『 hi da ma ri - ra se n 』


「 シンプルに生き死にしたかった 」


2002年04月30日(火) 「命の水」


「アグアヴィーダ」



 ゆらゆら
 ぬるく湯にしずんだ肌をみた

 立ち還るいくらかの音節
 わけもなくなみだがこぼれた

 みんな嘘だ。

 鏡の向こうから
 知らない人がこっちを見ている
 きみはだれなの
 口許が動いて
 手荒く投げ返したきのうを思った。

 浴槽に張られた水が
 波立って
 とけて
 わたしに還る
 黒ずんだ血にまみれた腕
 見慣れたら、もう、どこにでも行ける
 けたたましく足を抜いて
 親しんだものを
 ひとつふたつ剥がして

 ここにいるよ。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


アグアヴィーダ。
スペイン語で命の水という意味です。
あたしが唯一行ったことのある海の外の国がスペインで
あたしはそこで、この水を飲んでいました。
うっすらと甘いみたいな透明な水をごくごく飲んで
あまりに青すぎて黒いような空を見て笑いました。

まるで青い空はあたしを笑わせます。
笑うよりほかのことばを忘れさせて
ただただ、体の底からあたしは笑います。

あらゆるほかのことをすべてはじきとばして空は青い。

涙も。

怒りも。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


サトくんへ。


あなたがいなくなってから二十日が経ちます。

どうしてあなたがいなくならなくてはいけないのかあたしにはわからない。
もし神様がいるというなら、あたしはこの足で神様を怒鳴りつけに行きます。
どうして?
どうして?

かなしいより先に生まれたこの怒りを
殺す方法をおしえてください。
そうでなければあたしは泣けない。
そうでなければ

そうでなければ?


死ぬ気なんてさらさらなくて腕を切った。
青い青い青すぎる空を見て泣くかわりに笑って
べったりと何かにふさがれたような涙腺を呪った。
痛みはどこにもなくて
ただ
いくらがんばってもことばのつうじないひとだけがそこにいたから
あたしはムリヤリに笑って
げんきでねと言った。


「げんきでね。」


  かみさま。
  焼かれて煙になるまえのひとにたいして
  こんなせりふはおかしいですか。
  あなたのところへ行こうとしている人にたいして
  こんなせりふはおかしいですか、
  かみさま。

  ねえ。



もしあなたがココに生きていたら、あたしは
あなたにことばを届けることができたんだろうか。
ぐちゃぐちゃに血のまじった場所から引っぱり上げて
あの透明に甘い命の水を、からだじゅうにぶちまけて頭の先からあびせかけることが
できたんだろうか。
もっとなにか別のことばで語りかけて
どうしようもなく泣きたいような沈黙であなたを遠い場所に追いやるのじゃなく
なにかもっと別のことばであなたを
あたしの殻を粉々に割り砕くみたいなそんなめちゃくちゃな方法でもいいから
あなたを
そしてあたしを


別の場所にいっしょくたに生かせたんだろうか。



そういう不毛な考えに取り付かれるのは
ココに別れ残ってしまったものの呪いみたいなものかも知れない


たった24年しか生きてこなかった。
なのに

あたしは別れ残り、
あたしは生き残ってて

呪いをいっぱい抱えてあたしはココにいるから。


  あなたに置いていかれて別れ残ったあたし
  このゲンジツを咀嚼する。
  味がありすぎて味気ない毎日を齧り続けて
  傷つけられない場所にいるあなたを引き寄せようとして足掻いて
  そんなのむだじゃんとつぶやいて
  別の人を見つけて別の人の中にあなたを見つけて
  ただあなたを見間違わないようにとだけは自分に思い知らせておこう。


サトくんに置いていかれて生き残ったあたし。

別の人の中にあなたはいない。
これまでになく思いっきり不毛な呪いだね。
青い空を見ながら思った。
げんきでねと思った。

あたしは
この呪いをまっとうできるまで神様を罵倒するのだろうと思う。
思う存分に口汚いことばでも
ののしりながら



呪いが融けるのはいつなんだ。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


message:

この日記はややフィクションです。
伝えようとする意思はつよくても
ことばがままならないとどうしようもないものですね。
内容めちゃめちゃです。

読んでくれたひとへ、どうもありがとうございました。


私信:
Mさんへ
今日のこのフィクションのはんぶんは、たぶんあなたへのものです。
余計なことばをごめんなさい。
そういう「ごーすと」は、たぶん、世界中にいるんだね。
サミシイと思っているのに手をつなげないんだね。
手をつなぐのがいつのまにかものすごく下手くそになってしまったんだね。

ワタクシゴト:
アトピーの調子が少し悪くなってきました
心理状態もきれいに比例してしまうのが悲しいです。
その逆はないのにな。
そういうわけで更新滞り中。内容もテンション下がり中。なんてわかりやすい。(笑)

こんなふうな駄文だけど
もしも何か感じていただけたらぽちっと投票ぼたん押してやってください。
お手紙もらえたらもっとよろこびますが
そりゃちょっと贅沢すぎるわねと思いますよって。(笑)


どうぞお元気で

おだいじに。





2002年04月28日(日) 続:自傷する少女。

何日かぼんやりと必死に暮らしてました。
ごはんを食べる以外は寝て、寝て、眠って、


そういえば病気になっていろんなことをあきらめたときに、あたしは言ったのね。

 食べることと、眠ることと、
 それから夢をみることくらいしかしない
 しょうもない生きものにあたしはなるね。

そのとおりの生活を始めています。
午前中起きて朝ごはん食べて薬のんで寝て
夕方おきて夜ごはん食べて薬のんで寝て。

しかしここに、誤算がひとつ。

睡眠薬で寝ちゃうと、
あんまり夢もみられないんだなあ…。
有言不実行でいやになっちゃう。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


そういえばバイト先の図書館をクビになりそうなことを匂わされました。
これは事件ですね、
特記事項です。
内心かなしかったみたいです。

だって、帰り道で
行きつけのファム・アジルというお嬢さんなお店で
青系の小花柄スカートに一目惚れしてお買い上げしたり
駅ビルの地下のスーパー(やっぱりデパ地下とは断固呼ばない!)で
ハーゲンダッツの1パイントカップをお買い上げしてたから。

ちなみにアイスはストロベリーで、
当然パイナップルのミニカップもつけて。

だって好きなんだもん。
パイナップル。


先週誓ったんです。
ジェーンマープルの白のワンピース前にして
お取り寄せしてもらった指輪前にして
フェリシモから届いたうすみどりのジャケット前にして
あたし誓ったんです。

「あたしがんばる負けない!お洋服はもう買わない!」


……ほんとに有言不実行ね。


だけど考えてみたら明日まで生きのびてゆかなきゃと思ってる人間が
夏のころに病気の酷さに耐えかねて死ぬ死ぬって叫んでいるんじゃないかって
今からこわがっているような人間が
どうして夏以降の契約更新ができないことをそんなに心悩む義理があるのさ。
くだらないことでくよくよ悩むんじゃないあたし。

それよりか明日を生きのびなさい。

というわけで翌日もごはん食べて薬のんで寝たし
ネットでひとめぼれしたお洋服制作サイトの管理人さんに
ワンピースについてのお問い合わせメールを一生懸命書いたりするし
コムサのブラウスの購入を検討しつつ
残された勤務日を勤めあげるべく薬をあおりながら電車に乗って
溜まっていた新着雑誌の面倒を、ばしばし見まくりました。

そう、今更なんだけど、バイト先は大学図書館なんです。



・・・・・・・・・・・・・・・・・


きのう、朝起きたら枕もとにはさみがころがっていて
ついでに血でよごれたティッシュも散らばっていて
ああそういうことか、と
なんとなく納得して左腕をみました。
十本だか二十本だか数えられない引っ掻き傷がいっぱいあって
血がかわいていたり肉が見えたりしていました。

でもそれだけです。


こっこが大好きです。

「しずかに席を立ってはさみを握り締めて、おさげを切り落とした」
「髪がなくて今度は腕を切ってみた、切れるだけ切った」

彼女はこんなうたを作るひとで
あたしはそのこっこが大好きです。

でも、それだけです。



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うちに帰ってきたらメールが届いていました。
昔むかしあたしと恋人だったような人で
ある日あっさりといなくなりました。
理由はたぶん、あたしたちがとてもよく似ていたからだと思います。
さびしいと感じるその理由とか言葉とかシチュエーションとか
使う言葉が全然違うくせに、同時にものすごくよく似ていた。


