Kyoto Sanga Sketch Book
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2005年09月11日(日) 【草津戦第31節】〜パウリーニョとアレモン(大量得点の始まり)

もちろん、FWだけで点は取れない。外国人助っ人だけでサッカーはできる訳ない。
今年もいい日本選手が何人もいる、って皆も言うだろう。
けど、2005年のこの年を「パウとアレの年」として記憶する人は多いはず。


シーズン前、来季はブラジル人2トップの可能性が報道されました。
ここ数年、京都で育てた選手中心の攻撃を見ていた者たちにとっては、
それはちょっとばっかり受け入れにくいって感じも正直。

しかし、夕暮れの薩摩町。

キャンプで見た褐色の青年たちの若さと無邪気さに、こちらも肩の力が抜けて。
もうチームにフイットして、テクニカルなドリブルとパスをみせる小柄な21歳パウリーニョ。
長身を献身的に移動させていたがクロスが合わず、しょんぼりする19歳のアレモン。

帰路のパウリーニョを呼び止めて、写真をとる。
後から来た監督がそれを見て、そんな時はなんというの、と声をかける。
「オブリガード!」。異国の青年も口を合わせて「オブリガード!」。
俺も俺も、とご機嫌でやってくるアレモン。「オブリガード♪オブリガード♪」と。
サポーターの「アミーゴ!」の声に、笑顔で手をふる二人。
(※”オブリガード”は男言葉。女性なら”オブリガーダ”が正解らしい。後から知りました(汗))





あれから半年。
「こんなではJ2で勝っていけない。J1なんて全く話ができない」。
前節、監督は怒りに震えていたらしい。
退場で10人になった水戸に結果はドロー。
もちろん、前線の二人だけが悪いわけではないが、彼らも調子を落としている。
全ての人が不機嫌なまま次の試合を向かえたこの日。

第31節草津戦@西京極 9月10日

パウリーニョと音程をとって歌うサポーターたちの声が聞こえる。
昇格1年目のザスパ草津をホームに迎えての試合が始まった。
今日も京都が、守備意識の高いチームに攻めあぐねている。



1点目。前半36分
京都最終DFラインから真っすぐ中盤へ向かうボール。
中盤の選手からそのまま左側を駆け上るアレモンへ。
アレモンがルックアップした瞬間、草津のDFの裏にパウリーニョが抜け出した。

パウリーニョの弾丸のように低く走る球はいつも綺麗。
それだけじゃなく、隙をつく狭い中での動きも、直線的な抜け出す動きもシャープ。
パスは出すだけでなく引き出す動きもいつも心得ている。
そしてアレモンは、献身的な守備やパスが巧いFW。



この試合初めての歓声がスタジアムを包み、
それに囲まれて、大喜びのパウリーニョにアレモンが駆けつけ、ゴール前で、
おどけてブラジル格闘技の組み手がはじまる。

でもブラウン管の映すベンチ陣は、前節と同じ。
その不甲斐なさにまだ怒っている

動きの修正の為に声をかける監督。
ベンチ陣に笑顔は全くない。



2点目。前半38分
草津のDF斎藤がパウリーニョを倒して一発退場。
悟のフリーキックがゴールマウスに突き刺さる。

スタジアムが2度目の歓声に包まれる。
大きな悟にどんどん選手たちが抱きついていき、笑顔を寄せてくる。
しかし、まだテレビに映るベンチ陣は不満げ。



3点目。後半1分
ゴール前で草津のDFがもたついている所をパウリーニョが奪った。
中払がシュート。

3度目の歓声。
しかし、まだベンチには笑顔はない。緊張は緩まない。



4点目。後半4分
星のゴール。
4度目の歓声。

5点目。後半21分
美尾が落としたボールを、パウリーニョが鋭いミドルシュート。
5度目の歓声。

退場者を出し10人になった草津は3バックにシステムを変更。
しかし水戸とは違う。
慣れないためか、相手のプレスはどんどん緩くなる。
守備は中央に偏り、京都のサイド攻撃はますます容易になる。




6点目。後半24分
斉藤のパスを星が相手DFの股の間からゴールに流し込む。
6度目の歓声。

しかし、相変わらず監督たちは納得いかない感じで、
選手たちの動きを修正をするために、ピッチに向かって歩く。
…一体何点取れば、監督もコーチも納得できるんだろう。



草津の捨て身の反撃が始まっていた。

後半のロスタイム。
今日まだ無得点のアレモンを奮起させる歌が聞こえる。
彼が倒された。PKを知らせる笛。7得点目のチャンス。


しかし…

次の瞬間、ベンチがついに動いた。
初めて笑いだした。爆笑(笑)

柱谷監督と美濃部コーチがこの試合初めて、歯をみせて笑っている。
ベンチに下がった選手たちも笑い出した。
ゴール裏のサポーターたちも指をさして笑い出した。

なんと、パウリーニョとアレモンが目の前でボールの奪い合いを始めていた。
ボールを持つキッカーのパウリーニョ、アレモンがまとわりつく。
パウリーニョは右手にボールを抱えたまま、彼の左手を必死で押さえ込もうとするが…
アレモンは今日まだ無得点。「どうしても俺が蹴りたい」と情けない顔で嘆願。
兄貴分に無視されてもアレモンは前に回り込み、
オーバーな身振り手振りで「だから俺が蹴りたい!」と訴える。
口はタコにようになっている。

草津の選手も呆然とみていたこと…は書きにくいけどホント(笑)。

やっとパウリーニョがボールを蹴る。

しかし、球は左ポストに直撃!

うつむいてトボトボ帰って来るパウリーニョ。
アレモンも離れたところで腰に手をやって、これまたうなだれていた。
なにか感情を押えるのに必死っぽい。
サポーターはアレモンの名前を連呼して歌を響かせている。

なんてアホな二人…。Jリーグ一試合最多得点は泡と消えた。

試合は結局6−0で終了。

無得点のまま終ったしょげたアレモンの差し出す手に
同じくしょんぼりのパウリーニョが握手してた。
6−0の大快勝に沸くスタジアムの中、
二人が消えていった。

監督も含めてゴール裏への挨拶に向かうときはちゃんと笑顔。
今日は笑顔で終らせられた。
あの憎めない若者二人も。



9月17日 32節湘南戦 0−0
9月24日 33節札幌戦 4−0
10月1日 34節山形戦 3−0
10月5日 35節鳥栖戦 0−1
10月15日 36節徳島戦 5−1

昇格決定まであとほんの少し。


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