流れる水の中に...雨音

 

 

海の中の白い家。 - 2004年05月31日(月)




海の中で暮らしたいなと 思うことがよくある。
水が透明に澄んでいて 綺麗に光が通っている海で。

キラキラ光る海面から 眩しい光が射し込んできて
小さな水の揺らめきで 海底に模様ができる。

静かだろうなあ。



ほどほどに冷たくて ほどほどに身体が軽くて
全てがゆっくりと漂い 音はかき消される。


小さな白い家を建てよう。
白い塗壁の。天井は透明な硝子で
壁には横長の細長い硝子窓をつけて。
窓の外は水族館だ。


誰もたずねてこないけど
私のたいせつな犬だけは一緒にいる。


息が苦しいかな。
そのうち慣れるかな。
たぶんね。



電話も 目覚ましも ステレオも
もう必要ないね。

ちょっと難解な旅行記と魚の図鑑と
画用紙だけあれば それでいい。







...

小さな記憶。 - 2004年05月30日(日)




懐かしい時代のことを ふと思い出す瞬間がある。
それは 建物の窓ガラスに反射する光を目に受けたとき
湿気を多分に含んだ生ぬるい風を受けたとき
素足に履いたサンダルの足首の留め金をかがんで留めたときや
マンションの玄関の扉から足を踏み出した瞬間に
突然耳に入ってくる夏の喧騒や
そんな 他愛も無い小さなことが引き金となって。

ジクソーパズルのピースのように
全く別々の過去の小さな要因は
積み重ねられ合わさって 今の私の記憶となって
私の運動を起こさせて
感傷的になったり 懐かしくなったり
納得したり 恥ずかしくなったり。

登場人物は沢山いて みんな 今ではどうしているか
分からない人も多いけど
鏡に向かって 髪をあげた瞬間に思い出した
あのとても綺麗だった知り合いのお姉さんも
記憶の中で髪を風に靡かせて 白いシャツをきて
高いヒールで颯爽と歩き続けているし。

とてもそういう どうでもいい小さな記憶たちが
何故だかとても私には大切で
まるで宝物でも懐かしむみたいに
キラキラ光っていたりする
不思議だな。

友達と須磨でおりた駅から見えた銀色の海の残像を
この季節になると何故だか頻繁に思い出す。

なんでもないことなのだけれども
とても大切な記憶だったりするんだ。




...

ある小説の一節より。 - 2004年05月14日(金)




「孤独ぶりたがりのティーンエイジャーとはちがうから、
 私はもう一人ではいたくないの。」


ある小説の一節。


一緒に暮らしても人生を共有できないことがある。
たとえ 一緒に暮らさなくても 人生を共有することはできる。

一緒に暮らすことと 人生を共有することは 
全く別のことだ。


だけど 
人生を共有できる相手を思いながら 独りで暮らすことは
あまりにも淋し過ぎて 彼女にはできないから

「私は私の人生が気に入ってるの」
「そんなに幸福っていうわけじゃないけれど、
 でも、幸福かどうかは そう重要なことじゃないわ」


切望する脆いなにかを手に入れるよりも
壊れることのない安らぎを大切に思う。
そこに「ある」という事実が大切だから。


幸福かどうかは そう重要なことじゃない か。







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淋しさのかたち。 - 2004年05月10日(月)



ここ数日、恐い夢か 淋しい夢を見続けている。
今朝見た夢も恐かったし 淋しかった。

何が夢に影響をおよぼすのかわからないのだけど
そういう夢を見る時は立続けに 見続ける。


真っ暗闇のなか 私は診察台のようなベッドの上に寝かされ
外から漏れる光でしか 周囲を観察することができない。
ずっと部屋の奥から 一人の人が近寄ってくる。
彼も囚われの身だ。彼は私に近寄ると ニ言三言話すと
身を隠すように去って行った。
暗闇のだだっ広いホールの中。
気がつくと そこは映画館だった。
スクリーンでは おぞましい映像が流れている。
前列を占めているのは 小さい子供達。
私は座席に寝転がるように座っている。
私の前の席の身なりの良いスーツを着た男性が 
まるで新幹線のリクライニングシートのように
背もたれを倒し、私の膝までのしかかる。
あれは誰だったのだろう。恰幅の良い中年男性だった。



私はいつのまにか 何かの施設の中にいる。
私の左隣にいる物腰のやわらかな男性は私の肩を抱いて いう。
「そうだよ これは君の為に作ったんだよ」と。
私は辺りを見回すと  天井が高い鉄筋の建物。
そして沢山の人で賑わっているのに気がつく。
そうだ 今日は完成記念のパーティーだった。
私が彼に抱きついて甘えると 彼は
○○会社の誰某さんが きているから駄目だよ と
私の振る舞いを牽制する。
私は仕方なく 大人しくする。

彼がそのあと 参加すると言う会が行われるホテルまで
ついて行く。
彼は私に○○会社の誰某さんには 気づかれないように
しなくてはならないけれど 親睦を深めていらっしゃい といわれて
○○会社の彼等と行動を共にすることをきめる。

彼の出席する会の開始時間が迫っている。
穏やかに振舞い 接する彼に
淋しさを感じながら そのホテルをあとにする。 

そうして私はいつも 捨てられるのだった。



...

タラサ志摩。 - 2004年05月07日(金)

六月に彼が 米国に学会発表にいくので
その間に私は都内にでも泊まりにでかけて
普段会えない友人たちとゆっくり過ごすという予定にしていたけれど
突然今朝から 波の音が聞きたくなって
東京を早めに切り上げて 海の近くのリゾートホテルにでも
癒されにいこうかと 考えている。

タラサ志摩


ここは私が大好きなホテルだ。
タラソテラピーも アーユルヴェーダもエステもマッサージも
受けることができる。
食事も美容を考えたメニューが組まれているが
意外にも 期待を大きく上回り まともな料理が食べられる。

全ての部屋からプライベートビーチが眺められ
常に波の音が響いている。
レストランの窓ガラスから 大きくうねった波が岩に割れて
くだけ散る飛沫を眺めながら 食事をすることができる。

よるの海には灯りはなく
つややかな天鵞絨のように滑らかで ときに波間に光沢がうまれる。
飲み込まれそうな恐怖と 心臓音に呼応する波の音に
限り無い諦めと 安心感とに包まれる。


なんにも 他にはすることはなく
刺激を求めたい人には ちょっと無理かも知れない。


だけど私は ときどき波の音に 癒されに出かけたくなる。
一人きりで。
誰かと 時を 感情を 共有するのはとても
難しいことだから。





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