たとえばそのひとは、あたしのことを「ごーすと」と呼びました。
正確に言えばそのひとは自分のことを「ごーすと」と呼んでいて
あたしが自分とおなじ「ごーすと」だったらいいと願っていたのかも知れない。


あたしはそのひとに尋ねました。
「ごーすとが寄り集まったら何ができるの?」

そのひとは言いました。
「すこし、さみしくなくなるかもしれない。」


あたしはそのひとの描く絵が好きでした。
そのひとの描く言葉も好きでした。
そのひともやっぱり
あたしの描く絵が好きらしく
あたしの描く言葉も好きみたいでした。
だけどさっぱりそれ以上に近づくことはできませんでした。

たとえば、似すぎているということは、そういうふうなことだと思います。


きれいな別れなんて存在しないと漠然と思っていたとおり、
あたしたちはぐちゃぐちゃの別れかたをして
さみしいもさみしくないも死にたいも生きて痛いも
わからない場所にあっちとこっちにサヨナラしてゼロになり
あたしは物を言わなくなって多摩川と中央線が嫌いになりました。

その日から何百日も何千日もたって
何食わぬ顔をしてあたしたちはまた出会ってみたら
おそろしいことに何千日前と同じようにまだ
同じことばで喋りあえてしまいました。
おそろしいことに。
当然のことに。


物を言わないくせに帯電していくニョロニョロみたいに
あたしたちは同じ場所にいるのかも知れません。
ムーミンの世界にいる、まっしろなおばけ。
ふだんはひとりきりで生きていて
一年にいっぺんだけ集まってきて雷を呼んで同じことばを叫ぶ
同じ電気をおびた生きもの。


あたしはやっぱり「ごーすと」みたいでした。
そのひともやっぱり「ごーすと」みたいでした。
世界のあっちとこっちで
無言で、でもおんなじ電気を帯びているみたいでした。
少なくともそのひとはそう言って寄越したし
あたしもそう思います。もしくはそう錯覚しています。


でもそれでも、二度と手をつながない。



あたしの左腕にはいっぱい傷跡があります。
古いのも新しいのも、血が出ちゃうのも消えなくなったらしいのも
湿疹あとに紛れ込んじゃってるのも
はさみもかみそりも自分の爪あとも三角定規も小刀も
とにかく新旧とりまぜていっぱいのそれだけの線があって
なんだか自分でもよくわかりません。

ただ、あのひとが理由でつけた傷はひとつもありません。


それだからたぶん
あたしはあのひとの手を離して
もう二度と
つなごうとはしないのです。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



気がついたら5日ほど放置してました…
それでもカウンタが回ったり
投票ぼたんの数字が増えていることに、感謝したり。

ありがとうございました。


名前のとなりの[MAIL]からメールフォームに行けます。
お手紙いただけたらうれしいです。
それが別にやさしいことばでなくても
自傷なんて甘えてんじゃねー!というお叱りでも、抗議でも。
全然関係のないただのおしゃべりでも、
どこから届くことばって、あたしにはひとつのたからもの、そう思うから。

投票ぼたんはね
おこがましいけど、押していただけたらすごくうれしいです。
ぽちって、ひとつきり、
それで明日を生きのびていくためのあたしの勇気が
ひとつ増えてくみたいです。


それじゃあ、

どうぞ、お元気で

おだいじに。




2002年04月23日(火) 自傷する少女

ちょっぴりショッキングなこの題名は、
レベンクロンというアメリカの心理臨床家が書いた小説のタイトルです。
集英社文庫から出ていて、一応三部作になってて、
「鏡の中の少女」
「鏡の中の孤独」
それからこの「自傷する少女」と続きます。
一冊目と二冊目は拒食症の女の子の話です。
三冊目は、言うに及ばず、
自傷が自衛手段となってしまった女の子の話。
内容を読むと、彼女は一種のパニック障害なのかな。
名前は出てきません。

原題は、「the luckiest girl in the world」
世界でいちばん幸せな女の子。


・・・・・・・・・・・・・・


いちおうココロ病気しているらしいあたしが
こういう本を読むのはどうなんだろ?と思うときがあるけど
これは、むしろ読書傾向のほうが先に立っているので構わないのダ!
とムリヤリ合理化しています。
実際のところタマゴか鶏かわからないけど、それは考えない!

思えば、小学校の四年くらいのとき
あたしは当時ものすごく活字の申し子みたいな小学生だったのですが
(本の虫というより活字の申し子。それが字なら広告でも
 読めない漢字ばっかりの大人小説でもいいの。節操ないの(笑))
図書館で借り出して読んでいた大気に入りの本があって
題名が「シェイプ・アップ・ラブ」。

たしかヒロコという高校二年生の女の子が主人公で
思いっきり拒食症の話だった……
学校心理相談の本も読んでたし……
職場のメンタルヘルスの本も読んでたし……

ちょっとへんな小学生だったかも知れません。


ちなみに「活字の申し子」ぶりは年を追ってひどくなり
高学年のころには「字」を見つけると
やおらその場にぺたっとすわりこんで読み終わるまで動かない(イメージ)
という子どもになってしまったため、
はっきり言って普通の生活ができない!と
ちょっと真剣に心配したらしい(?)両親、
あたしがべたっと床に貼りついて何かを読もうとするたびに
せっせと紙だの字だのパンフレットだのを取り上げ続けたので
そのうちフツーの子になったようです。

めでたし。


惜しいなあ。あのまま行ってたら博覧強記な雑学の宝庫の
あるく事典みたいなおもしろいひとになれたかも知れないのになあ……。

残念です。


文字にまつわるいくつかの記憶。

十歳。学校に行く前にランドセルを背負おうとして
下を見たら「パンフレット」が落ちていたので
すわりこんで読み始めたらやめなさい!って取り上げられてすごくかなしかった。

今思えばそれは市議会の議事録だった。

……なにがおもしろいんだろう。


母さんの本棚の中に「舞姫」という本を見つけて読んだ。
漢字が多すぎてさっぱりわからなかったが最後まで読んだ。
とりあえず、約束を反故にして戻ってこない男を、着物を着た美人のおねえさんが
遊郭の二階家から窓の外を眺めながらけなげに待ち続けている話だと思った。

……なんか微妙に全然ちがう。

つーか舞台が日本になってるところが根本的にまちがってる。


・・・・・・・・・・・・・・・


タイトルに戻れば。
自傷する少女。少女という年ではないですが(苦笑)
あたしは多少やっぱり自傷癖をもっているみたいです。
あれ、始めたころはまだかろうじて少女だったかな?
理由は時間のむこうがわのほうにちっちゃく遠く堅くなってしまって
追っかけていけません。
自分の傷跡をまじめに解説するのは妙な気分だ。

だいたいアトピー持ちなので、傷跡は治らずに、湿疹に変化して
強烈な肌荒れ(ていうか鮫肌?うろこ皮膚?)に全体変わってしまうので
みたところ、なんだかただの傷跡とは違った気味悪さがあります。
別に切らずとも状況は似たような物で、真赤に腫れあがったり発疹が出たり
自分の腕や脚を眺めても、人間の皮膚とはあまり思えず……
きたないなあと思うのです。
今は両方のひざの裏が弱っていて、腫れたり切れたりしてまっすぐ立てません。


ただ
ぼんやりとでもはっきり言えることがひとつあって
「きれいに腕を切ることのできる女の子たち」を
あたしはどこかで、うらやましく思っているということです。
それから痛々しく。

暴言吐いてごめんなさい。



・・・・・・・・・・・・・・・


きのう病院に行きました。(精神科)
がんばってバイトのあとに行ったのですが
電車の中で緊張状態がどんどんひどくなってきて
手は震えるわ吐き気はするわ呼吸できないわ脈は120にぶっ飛んでいるわ
という状態でふらりんふらりん診察時間にすべりこむことができた
おかげで(?)

SSRIの処方量がマックスに増えました………。
マイスリーは眠れないけどそのままで、
連休を挟んだ三週間後の診察を怖がられて
おやすみの中日に来院できますかと聞かれたので、
「……が、がんばれば?」
なにかあったら途中で来なさいと言い渡されつつ
18日分処方していただきました。(苦笑)
薬局での支払の額に無表情でぶっとびました。

高いよ!

