流れる水の中に...雨音

 

 

窓の外の冷たさ。 - 2003年01月31日(金)


まったくチグハグだ。

いったい私の質問の答えを持つ人は 何処にいるのだ。

何かが違う。絶対。


午前5時。
結露で白く曇った窓辺に身を寄せる。
街燈で照らしだされた まだ夜明け前の街は
静かで 冷たい。
ここでこうしてこちら側から覗き見る私は
たぶんこの窓の外の本当の冷たさを知らない。

苛立ちは
私の左目の瞼を無意識のうちに震わせ
脳幹だけを尖らせる。
そして私を眠らせない。

何処にも身を任せることができずに
この場所もまたかりそめと。

みんな無口で無関心で
そして全くの他人で。

幾億にもちらばる塵の中から
たった一つの答えを見つけることが本当にできるのかな。

そして私はやっぱり
この窓の外の冷たさを 知らない。


...

ジョーカー - 2003年01月30日(木)



焦ってしまうんですよ。

ほら。
期限までに決められたカードを集めなきゃいけないゲームのように。
必死で掻き集めるけれど 思うように集まらなくて
苛立ってしまうんです。

ゴールという 収束を目の前にぶら下げられて
それは確実にそこにあるものなのだけれど
カードが不足したまま ゲームを続けられるほど
精神力は強くなくて。

必要なカードと同じ数だけ 与えられたら
過不足無く ゲームは進んでいくのだけど。

ペアを見つけてカードを捨てれば
最後に残るのはジョーカーだけで

最後の一枚をきっといつまでも捨てられなくて
ケームは終わるのだろうなと
そう感じるのでありました。








...

いつかきみに。 - 2003年01月20日(月)



冷たく固い石で覆われた 高い塔で暮らしている。
中は薄暗く 閉塞された空間が 空気の流れをも
殺してしまっている。
外に吹く風も ざわめきも 光をも遮られ
どれほどの厚みがあるのであろう石壁のこちら側と
あちら側では きっと 時代すら異なるのではないのかと
そう 感じてしまうほどの。

この 淀んだ しかしながら澄んだ空気を留めるこの塔の中には
体を温めるには十分な松明の明りが盛んに燃やされ
そして 柔らかな足元の敷物とともに
十分なだけの美味しい食べ物も不自由せずに。

この重厚な空間の中には 生を満たすための
あらゆるものが存在し あらゆるものが与えられ
そして退屈をしのぐための余興や書物 そして
幾人かの話し相手もいるけれど。

けれど
重い鉄の窓を開いて
窓からみえる遠い景色に心を魅かれてしまう。
そこには青く煌めく遠い海が見えたり
春の優しく暖かい柔らかな陽射しが注ぐ景色がみられる。

暗く冷たい塔に開いた小さな窓は
その小ささに反比例するように さらに鮮かさや
生命の漲りを増し
その小さな窓こそが 世界であるかのように
力強く 輝く。

私は その鮮かな景色の中に存在する
青い海の水の冷たさに触れ 春の陽射しを受け
柔らかな春草を この足に踏みしめたいと
焦がれて 窓辺に寄る。

その小さな窓を覆う重い鉄の扉を閉じることができれば
きっと
こちら側に存在するもののひとつひとつに
満たされて穏やかに。

私は私で完結できるのだけれども。



いつかきみに
私にとってのきみとは と尋ねられたら
そう答えようと 思っているんだよ。







...

Eyes Wide Shut - 2003年01月11日(土)



何を知っているというのだろう きみも 私も。


私は別の私に戸惑い続け 私は私を演じながら 
私はきみの知るところの私であろうと心がける。
きみの理解している私は きみ専用の私であるのに。


本当の私のことなど 私だって知らない。
私が知っている私のことは 私の多くの軌跡だけ。
きみの 紳士面した理解は ただの傲慢。
いつか青ざめればいい。


私はきみのことを 知らない。
私の知るところのきみは きみが私へ提示するきみの姿。
けれどもそれは あまりにも薄っぺらすぎて
それだけではないことは 語尾から感じて。
きみの提示する私への安心材料は
きみが私にとっての「在るべき姿」。
それだけが きみじゃない。


「愛」なんていうものは 
実はマーブルで出来た多面体のようなもので
純粋でシンプルなものじゃない。

転がったダイスが 違う面をみせたら最後
きみと私は 元には戻れなくなる。


情緒不安定は 決してきみの所為ではなくて
それは
きみの知らない私の一面が何かを話し始めている。



大きく目を見開いて 妖しい影を捉えたとしても
きみが私を失いたくなければ
急いで 強く 目を閉じたほうがいい。


きみのためにも
私のためにも











...

ヤマアラシのジレンマ - 2003年01月09日(木)



「ヤマアラシのジレンマ」という寓話がある。


ある寒い日 一組のヤマアラシが寒さをしのぐために
お互いの身を寄せ合って暖めあっていた。
だけれども お互いの体には 何千もの鋭く長い針があるから
暖めあうほど ひどく傷ついてしまっていた。
だけれども そうしているうちに お互いが
「傷つかずに 暖めあえる距離・方法」を見つけ出してゆく。 


この話からわかるように
お互いの適切な距離やアプローチの方法を知るには
まずは 相手の針の長さや鋭さを知らねばならず
そしてその針で傷つくことの痛みの程度も知らねばならない。


誰でも 自分は傷つきたくはないし また
自分の持つ「針」にも 触れて欲しくない。
だからって それを拒んでいたんじゃ 
いつまでたっても 相手との距離は縮まらない。
心が暖かくなるためには 時には
自分を投げ出して 傷つかねばならない。
そしてそうやって 距離を測ってゆく。


抱きしめあって出来たときの傷は
それはただの傷や痛みではなくて 
相手への理解に変わってゆくのだから
私は 相手と本気で向きあうと決めたなら
一度は傷だらけ血だらけに ならなきゃいけないと思う。



あ。 でもヤマアラシの針って 刺さったら抜けにくいように
できてるんだって。
抜くには 刺さった深さまで 身をえぐらなきゃいけないらしい。


そりゃ 相当痛いね。きっと。




ある トピックスのテーマに寄せて。





...




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