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絶望と、その後の安堵。世界の色までも違って見える。己は恐怖に囚われて、それでも死なずに、生きて、それで良かったのだろうか。 分からない。それでも今はこの痛みさえも嬉しい…
…恋しい。
死にたいと思う。そう思った筈だったのに、己の身体は執拗にこの世界に拘って、痛みにも恐怖にも耐えられず、狂言に出来る程度の自殺を考え続け、そして結局は、そう、あらゆる事から逃げようとしている。 怖い。何もかもが空疎で、己とは遠い世界に行ってしまっている。己の身体は底に在るのに、どうしても実感が無い。 胸の痛みとか、腰の冷たさとか、何もかもこの不安も何もかも杞憂であったら良いと何度も何度も願っているけど。
彼の言葉が遠い。酷い言葉にも涙も出ない。泣くことすら出来なくて。泣いてくれる彼女を唯無表情に見つめて、何も感じ無い己。突き放されて、それは元々己が鬱陶しいと突き放したからなのだが、それでも何も感じず、謝罪の言葉にも最早ああやはりとしか思えない。 乾いている。何も見えない。辛い訳ではない、唯余りの空しさに、寂しさに、もうどうして良いか分からないほど途方に暮れている。
怖い、怖い、怖い。逃げたくて逃げたくて堪らない。 何から? 何もかもから。 何もかも、己を取り巻く全ての物から。友人、大学、家族、そして己自身。 逃げる。逃げたい、逃げたい。 何処へ、一体何処へ? 何処へも行けない。己は何処にも行く場所が無い。 行けない己の身体は一体何処へ行くのだろう。何処へ。
己の胎内に宿ってしまったかもしれない新しい命の芽。それを摘み取ることと己自身を摘み取ることと、それは同じように思える。己は死んでも良いように思う。 助けて! 誰に云っているのか。誰もいないのに。己を取り巻く他の誰にも己自身の問題を解決することなど出来ない。自分自身しか。 それでも己は助けてと云う。無駄だ。無駄な声だ。単なる音声の、空気すら震わせられない、空しい静寂。 言葉を失い。失って、心さえも失って。死んでしまいたいと云うよりは、生きていても仕方が無いという奇妙な境地。己は死んでも良いように思うのだ。
現実はひしひしと押し寄せているのに、己は何一つ踏み出せないでいる。時間、金、生命、何もかもの浪費。己が生きていることに意味が見出せないということはそういうことなのではないだろうか。生きている意味も目的も無いまま、日々を無駄に過ごし、ただ歳月だけを重ねていく。 放棄したいと思う。現実を放棄したい。逃避はもう出来ない。これほどまでに迫りきった現実は己の頭の中から抜けきらないで、己はきっと夢にさえ逃れることは出来ない。
生きていて何の意味があるのだろう。目の前に広がる現実になす術もなく、何も持たない丸裸の己は、途方に暮れる。 「誰か、」と叫ぶことも出来ない。何故ならここには誰もいないから、己の中には誰一人入れない。独力で何かを成さねばならない。 己の内側には、何も無い。ただ空っぽの穴、空虚さがあるだけ。
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