動悸と過呼吸と震顫を止めたくてはじめて飲んでみたソラナックスは

……ニガイ。(@▽@);


以下、緊急時デパスを水なしで齧るものの発想。

「これ齧ったら悶絶だ……やめよう(決意)」


ところでどなたかあたしに不安発作とパニック発作の違いをおしえてください。<超初歩的(笑)



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



読んでくれたひとへ、どうもありがとうございました。
メールでも、投票でも、
かたちにならなくてもある「返答」をしていただけたら、
うれしいです。


茉莉花茶のんでがんばります。


お元気で。





2002年04月21日(日) 眠る前の茉莉花茶。

脈絡のない話

に至るわけ。

一昨日の日記のタイトルを
最初につけた「くむぃうた」から
添削したついでに「Sweet Berry Kiss」に変えたのに
なぜかランキングとか新着のところでは変わらない〜〜(なぜ!)
というのがちょっぴり腹立たしいので日記を書き換えてしまえという魂胆で。
もっとも、喉に刺さった小骨ほどは、痛くないけど。


「眠る前の茉莉花茶」


茉莉花茶ってジャスミンティーのことです。
あたしはジャスミンティーが好きです。
でも茉莉花茶と書いてもらったほうがもっと好きです。
やっぱり言葉の雰囲気は大事なのだ。

で、かねてから、ほしいなあと思っていました。
茉莉花茶。

そこへ、
レピシエという、ときどき(嘘。しょっちゅう)行く紅茶専門店が
中国茶専門店(?日本茶もやってるけど…)を去年はじめたのです。
これはもう行くしかないでしょう。
と思ったら、その店舗が、あたしと縁のない場所にばかり開店するので(泣)
お得意さま用の通販を使って、たのんでみたのです。

ちなみに、昨日でしたか一昨日でしたか、
お茶の日記を書いてる方が、
お茶は50gか100gか?という命題で日記をつくっていましたが
わたしは完全に50g派ですね……
なぜかって、飲みきれないから。
自分が飲める分量以上のいろんなフレーバーティーに手を出すのがいけないんだけど。

今うちにある「あたし専用のお茶」を数え上げると

 茉莉花茶  (ジャスミンティー)
 ジャポネスク(紫蘇のお茶)
 ファンタジー(マリーゴールドと蜂蜜のお茶)
 キャロル  (苺とバニラブレンドの赤いお茶。目下お気に入り)
 ペールノエル(なんだかよくわからない…)
 クリスマスリース(生八橋の匂いがする…汗)
 焙じ茶フルーツ(焙じ茶と紅茶に林檎とぶどうのフレーバー…美味しいです)
 ショーレマロン(栗。匂いは甘いのに渋い味)
 杏仁豆腐  (レピシエ台湾店開店祝いの新作だそうで…そのままです)
 ゆめ    (内親王様誕生祝の新作茶!薔薇のつぼみとバニラ!華々しい!)
 チョコレート(バレンタインにもらった。興味が湧かずに放置)
 ハーブ系  (カモミール+オレンジピール+桃の葉)

と、なります。


ありゃ、ずいぶんありますね。
なんでこんなにあるんでしょう。

わかりません。


ダージリンとかセイロンとかいわゆる普通のお茶がひとつもないのは
ひとえにあたしがカフェインの濃いお茶を飲むと
パニック系の発作を起こす(と急に病気話に飛ばす(笑))らしいことが
職場で毎日毎日いろんなダージリンだのブレックファストだのアールグレイだの
レディグレイだのを飲んでいるうちに、わかったので……
それに、お茶の苦味と渋みが苦手だから。
要するに味覚がお子様なんだよね……

ちなみに今飲んでいるのは兄の北京みやげの烏龍茶です。


最近の、眠る前の習慣として、
マグカップにいっぱい、この茉莉花茶を入れて
枕もとに持っていくようになりました。
おふとんにもぐって、枕もとのスタンドだけつけて
CoccoのCDをすごくちっちゃい音でつけて
あったかーいお茶を
ふうふう言いながら、ちょこちょこ飲みます。


ついでに睡眠前のオクスリ飲むのはどうかと思いますけどね自分…(苦笑)

マイスリーを10mgとデパスを1個(オプション)。


寝つきは、かなり、悪いです。(笑)



昨晩は
お医者さんのうそつき。
と毒づきながらかゆみに狂って両腕を真っ赤に腫らしていました……
皮膚病と鼻炎と精神系と、あ、喘息の気も出てきたらしいし
やっぱり楽しくアレルギーマーチ♪?
どれがいちばんクルシイと決められるもの・比べられるものではないけど
たまに、どれかひとつで済ませたかったなあと恨み言を思うときがあります。
全部が少しずつ連動しているのは、自分でいちばん、判っているんだけれど…。
鼻炎や喘息は苦しくて「あたし死ぬかも…」と思う瞬間があるけど
皮膚病は痛みや悪寒に耐え切れなくて「もう死にたい」って思うのが
強いて言うなら、違いなのか知らん?
と、最近思うようになりました。


死ぬかも、と、死にたい。どっちが楽だろう。

わかりません。



今日もまた夜が来ます。


ねむれるかな?

かゆいことは、こないかな?

あしたの朝は、出かけられるかな?


いろいろな不安をねじ込んで
あたしはゆっくりと茉莉花茶を飲みほして
おふとんにもぐりこんでおやすみを言います。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



読んでくれたひとへ、ありがとう。
あたしに言葉をくれたひとへ、ありがとう。
それから言葉にならなくても
ひとつの数字を重ねてくれたひとへ、ありがとう。

もし何か思ってもらえたら。一票いただければうれしいです。


さようなら

お元気で。




2002年04月19日(金) 「Sweet Berry Kiss」


 「orizaの林」



 目をあけられなかった
 あまりに外が眩しく思えて
 仕方なくて。

 夕方の野道は太陽の名残りばかりが
 さみしくあたたかい。
 しめっている頬をぬぐった、
 日向のにおいがした。

 からからと回る
 まわるまわる
 子守うたが聞こえる。

 うたってくれなかった
 姉さん、
 生まれてこなかったあなたに
 いつか触れた気がする。

 土の上にわたしを撒いた
 まなほ ――― そのような名前を糧に
 あらかじめ種だったわたしを埋める骨張った腕。
 鋭く突き刺さる
 さみどりの草の列のまぼろしを見て
 かすかに息を吐いた。

 やわらかく泥の匂いが立ちのぼり
 あらゆるものを覆った。

 目を開けられなかった。
 あまりにそこが眩しく見えて
 仕方なくて。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


日記を作ったとき、あたしは自分の名前を
ねこ、とつけました。

だけど書き始めてから一週間で
サトくんが死んで、けむりになって
やめました。
かぎりなく本名に近い名前に戻ろうと思いました。

まなほ。

その昔いちどだけ使った名前です。
その「いちど」が、
上にのっけた「orizaの林」という駄文の中ででした。
(orizaというのはオリザと読んで、稲の学名です)
父さん母さんがくれた名前に身を包むのはひどく抵抗があって
だけど今まで名乗った名前はもう嘘なんだとたしかに知ってしまっていて
本当に近づきたかったそのときの瀬戸際の
苦肉の策でうまれた名前。


ちなみにあたしにお姉さんはいません。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


あたしはあたしがきらいだった。
そうしてあたしは
あたしがあたしをきらいなことを知らなかった。

言葉を書くようになって
いろんな名前を名乗りました。
たとえば今、まっしろく気合の入った洋服でじぶんを鎧うみたいに。
そのころあたしは男の子物のシャツが好きで
脂肪がない脚と胸と、スニーカーの似合うひとにあこがれてました。
それはあたしとは正反対の生きものだったけど。

関係ないけど、大学や高校の同人誌や文芸誌のペンネームとかって
とても凝った名前が多い気がする。場所によるけど。
ページにならんだ名前が発散するその気合のこもったパワーに
あたしはときたま、目眩がしてきます。
自分もそのなかのひとりなくせにね。

あたしはコウノナオキという名前を作って、もっぱらそう名乗りました。
似ても似つかない新しい名前に、最初は違和感があったけど、
そのうち、鎧の名前の中にすっかりなじんでいる自分を発見して
いつもいつも、名乗る名前というものは
好むと好まざるとにかかわらず、
強制的に、からだを包み込んでいく物なんだと知りました。

男の子でも女の子でもない誰かにあたしはなりたくて
だけどある日、あたしはあたしをなくすのがこわかった。


あたしは消えかけている。
あたしは消えたい。
空気みたいなものになってどこかに消えちゃいたい。


I lost my name, who am I?
I lost my home, where am I?
But I can fly, fly high so far away
so far away......
 (Cocco「Sweet Berry Kiss」)



描いてみたい一枚の絵があります。
十年くらいも
あたしの中に棲みついている一枚のイメージ。
真っ暗な部屋に、黒い椅子がひとつあって
白いドレスの骨張った女の人がしっかりと腕を組んで立ち尽くしている。
黒髪のからっぽの女の子がからっぽのベッドに座っていて、
10歳にもならないくらいの体つきの中で、俯いて
伏せた見えない目の奥だけが、ほんの少し生きたいと怯えている。


