耐えられずに口を開く。当たり障りの無い話題を探す。 でも己は話し上手でも聞き上手でも無く、上手く会話を繋ぐことが出来ない。 そして己の中にあるあの日の後ろめたさ、隠しきれない下心が、己を多弁にし、それ故に己の浅ましさを露呈し、後悔と自己嫌悪を生む。
ざらついた舌。先だけが驚くほどなめらかだ。 囚われている。 あのざらつきが己の内側を騒がせる。 逃げろ。 舌先だけが甘く惑わせる。 囚われる。逃げられない。こんなにも恐怖しているのに、こんなにも忘れられない。
身体が重くて動けない。 今解った。人を呪わば穴二つ。
もう穴を掘って埋まってしまいたい。君まで失ったら、と思うとこんなにも怖いのに、どうして自分は後悔しか出来ないのだろう。 夢だったらどんなにか良いだろう。でもそんな都合の良いことがある訳も無く。 もう殆ど全てを失った。君まで失いたくない。