけている毎日毎時間は
横暴できょうあく

なぐられないならぎゃくたいじゃないなんてどこのだれがいえるのですか

……お金をね
100万円とられた子のほうがひどいくるしみを
味わったかなんて誰も決めることはできないと
そう思ってました、まだなんにも知らなくてよかったころ

逃げるところも隠れるところもない
何も感じないふりをして平然を装って
くりひろげられようとする不快をただ
この上ない目でにらみつけ抗議をたたきつける
泣いてなんかやらないこれ以上
こいつらのために苦しんでなんかやるもんか

にくむものが消えた時あたしはまっすぐにおちてゆき
台所にたちつくして包丁を腕に切りつけるゆめを
みたよ、はっきりとしたはくじつむのように
わずか血液をすいとった布はこなれてやわらかく
ぼくの眠りをつつみこむ

とろとろと
まどろんで
はやく
抜け出しておいきよと

このからだのやさしさなのかな

だれかここからさらって連れ出してよと
かなえてくれないねがいごと、ふつふつ
心の底にこびりついて離れない
その欲求に踊り狂わされたらいけないけれど
聞こえているものを無視しすぎても
いけない……どちらを選んでも
自分を責める言葉はいくらでもきりがない

ぼくはどくをのんでしまった
とうのむかし
のんでしまったどく
まだ半減期を迎えないでむくむくと生きて
そしてことあるごとに実体をもって
あたらしい毒を注ぎに
やってくるような

ああほら
また
昨晩も

……逃げたい逃げたいここから逃げたいだれかたすけて

血がつながっているというだけの理由でどうして
おなじうちでおなじ空間を共有しなければ
いけないんだろう

ありふれてしかたない
ざんこくとよぶなんて
甘えきっている

けど

だけど…………


吐く。だけの
場所がひつようでした
ここではないどこかに
ほんとうは、ひつようでした

キーボードから解き放たれることば
だれかのところにいって刃になる?
それならもう、消えなければいけないのに
ぼくは
ここじゃないどこへ行ったら
喰いつくされずにいられるのか、わからない、、、、、、
憎憎しげな目をしてでも立っていられるか
わからない

ごめん

やさしいことばになりたい
もっと、ほんとは
心のそこのほうから
ちゃんと
ちゃんと

やわらかいわたしをふみつぶさないで

元気よく笑うから

息をすると胸がいたい

病院にはいかないほっといて
あんたの気まぐれな世話には
もうなりたくないんだ
無力さの証拠を作りあげられて
さらし者にして歓ばれるのは
もうたくさん

あたしはひとりであるけるの

ひとりでやれることしか、もう
やらないの



2005年03月02日(水) no future


ちょっとね、ちょっとね
ちょっとだけね

疲れた……

と、

言って。


ひらりひらりと梅の花が咲いているよ。


見えてくるものと聞こえてくるもの
憎しみなんかさっさと
終わりになればいいのに。



2005年03月01日(火)

ひとりで居るわけではないけれど誰もいないので
朝ごはんも昼ごはんも元気な人たちは元気な人たちで
すませてしまったので

ひとりぐらしみたいに
冷蔵庫からパンとヨーグルト
いただきます、
ごちそうさま、

スープを煮て食べようかなと思うけれど
なかなか台所に立てそうになくなってきたので
あーあ、と
ためいきをつく

ぼんやり、ぼんやり

ついでに咳

熱じゃなくておなかとのどと鼻の風邪みたいになったんですが
熱がないと大事でないと思っているひとが多いので
いるようないないようなよくわからないことになってきて
自分でも少々、こまり気味もてあまし気味

とうめいになろうとするまでもなく
すでにほぼ、とうめいです

まとまりのつかない頭だからぼくももうおしまいにするよ
あなたにならって
お返事は書こうか
それとも
もうおやすみと言おうか

灰色空をぼんやりみあげて
雨の降りそうな気配を
せなかで思っている

弥生、さんがつ、三月ウサギ
もう少し先まで
沖のほうまで
いかりをつけたロープを投げて
春までずっと
つながれましょう

鳥の本、をたのしみに。


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真火 [MAIL]

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