名前を呼ばれても返事をしなくなり、
ある日見ていた高校演劇の舞台の上で読まれた谷川俊太郎の詩を聞いて、
体の隅ががくがくとふるえました。


   階段の上の子どもには、名前がない
   だからぼくは呼ぶこともできない
   ただ、呼ばれるだけだ



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


あたしは、
あたしがあたしをきらいなことを知りました。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


message:

 なんだかめちゃくちゃな文になってしまいました。

 それでも、読んでくれるひとへ、どうもありがとう。
 あたしに言葉をくれたひとへ、ありがとう。
 言葉にならない言葉で
 ひとつの数字をあたしにくれたひとへ、ありがとう。


 あしたもどうぞ
 気をつけて

 次の日を生きのびていってください。



 名前の横の[MAIL]からメールフォームにつながります。
 よかったらお手紙ください。
 投票ぼたんはね、もし、押していただければうれしいです。




2002年04月18日(木) 逃避夢。


最近、あまり夢は見ないみたいです。
ちゃんと眠るときは睡眠薬なんかを飲んじゃっているからか
寝ている間の記憶はあんまり、ありません。
なんてそれも変な言い方だけど。


サトくんがいなくなってから、
或いはいなくなる前からも、バイトに出かける日と、病院に行くとき以外は
ほとんど眠ってすごしています。
とろとろとろとろ、
窓の外がいくら晴れても曇りでも地震があっても電話があっても
執拗に眠り込んで眠気を手放さないで、できるだけそのままいたい。

いちおうこれでも不眠症(?嘘でしょ(笑))で
いざ眠る段になるとお薬の助けを借りないとうまく眠りに入れないので
完全に目覚めることをしないで
眠りのシッポにしがみついていたいのかも知れないな。


そうは言ってもクビになるとあれこれ困るので
水曜日にはバイトに行きました。
もはや、完全武装でした。
そうでないと外に出られないと
かたくなな表面をつくる「武器」はあたしのお守りです。
泣きじゃくる一歩手前のあたしの中のだれかをなだめながら、
バスに乗って
電車に乗って
また、バスに乗って。

しかしぼんやりするの。
くたびれたの。
ねむいの。

目の前を英単語とドイツ語(読めません)と数字が乱舞する〜
気がついたら作業台につっぷして眠り込んでいました。

(ええい、この給料泥棒)


気分はかなりサイアクに近くて
だれも来ないところに行って
壁をけっとばして泣きました。
タイツで包まれた脚とまるっこい黒いストラップシューズのつま先を見ながら

帰りたい。
帰りたい。


かえるところなんて、ないような気がしました。


それにしてもどんなにしんどくても
仕事に入ったら気力で持ちこたえられる自信はあったのに
みごとにそれがひっくりかえされた一日……
尋常じゃないこの眠気と食欲のなさは
もしかしたら増量されたSSRIのせいですかセンセイ?
と理由をお薬に求めたくなるのは精神がなってないってものだろうか。(笑)


今から眠ったら
また明日がきます。

それがこわいと言ってあたしは眠るのをいやがります。
朝がくると心なしか絶望する。
あかるくなっていく空に。


今、ひとつの錯覚をもっています。
サトくんがあたしのかわりに行ってくれたような
そんな錯覚を。
死という知らないつめたいかもあたたかいかも判らない場所に
すくなくともあなたはわたしを連れて行ってくれません。
ちっちゃかったあたしの手を引いて教会の硬い椅子に座らせてくれたときみたいに
天国だか浄土だかよくわからないその場所にあたしを招きません。
まるでひとりぶんだけの椅子しかなかったみたい。
その椅子には先にぼくが座っちゃったから
まなほちゃんが来ても座るところはないよ、

そう言われているような錯覚をもって。
あたしは眠りに行きます。



水曜日、あたらしい武器を手に入れました。

ジェーン・マープルの
まっしろなワンピース。

洋服に(ましてお守りとしての服に)ニセモノも本物もないと思いますが
はじめて手に入れたほんもののロリータブランドの服でした。
先週ひとめで気に入ってでも値段が気になって無駄づかいもできないし
仕方なくお店を出て行ったけど、途中でどうしても脚が先に進まなくなって、
そしてなぜか泣きだした自分をみて、
鼻をぐずぐず言わせながら引き返して
買った。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 骨埋める場所なんていらないわ
 大事にしてたドレスも写真立てもひとつ残らず焼いて
 そして灰になったこの体を両手に抱いて
 風に乗せてあの海へとかえしてください。

 (こっこ「遺書。」)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・


このワンピースを灰にしないために
明日をむかえることをやめないように。

これはどこかへ行ってしまったサトくんの
おとむらいなのかも知れないと思いながら

あたしは白い武器を抱えてうちへと帰り
長くながく、眠り込みました。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

massage :

 この日記は、やや、フィクションです。

 こんな駄文でも、読んでくれる方、ありがとうございます。
 もしもなにかを感じてもらえたら
 お手紙ください。

 Sくんありがとう。春が来るね。
 Mさん、お誕生日をくれてありがとうございました。

 投票ボタンも、ぽちってね、もし押してもらえたらうれしいです。
 (全部身内のような気がしないでもないけれど……苦笑)
 このむこうに言葉にならないことがたくさん転がってるのかなぁと
 数字をみるたびに思います。

はじめて読んでくれたひとへ。
 あつかましいお願いですが
 できれば、過去ログの4月12日からの日記を
 読んでいただけたら、とてもうれしいです。
 最近の話はどうしても、前の毎日の続きになってしまっているので…。
 みてのとおり長い文章なのですが、
 時間がありましたら、どうぞおねがいします。


 また、明日がきます。

 
 上からおちてくる、一粒の雨だれさえにも気をつけて、

 お元気で。

 おだいじに。




2002年04月16日(火) 精神科へゆく道。

ふらりん。


という形容詞がピッタリなあたしは春の風に吹かれて病院へ行きました。
精神科のほうで、通い始めてから一ヶ月とちょっとです。
風も強いし
寝坊はしたし
診察受付時間にはとうてい間に合わないと重々承知しながら
それでもふらりんふらりんと
決められた予定をロボットのあたしは
病院への道を、歩いてゆくのでした。

どうやらわたしには一日の対人行動プログラムがついていて、
一日が始められたなら、忠実にそれをトレースします。
でも本体のあたしはあまりそのスピードにはついていけていません。(きっぱり)
だて元来ナマケモノの遅刻魔なんだもの…。

到底行っても間に合わないとわかっている場所やら
行けば自分を傷つけるだけの予定だと判っていても
いやむしろそういう予定であればあるほど
それでもなぜか、あたしは突き進んでいってしまうのです。
強迫的にプログラムのトレース。

こういうのの解除キィとかって、どこにあるんでしょね。


しかしまあ病院はとてとて歩いて駅から3分の曲がり角、
矢野顕子の「牛乳の空きびんが目じるしさ」みたいに行けば嬉しいのに
実際は地元の事業家のおじちゃんが根性で出るまで掘った
温泉(その名も太古の湯=ヘルスセンターお風呂やさん)がめじるしなんですが
そこを曲がったとたん、てっきり道に迷ったかと思って呆然。
こんな景色あたし知らない。
ここどーこだ?
気分はすっかりワンダーです。

しばらく呆然として気がついたこと。

「なんだ、春になったんだ。」


だって、この間来たときはまだ桜が咲いてたんだもん。
木なんて、みんな、まだ裸木だったのに。
それがもしゃもしゃの緑に覆い尽くされているもんだから…。

まるで別の道みたいでした。
ちらりと
なにかひとつの手はずが狂っただけで
ひとって簡単に「ふしぎの国」に放り出されるものですね。


そんなわけで受付時間を過ぎること20分でドアの前に到着。
ふつうなら間に合わせようとするんだろうなと思うんだけど、
十年近くの皮膚科通いで病院慣れしてしまった心臓は
ものすごく適当にできていて診察受付時間が過ぎていようと気にしません。
いや、もともとの性癖が時間にルーズすぎるとかっていう話もあるんだけど。
受付の看護婦さんに殊勝な声を出してこう言います。

「あのう、すみません、、、時間過ぎちゃったんですけど、ダイジョブですか?」

これでもう、オールオッケーです。
初診ならともかく常連の患者に
3時間後にまたいらっしゃいなと路上に放り出す医者も看護婦も
この世の中には滅多にいない!ということをしっかり学んじゃってます。(鬼)
しかもあたしの罹っているのは精神科。
これだけ揃えば条件はカンペキっ!

と心のどこかで計算ずくでやっているところがものすごーく鬼畜だなあじぶん!(@▽@);


(でも実際気分はよくなかったんですけれども…)
(傍から見ても十分くらーい顔でふらついていたんだけども…)
(と、言い訳がましく言ってみるんだけれども…)


担当医、今日のヒトコト。


 屬┐辰函△修慮紊蓮ΑΑΑΑΔ茲・・・・・なってませんネ」

◆屐SSRIについて)本当は一日に4錠くらいドカンと行きたいんですけどネ」


ドカンって、
ドカンって、、、せんせい、、、(絶句)

ええと、初診のときに
神経症と言われながら抗鬱剤を何種類か処方されたわたしは、
最近流行のSSRIのルボックスを50mg初回からもらっていたのです。
一緒にもらってたドグマチールは一週間で処方から「消しました」。

理由:名前がおどろおどろしくてヤダ。(副作用で太るのもヤダッ!)


……こんな患者イヤだ。


SSRIのほうは効くまでに時間もかかるということで
増量もされずに今まで生き残っていたんですが、
今回、それが処方から切り替わる気配を感じてあたしはやんわりと必死に阻止しました。
だって寝る前に一回処方で効くSSRIなんてパキシルに決まってるじゃないかー!

あたしはパキシルをきらいになることに決めたんです。<根拠なし。(笑)

というわけで何やかやの問答のあと、結局
ルボックスが増量されつつ継続でカルテに書き込まれていました。

でもこのルボックスって、ボルボックス(植物性プランクトンの名前です、
まあるくって緑で半透明にみえて中にもころころが入ってて可愛いんです!)と
名前は似てるのにちっとも可愛くないのがいつまでたっても不満でならないよ…。
色だってみどり色じゃないんだもん…。<ただの生物好き。

そうして不眠用にマイスリーというお薬を「舞い戻らせました」(笑)
眠れないからと言って半月まえに切られたはずのお薬、
今のより飲みやすくて不安も抵抗もなかったという理由で復活成功です。
かわりに倍量に増えちゃったけどさ……。

中期作用型だったレンドルミンとも抗不安剤だったメイラックスとも
二週間でさようならです。ばいばい、おくすり。
飲みのこしが部屋のどこかに転がっていますがあまり気にしないことにします。
だってあんまり意味ないもの。
しばらくはデパスがあたしの味方です。


一週間経ったらまたココへ来なければなりません。

そのときまでに
もっともっと、緑は濃くなっているんだろうな。



サトくんがこの緑を見ないでどこか知らないところへ行ってしまったことが
なんだかどうしてもくやしくてならない。
と、
何を見てもどこかでふうっと感じるじぶんがいます。
どうして一緒に行っちゃいけないのかな。

春の、けむりみたいに。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 massage :

 やっぱり、あんまり闘病っぽくないですね。(フゥ)
 それでもガンバレと思ってくれるひといましたら、
 投票ボタンをぽちっとね、押してくれたらうれしいです。
 (押してくれてる人ほんとにありがとうです。けどたぶん身内かな?苦笑)

 はじめて読んでくれたひとへ。
 あつかましいお願いですが
 できれば、過去ログの4月12日から14日までの日記を
 読んでいただけたらとてもうれしいです。
 今日のお話はどうしても、どうしても、前の毎日の続きになってしまっているので…。
 みてのとおり長い文章なのですが、
 時間がありましたら、どうぞおねがいします。




 ひつようなのは明日までいきのびること。

 どうぞ気をつけて、

 上から落ちてくる、ひとつぶの雨だれさえにも気をつけて

 おだいじに。





2002年04月14日(日) 行列に並べずに少しうたってた。

朝5時の電車に乗って、あなたの顔を見にいきました。


いくらこわくても
たぶん
そのときにやらなければならないことが
たぶん
あるんだと思いながら。



マイクロバスに乗せられてやってきた火葬場の庭で、
わたしはブランコにのりました。
水色に塗られたブランコでした。

おどることは大好きだけど運動がおそろしくきらいなわたしには
学校の校庭にある遊具という遊具はだいたいが恐怖の対象でした。
だけど、そのなかで、ぶらんこだけは別で
そのぐらんぐらん不安定にニ本の鎖で空とつながっている板に乗っかって
いつまででも日が暮れても揺らしていられた。十年以上も。
揺らしすぎた鎖がはずれても、頭から落っこちて体をすりむいても
やっぱりあたしはぶらんこに乗りました。

ぐぐぐっと上がる最後の数瞬がものすごく好きだった。


それを長いことあたしはすっかり忘れていたけど
その水色のぶらんこは、あたしをおぼえていてくれたようでした。


十年前、おじいちゃんが死んだとき
あたしがやっぱり
マイクロバスに乗せられて、この火葬場にやってきたことも
親族控室の大人の話に飽きて、この水色のぶらんこに乗って
おじいちゃんがすっかり骨になってしまうのを待っていたことも
それから
そんな退屈したあたしと、この「今はもういない」サトくんが、遊んでくれていたことを。

ぶらんこが揺れててっぺんに近づくとき。
ぐぐっぐぐっと迫ってくる、その薄ぼやけた水色の春の空と
もしゃもしゃの雑木林の境目の景色が、そんな十年もまえの
行き場に困った制服の女の子と大学生の、
途方にくれたぶらんこ漕ぎをきちんとおぼえていて、
あたしに教えてくれました。


そういえばあのときも春だった。
いまとは、ひとつき違いの春で、
桃の花の季節で。




十年。

制服を着られなくなってしまったあたしは、
ひとりで、
おろしたての喪服で、黒のタイツで、
こっこの「Raining」を大声で歌いながら
水色のぶらんこから、サトくんと、サトくんと一緒に入れた菜の花と、
あたしのなみだが煙になるのをみていました。


菜の花。

朝、どうしてもどうしても花をあげたくて、しかも菜の花をあげたくて
ここらへんには花なんてないよという親戚中のひとの声を背中に
控室にあったはさみを喪服のポケットにつっこんで
着いていこうかという従兄やおじさんの申し出も断ってあたしは葬儀場の外に出ていきました。
それは唯一、あたしがひとりでやらなくちゃいけないことだった。
女の子の感傷だねと笑いますか?
でも、あたしは、あたしのかけらを一緒に焼いてもらいたかった。

菜の花。

笑うとほわほわしてたよりなくて、ちっとも店屋で売っている花みたいじゃなくて
もっとずっとありふれた春のひだまりみたいだったサトくんだから。
走って5分、道ばたに菜の花はありました。
ごめんね、一緒に焼かれてあげてねとお願いしながら菜の花をむしって
それから空き地に群れていたむらさきだいこんの花を切って
走って帰りながら
心の中ですこしだけ泣きました。


水色のぶらんこと、
菜の花にむらさきだいこんの、ちゃちな花束。


たぶんそれがあたしのお葬式でした。



まっしろなほねはもうだれのものにも見えなくて
ぶらんこに乗ったあたしの背中をふざけてぐんぐんと押してくれた腕の骨は、
どこにもなくて
ざらざらと鳴るキナリ色のかけらと仰々しい紫の覆いばかりで
あたしはすっかりあなたを失いました。


ぴかぴかに磨かれた葬儀場のガラスにうつったあたしには、
腹立たしいほど喪服が似合っていました。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 massage :

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 遊びに行ったうちで、あなたを探さなくていい日が
 そのうち来るのでしょうか。


 わたしには、よく、わかりません。

 ただ、この今日のうすらかなしいような青い空を、おぼえていようと思います。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 お知らせ

 名前を変えました。
 ねこ、あらため、まなほ、です。
 とくに理由はありませんが
 そんな名前らしきものをじぶんにつけた日があったことを
 思い出したので。
 ノンフィクションなわたしを知っているひとにとっては
 ほかの発言といろいろズレが出ることになると思うけど
 元来きまぐれな「ねこ」のことです。
 笑ってご容赦くだれば、幸いです。(笑)

 甘えたわたしを許してくれてありがとう。


 2002年4月16日




2002年04月13日(土) 「それはとても晴れた日で」


「 ひこうきぐも 」



  よく晴れた日で
  あなたはどこにもいなかったけれど
  わたしは生きていた
  たしかに


  こころが
  脈打っていて、その数をかぞえて
  すこしだけ満足した
  薄くて仕方のない信仰


  どこかへ行きたいと言った
  出まかせでないうそを投げだして
  あなたでないところに行きたいと言った
  帰るところのないもの


  つまづいた数だけ
  くぼんだオレンジの実
  いくつ並べても
  狡かったわたしを叱らない
  やわらかく囲われて目を閉じるあなた
  遠目から憎んでいた
  朝と昼と夜とに
  何食わぬ顔で投げやりに手をふる


  誇らしげな太陽、地面へと落ちた。


  あなたが剥がれて
  ジャムになって
  壜詰めになって売られないように
  こころを砕いて注ぎかける
  そのようなわたしが
  たしかに生きていて、そうして
  鳥の目を得て


  よく晴れた日に
  あなたのいない場所をえらんだ
  生きているわたしが太陽をあびて
  息をしていた



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



はんごんそう、という草があって
それはとてもあかるいまぶしい黄色をしたコスモスみたいな花で
5月になると、あたしが乗っている東海道線の沿線のところどころが
その花の群れでまっきいろに染まります。
そのまっきろの塊をみるたびに
あたしは電車から飛び降りてそのなかにうずもれてみたいと思います。
はんごんそう。

魂を反す草、と書くそうです。



目を覚ましたときあなたはどこにもいなかったけど
あたしは
まだ
おひさまのあとを行こうと思います。


4月11日。沿線にはまだ、その花はひとつもありません。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 massage :

 名前のよこの[MAIL]から、メールフォームに行けます。
 もしも何かを思ってくれたなら、お手紙をください。
 あつかましいお願いだけど、投票ボタン、もらえたらうれしいです。

 Rくんへ、どうもありがとう。
 からっぽのコミュニケーションはたしかに何も意味をなさないかも知れない、
 だけど、そのからっぽなカタチをもらえて、はじめて、
 この言葉の向こう側にあなたがいることを
 ぼくは
 知ることができたから。




2002年04月12日(金) 遺書:あなたが前触れもなくある日突然死んでしまったわたしは



よく晴れた日で
あなたはどこにもいなかったけれど
わたしは生きていた
たしかに



・・・・・・・・・・・・


まっくらな夜、突然に電話が鳴りました。


流すべき涙の持ち合わせがないということが
あたしには不思議でした。


現実と空想の区別がつかないいつもの毎日の続きみたい。
あたまのなかみはクレイジーな極彩色のマーブルもようを描いて
それはどこかのファミリースポットの一角にあったアイス屋のひとすみ、
どぎつい蛍光ピンクとイエローと水色を混ぜたレインボウアイスみたい。
なめて溶かすと舌が染まるの。
不自然に青むらさきの色。

そうして何もない。
何もないの。



突然飛び込んできた電話の中身。
みんなあいまいに笑っていた。
はれものにさわるように言葉を。

そんなもの、うすうす感づけるのにね、ばかだよね。

遺体は警察に。まだかえってこない。告別式。お通夜。
すぐに焼かれてしまう。死に化粧。あしたの朝いちばんの電車で。
ねこちゃんはムリしないでカラダをダイジにするのよ。
菊の花なんて辛気臭くて嫌だよ。茫然自失。おばさんは気丈だね。
行かなくてもいいのよねこちゃんはグアイがわるくなったら困るから。

蚊帳の外で
おはなしは
ひそひそと語り継がれて
あたしは
ひとりきりで夜ごはんを胃袋につめこんで
聞き耳をたてる自分に
腹を立てる。
そのひそひそとした後ろ暗さがいやであたしは暴れる。

おとななんてだいきらいだいきらい。
いまさら可哀相もないじゃない生きているうちは追いつめたくせに
ばかみたいばかばかしくってやっていられない
やわらかい枕を叩きのめして手首の皮膚をねじりきって
言葉にならないうめき声でああああと抗議の声をあげる。

だけどこの茶番劇からは抜け出せないの。

あいかわらず続くひそひそ話とお見舞いへの段取り。
いっそさばさばした口調で人の死を言葉の俎上に乗せるのは不謹慎ですか?
自死をえらびたがりこっそりと自分を傷つけ精神科などに通い
お薬をあおっては眠ってしまうわたしにもっともよく似ていたはずの
サトくん、
あなたは今、どこにいるんですか。


死。

みたことのないその遠い場所に
あなたはどうやって、行こうとしたのですか。

ひとりで。



・・・・・・

いつか誰かまた求めるはず愛されるはず
そうなったら幸せでいて、
だけどわたしの誕生日だけは一人泣いて
裸のまま泳いだ海、わたしを思って

Cocco「遺書。」

・・・・・・

恋人ができるまえ、このうたが好きじゃなかった。
きれいさっぱり忘れられてそれがオワリでいいと思った。
そのときあなたが愛してるひとに、それはあんまりな仕打ちだと
思っていたのかもしれない。

恋人ができたとき、あたしはこのうたを思った。

あたしが死んだあと、
あなたは幸せになったらいい。
ならなくちゃいけない。

だけどもしもあなたが死んだなら、
あたしはきっと、そうやってあなたを思って生きてゆくと思った。

誕生日にはひとりで花を選んで
あなたにはちっとも似合わなかった花を摘んで
ばさばさと乱暴にスカートの裾をひるがえして
火傷しそうに熱い砂の上を
どぼどぼととうめいな涙を流しに行くんだと思った。

未練とはちがうなにかのために。



ねえ、サトくん。

あんまり突然にいなくなってしまったから
わたしはサトくんのしずかな横顔しか思い出すことができません。
死んでしまったひとを送るための讃美歌を
そのときあなたはあたしに教えてくれました。


あなたは、いま、どこにいるんですか。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Massage:

 名前のとなりの[MAIL]を押すとメールフォームに行きます
 よろしかったらおてがみください。
 お返事はかならず、いたします。

 メールにするほどの言葉の持ち合わせのない方へ
 それでももし、何かをおもってくれたとしたら、どうぞ
 無言のしるしに、投票ボタンをぼくにください。



2002年04月11日(木) ロリータ、病気にケンカを売る。

うちにいるときの睡眠時間は長い。
すごく長い。
外で働いて、学んでくたびれてくるあの人にもこの人にも
どの人にも申し訳なくなってごめんなさいと言うくらい
何もしないでだらだら眠っている。
食べるとかトイレに行くとか水を飲むとか電話に出るとか
およそ全部の予定をキャンセルしてじっとしている。
目を覚ましたくない。
この四日間で体重は2キロ落ちた。

たまには外に行く。

出かける前、あたしは必ず武装する。


捜し歩いてみつけたガーネットのブレスレット。
手首にぐるぐる巻ける、まっかな色がほしいの。
そう言って去年の夏と秋にたくさんの場所を探して歩いたブレスレット。
居合わせたでかうささん(あたしの相棒)は、
数珠みたいだねえと笑って念仏を唱えるまねをした。

それにただのビーズのブレスレットを、たくさん。
じゃらじゃら適当にひろってつける。
最低5本。

十字架の形をしたネックレス。
ゴシックロリータ風と自分で勝手に思い込んでいる、装飾的な
藍色な楕円形の石の中に、またうっすら十字架が浮かんでる
アンティーク調の黒っぽい金のネックレス。ただしすごく安いけど。

帽子。
夏も冬も、いつでも帽子。

ヒカリモノは大嫌いだったけど
今はいろんなものをつける。
耳に湿疹が出ているからイヤリングはあんまりしない。
指も病気のおかげで変形しているからあんまり指輪はしない。
ネックレスをすると首の皮膚がやわなので切れて血を出す。
脱ぎ捨てたお洋服の襟には血がにじんでる。


小さい頃から男の子になりたかった。
演劇部では男の子役ばかりやった。それから死ぬ役。
身長は小さいくせにおっぱいが大きいのがいやだった。
どうしようもないことなんだけどね、だって遺伝だもん。

そうやってあたしは
女の子を捨ててきた。

ごめんね、あなたはたしかに生きてたのに
捨ててきちゃった。

こころが病気にかかってきてから
あたしのワードローブはぐちゃぐちゃになった。
嫌いぬいてきたふわふわのスカートもきれいな色のワンピースも
どうしてもほしくなってしまったものは貯金を切り崩しても手に入れる。
肌はぼろぼろで変色しているしお化粧もできやしないし
かわいい服なんて似合うわけがない、だけど。

だけど、気を抜いた服はあたしを守ってくれない。
そうしてあるときはっきり意識した。


お洋服は戦闘服だ。


あたしはロリータじゃない。
嶽本野ばらもきらいだ。
興味本位で見てたたくさんの女の子たち、
だけど彼女たちの言葉のひとつがあたしをヒットした。
お洋服は戦闘服だと彼女達もおもってる。あたしとおなじ。
あたしもおなじ。

ミニスカートもドロワーズもパニエもないあたしの
世界の終わりという名の雑貨店。


病気にはケンカを売ろう。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Massage:

 この日記はややフィクションです

 名前のとなりの[MAIL]を押すとメールフォームになります
 よろしかったらおてがみください。

 お手紙くれたNちゃん、どうもありがとう。大好きです。

 メールにする言葉の持ち合わせのない方へ
 それでももし、何かをおもってくれたとしたら、どうぞ
 がんばれのかわりに投票ボタンをぼくにください。



2002年04月10日(水) 薔薇の木。

2002年4月10日


ひるまっから夢をみていた。


夢の中であたしはビニルでできたかいじゅうのぬいぐるみをたくさん抱えて
イヤダイヤダと抵抗するそのぬいぐるみどものぷよぷよぶりを顎に感じながら
ワンボックスカーにつめこまれて遠いところへ連れて行かれていたのでした。

ごめんね行きたくないのはわかってるんだけど、でも行かなくちゃならないの。

拉致先はよく言えば雰囲気のある、悪く言えば絵に描いたようで趣味の悪い洋館で
庭中が薔薇の木でいっぱいで、でも赤い薔薇はなにひとつ咲いていませんでした。
にこやかに上品なおばさんが出迎えてくれて、その意地の悪さときたら
まるでびろうどのようでした。

わたしはあまり薔薇の花が好きではありません。
それが、親しみぶかくないせいかも知れません。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


そんな夢をみてのほほんとしていたらお薬をのみ忘れました。
春にのせて、いろいろなことを忘れがちです。
のんでいる薬はいくつかたくさんあって
大体は、ごはんのフィニッシュにばらばら取り出します。
そういうときだけ自分はちょっと病気っぽいかなとおもいます。

あと、どこの製薬会社だったか何のクスリだったか忘れたけれど
「もう一度痛みのない人生へ」っていうコピーをみたときとか。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


Message:

名前のよこのMAILをクリックするとメールフォームにつながります。
よろしければ、お手紙ください
そうしたらとてもうれしいです。

おてがみくれた人、どうもありがとう。ほんとうに。

投票制度というのがどういうふうになっているのかよくわからないのですが、
もしも、がんばれの代わりに押していただけたら幸いです。
と、あつかましく、願います。


あ、ティッシュがなくなっちゃった、どうしよう。<花粉症。



2002年04月09日(火) 「EVERGREEN」


2001年、春、某日 「トキワギ」



ユメのなかでユメをみる。



やぶれた皮膚に、かざあな。

口のなかにすきまをつくる

こぼれおちた わたしの 歯



鉄サビの におい

赤茶けて

手のひらいっぱいにあふれた、うす黄色にまるいつぶつぶ

あふれて こぼれて

床に撥ねる わたしのまわりに



わたしの からだのなかですきなところは どこ



つめたい肌色をした足

さらさらビーズの


色がおどる



いろんな色のお薬で


みんな。

つながれて 生きのびて そらにとびだしていった



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



だれか、一年前のぼくに伝えてください

きみはまだ生きのびている。

だれか、ぼくにことばを通じさせることのできるひとへ。



そうしてまた春がきて、くしゃくしゃになった不安がおちて
ぼくのうでにはかざあながあいていきました。



:Message

 このお話はひとつのフィクションです
 
 名前のよこの「MAIL」を押すとメールフォームにつながります。
 よろしかったらどうぞ、お手紙をください。



2002年04月08日(月) 「躓く石。」


一日のなかには、ときどき、小さなあながあいている。


あなのなかに入ると
そこはひんやりしていて、くらくて、
あたしは穴のなかから首だけ出して外をみている。

そこからは人の足ばかりがみえる。


知らない人がエスカレータの横を走り下りていった。
左右のかたちが歪んで減っているミュールの足からは
こころぼそさをとっぱらうみたいな
勇ましいかかとの音がする。
全体重を支えるのに似つかわしい、はげしくて強い音。
だんだんだんだんと靴を壊すほど乱暴に駆け下りていくだけの
遠慮のない目的がこのひとにはあるのだ。

わたしはおびえないふりをしてつまさきを見つめる。
黒いエスカレータの段々と
規則ただしく引かれた黄色いライン。

あの足の持ち主は、もしかしたら高校の同級生かも知れない。
中学のとき遠い場所に越していったともだちに再会したとき、
彼女がはいていたピンヒールの靴。
ダークレッドの、つやつやとしたなまめかしいパンプス。
それはまったく17歳には似つかわしくなく、
そうしてひどく彼女に似合っていた。
それから、何年か前に恋人だったひとの、黒のひも付きの革靴も。
どういうわけか、歩くたびにかちかちと金属的な音がした。
そのひとのことは、ほかにはなんにもおぼえていない。
顔も。
声も。

そういう人たちが自分を通り過ぎていくのを見ながら
あたしはまるで、毎日旅をしてるみたいな気分で暮らしている。

みんな、ここを通り過ぎて去っていく。
あたしはそれをこの場所でみおくる。


そういうふうにできているのだ。


ずっと、ずっと
小さな子どものころから。



「 I lost my home, where am I ? 」



今、いつだって混雑しまくった電車の中には
殺気立って苛立った顔つきのおじさんたちが満載で
そうして多かれ少なかれ、のろまなあたしはその人の乗り降りのたびに
邪魔をしては、あたまや肩や背中をどつかれてはよろける。
おじさんはこの目障りな小娘を罵倒する。上司も部下も、同僚だって
家族だって気に入らないところ満載の人生を罵倒して、世の中を罵倒して、
しらふでも酔っぱらったみたいな気分でいさましく電車をおりていく。


わたしはとんがったスーツの背中をすこしだけうらやましく思う。
かえるところのあるひとたち。


わたしは人生を罵倒しない。


真夜中まで歩きまわったドアをあけ、そらぞらしくただいまと言う。
とぼけたぬいぐるみのカイジュウだけがあたしの味方で
部屋に脱ぎ捨てたずぼんも形そのまんまに
べったりと床にすわりこんで体をかきむしったとしても


わたしは人生を罵倒しない。



4月8日、晴れ。
目を覚ますと躓くための石はそこらじゅうにころがっていて
わたしの靴底からは、なんの音も聞こえなかった。



2002年04月07日(日) ムダなものがうるおい。

日記を開設してみたけどやっぱりサミシイだったので
急遽ぺんぎんとデートを組むことにしました。
ぺんぎんと言うのはねこのだいじな相棒(おんなのこ)です。
そろそろお付き合いも10年目に突入。

お互い、春夏用のワークずぼんを買う!
というのが今回の目的でした。
行き先はユニクロ。

でもえてして、
ねこのお買い物なんて
目的だけをまっすぐに果たせるわけがないです。
そんなことが起きたら拍手喝采だと思います。
オールスタンディング、
画期的出来事。

今日も、顔を合わせて最初にしたことは
キャラメルフラペチーノとモカフラペチーノを仲良く買って
春風吹きすさぶテラス席ではいせんす絵本を広げることで
そのあと行ったのはアクセサリー屋でした。

そこでぼくが目をつけていた指輪が売れていたことがあんまりかなしくて
もうかなしくてかなしくてかなしくて
すっかり意気消沈して半泣き状態になりました。
なんでそこまで落ちるかな自分。

(教訓。グッズはすかさずその場でモノにすべき。)

そして登場、やけっぱちのアリス。

ときたまのぞく服屋に気分を持ち上げるべく迷い込みました。
大流行ボヘミアンにバレリーナスタイルの超ひらひらな服から
お姉さま系スーツまでが脈絡なく置いてある
節操ない服屋さんです。
ので、見ているととてもおもしろいです。
茶系の細かいストライプが可愛いふわふわのラインのスカートが目につきました。
あたしは悟りました。

こ、これは、絶対ぺんぎんに似合うっ!

でも彼女はこんなスカートははきません。
セミタイト以上の広がるスカートははかないし
丈だっていつもロングです。

そこで
洗脳作戦開始。

「似合うよカワイイよたまにはこういうの着ようよおしゃれは挑戦だよ〜」

耳元でつぶやきとりあえず試着をさせ
お店を出てからもつぶやきつぶやき
つぶやき続けて十数分。

洗脳成功。(≧▽≦)b

ここまで来ると呪いだよ。

でも、かわいい人にはかわいいものを着せたい。
等身大の着せ替え人形って
内心、女の子のだいすきな遊びのひとつなんじゃないでしょうか。
少なくともあたしは大好きです。

といって、
本当の目的だったユニクロに辿りついたのは
日も暮れかけた頃でした。
まったく、目的がただの添え物になっちゃっています。


まあ、よくあることですよね。


飲んでいるお薬どれかの副作用なのか主作用なのか
それとも単に病気のせいなのかで
帰る前あたりになにかが
ぷっちん。
帰ってきてからは動物園のくまさんになっていました。
うーうー言いながらぺたぺた台所を歩き回り続けることをこう呼びます。

エネルギー切れは怖いです。
がんばりすぎは禁物だなあ

だけどあいかわらず、闘病とはちがう気がします。
あんまり。



2002年04月06日(土) 春ノきもち。

新年になった。
古い古いうちのインターネットが、ADSLになった。
大容量だ。
大速力だ。
ぶろーどばんどだ。
光ファイバーには負ける。

これでうちも先端技術の仲間入りね。


だけど使い道がおもいうかばなかった。
そして梅が咲き
バレンタインデーでチョコレートがいっぱい売れ
連日のよに春ノ嵐が吹き荒れて
桜の花を吹き散らしたと思ったら
着々と木の芽時が近づいてくる。

木の芽時。
どんな健康なだれでもワケもなく
立派な「ゴガツ病」になってしまうかもしれない。
それはそれは怖い季節だ。

それでなくともあたしは年中ゴガツ病だ。
あいかわらずADSLの「有効なつかいみち」は思い浮かばない。

そして愛すべき相棒さんや悪友は
東京都とか東京都下とか東京電話とかに行ってしまった。

どうしてみんな、そんなに東京がすきなのか。

ねこはサミシかった。
どれくらいさみしいかと言うと
バイトの帰りにお金もないのに
思わず四段ティアードのお嬢系スカートを買ってしまったくらいだ。
ちなみに花柄。
流行の最先端というわけでもない。

いくら流行とは言えどもねこも杓子もボヘミアンにはならないのですよ。

というわけで日当の1.6倍で買ったスカート。
これはまったくはんぱではないサミシサであると思う。

ねこは有益にホームページでも作ってみようかと思った。
だけど作る腕がない以前に場所を借りるのがめんどうだったので
まずは日記でも書いてみることにしようと思います。


理由:「エンピツ」って名前が気に入ったから。だってかわいいもん。


2002年4月6日、ひだまりらせん別館、開室。


たぶん明日からも続くと思います
だって今日はエイプリルフールじゃないから。



2002年04月02日(火) プロフ&記録のための一日

2002年4月6日、初出


1 「プロフ」について


「プロフィールがないホームページを、わたしは誠実とは思えない」
といったような議論(?)が前に知り合いの掲示板にあった気がするので、
その言葉にうなずいていた相棒さんとけんかをしないためにも(?)
いちおう自己紹介もしておこうと思います。

だけど、内心、
「プロフ」ってなんだよプロフィールって言えよプロフィールっ!>相棒。
と思っていることは内緒です。

えへ。


要するに、何もかもを略す最近の風潮についてゆけない人間のひとりなのです。

びば・あなろぐ。


ただ。


「どうせ吐くなら限りなくほんとうに近い嘘を吐きたい。
それが真実だと自分でも思い込めるくらいの嘘を。」



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2 わたし、あるいは、ぼく


名。: ねこ。→ 02年卯月半ばより、まなほ → 03年7月より、真火(マホ)

顔。: 髪は黒いです。

長さ。: ミニマム

重さ。: 過去はふっくら、今ふつう

誕生。: 秋と冬の境目頃

組成。:

   ,海辰魁 
   江国香織&ミヤザワケンジ
   せいしつ:性悪
   ぐ預己1:相棒1=でっかなうさぎ
   グ預己2:相棒2=ぺんぎん
   Π預己3:薬


ミトコンドリアとかエアプランツとかプリズムとかプラネタリウムとか
かすかなるむぎぶえという言葉が好きなように、
アイデンティファイという言葉が、わたしは好きです。

ことばはひとつの武器で、
そうしてわたしを成すものです。


「流れ落ちる三分四秒の砂時計 ずれ持つもののまじめなかなしみ」



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3 びょうき(笑)


闘病ジャンルなので病気のことを書きます
(でも日記のなかみはいろいろだよう…)

1.アトピー性皮膚炎

わずらっている年数=生きてきた年数におなじ
程度はまんなかくらい、、、重度ではないです
蕁麻疹と脂漏性湿疹も併発しているらしい、、、が
あとのほうはカルテから消されたので今はないのかな。
乳幼児期〜小学校中学年と高校のはじめに悪化の時期があり
それぞれ自然療法と西洋医学で乗り切りました
今がたぶん三回目の状態の悪化でこれがまたなかなかしつこく
自宅療養の日が続いています……
ということで闘病ジャンルなのでした


2.アレルギー性鼻炎

中学二年か三年生ごろに発症
いわゆる花粉症らしいけれど何の花粉かはとても曖昧
スギ花粉がおさまっても一月くらいはまだ鼻炎をやってます
高校一年生ごろに日常生活がままならないくらいに
状態が悪くなったので、耳鼻科に通いはじめ……
吸入のステロイドで粘膜が乾ききって息ができなくなるというまぬけぶりをさらす(おい!)
お薬の調整をかさねて前もっての抗アレルギー剤の服用でのりきるようになり
ここ三年くらいはとくべつに鼻炎のためにはなにもしていません
発熱して寝込むくらいにならなければ別にがまんできるかなと、、、

そういうわけで喘息になったらアレルギーマーチ制覇(笑)
その日までたのしくがんばります〜(がんばらんでよいっ!)


3.精神症状

19歳ごろ(大学入学)からもろもろ

主に、常につづくらしいつよい不安と緊張
睡眠障害(不眠の方向で)
大きな物音、乗り物、人にたいするかなりの恐怖
ついでに男のひともこわいです(除く相棒さん+友達)
呼吸困難、頻脈、自分が自分でない感じ、目眩、脱力感などの「発作?」
乗り物のなか・人ごみのなか・待合室・教室・暗くて密閉されているところ
音のうるさいところで起こす確率が妙にたかいです
自傷行為
それから欝
そうして希死年慮
見捨てられ不安がつよいらしい
自殺未遂、大量服薬、入院などの経験はありません

バスや電車に乗れない、外に出かけられない
レジがこわくて買い物ができない
人と口をきけない、

がんばると気分が悪くなってふらふら倒れる……
ということを日々あれこれやっています
人にかけた迷惑はかずしれず〜

大学にてカウンセリングを半年うけている
卒業の時期がきてしまったので自動的に打ち切り
卒業後に精神科を受診……このことは日記に書いています

診断名は、ありません。



ええとそれではこのへんで。(2004年7月15日、削除&追記)



2002年04月01日(月) エイプリルフール、嘘っこ日記、「夢ノ木・ak」


   「 夢ノ木・ak 」


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   コ ン ニ チ ハ

   合成音のご挨拶



       ア
       ク
       セ
       ス


       みなしごの僕が、みなしごだった君を見つけた

       でも僕には名前がなくて、君は気づかずに行ってしまった

       名前を知らないもの同士が、世界から消されてゆく

                                               ア
                                               ク
                                               エ
                                               リ
                                               ア
                                               ス

                                   ある朝ぼくの
                                   望みどおりに
                                   マリオネット
                                   あやつり糸を
                                   切り離したよ
                                   少しくらいは
                                   夢もみたんだ
                                   ガラクタ恋で
                                   舞台が終わる



                                      ☆



                 夕暮れ時の空の色を眺めていたことがある?
                 あの不可思議なうすむらさき色をした大気が
                 血管をめぐりながら身体を溶かしていくのを
                 その一部になって漂いながら感じていたことが、
                                               ある?



    ア ク ロ バ ッ ト

    [ ネアンデルタール人が見ていた夜の星座はどんなかたちをしてたでしょうか ]


                                     ア ク ア リ ウ ム


                 みなしごの僕の泣き声を、みなしごになった君が聞いた

                  でも僕には名前がなくて、君は呼ぶことができなかった

                   泣きつづけるみなしごたちが、世界から消されてゆく



                                   ア ク チ ュ ア リ ー


                                      何もない惑星
                                      雲ひとつない
                                      なにもない空
                                      星も見えない
                                      なにもない海
                                      唄も持たない
                                      なにもない鳥
                                      棲む者もない
                                      なにもない森
                                      空も飛べない
                                      なにもない魚
                                      恋さえしない
                                      なにもない人



                                   : コドモの理論でお話しよう


                                        ア ク ア

                                        > EXIT > >



 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 「はじめまして、どうぞよろしく。」

 それとも、「さようなら、おやすみなさい。」


 より詳しいプロフィールなど知りたい方は二日までどうぞ。
 お手紙いただければ、また幸いです。



 2002年6月1日、追記  まなほ


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