2002年09月27日(金) |
コンサートホールの椅子 |
今月の19日にコロンボの「Lionel Wendt劇場」というホールで室内楽コンサートがありました。ピアノ独奏やら声楽やらバイオリン・チェロと小品とかあまり堅苦しくない曲目でした。メイン的な曲としてメンデルスゾーンのバイオリン・チェロ・ピアノの三重奏が演奏されました。一ヶ月ほど前から習いはじめた私の先生も出演されました。今回は演奏の感想ではなくホールの椅子の感想を書きます。
前にオーケストラの演奏を聞いた「レディースカレッジ講堂」も同じなのですが、今回の「Lionel Wendt」の椅子も古い木の肘掛椅子で、5つ並べて長い板で背面を固定し長いすみたいにしたものです。背もたれは垂直、お尻の部分は籐で作られています。最初見たときは「これは疲れるだろうな」と思いました。ところがこれが驚くほど疲れないのです。日本の近代的なホールでも椅子が柔らか過ぎたりして疲れるところがありますが、コロンボのおんぼろ椅子は不思議に疲れないのです。私がそういう環境になれたのか、籐製の椅子が上手に作ってあるのか原因ははっきりしませんが、こちらのコンサートホールは見かけほど疲れないことを知りました。
金曜日が「ポヤ」(満月の休日)で休みだったので今日まで三連休でした。この三連休中に熱心に見たのが「大相撲」。こちらではNHKで午後一時ごろから放送が始まり三時前に全取り組みが終了します。今場所の話題は何と言っても貴乃花が注目の力士です。一年以上怪我で休んでからの復活の場所でした。
今日の「横綱決戦」で負けはしたものの12勝3敗は立派な成績です。復活をアピールしました。しばらく大相撲を見なかったのですが、貴乃花のほかにも個性的で、将来有望な力士が沢山育っていることに驚きました。貴乃花・若乃花時代の後に大相撲の人気も少しかげりが見えたようでしたが、これでまた黄金時代に入りそうです。
いろいろ見方があるでしょうが、私にとっての相撲の面白さは「世代交代」の面白さです。若い力の台頭と、それを阻む旧世代(?)の力。しかし結局は若い力が旧世代を追い落としていく。これが唯一「実力」で勝負がきまるところがあっさりしていていいです。貴乃花の復活はうれしいですが、貴乃花はこれから若い力士の挑戦を受けることになります。若い挑戦者は一年前よりずっと強くなっているはずです。これからどれだけがんばれるか興味深いです。
2002年09月19日(木) |
ジャフナ土産、ワイン、ネッリクラッシュ |
先週スリランカ北部のジャフナへ行ったときに土産を買ってきたのです。それは、ロザリアンシスターズという修道院で作っている「ワイン、ココナッツ酒とネッリジュース」です。これらがとってもおいしかったので記録しておきます。
そもそもジャフナには教会とか修道院が多いです。ずいぶん郊外に出ても立派な教会がたってたりします。仏教徒の多いコロンボなどの都市よりヒンズー教徒の多い都市の方がキリスト教の浸透が早かったのかもしれません。さらに教会の規模が大きいことが特徴です。さて、教会・修道院の勢力が強いときにそれらが多くの土地を所有し、農作物を豊富に生産できることは容易に想像できます。私はブドウ畑を見ませんでしたが、半島北部にはブドウ畑が広がっているようです。また、ココナッツ、ネッリ(インド北部地域で大切に扱われているという木で小さな実をつけます)といった木を育て実を収穫しているようです。
さて、ワインですがRs150でした。アルコールの入った「ぶどうジュース」なのですが、非常に興味深く複雑な味をしています。通常市販されているワインと比べるのは酷ですが、とても上品なのです。赤ぶどうを使っているという話を聞きましたが品種はわかりません。でも丁寧で心がこもった作り方をしていることが想像されます。「ネッリクラッシュ」(Nelli Crush)という「ネッリの実」のジュースも大変おいしいものでした。ネッリの実は腎臓障害の薬になるということ。またネッリの樹皮や根も薬として利用されるそうです。北インドで有名な薬木ということで、胃腸の弱かった「仏陀」が利用したかもしれません。
随分まえのに日記に「鳥が豊富→果実が豊富」ということを書いたのですが、今回は新たに「果実が豊富→果実酒が豊富」という関係を再認識しました。
16日からスリランカの民族紛争解決に向けた対話が始まりましたが、17日には日本と北朝鮮との初めて首脳会談が実現しました。月並みな感想ですが人間は合って話すことが大切だと痛感しました。距離が遠いとどうしても興味が薄れます。直接接しないと気持ちとから感情がわかりません。さらに、直接話してもお互い心を開いて話さなければ通じ合えません。
羽田空港で飛行機から降りてくる小泉首相の顔は大変厳しかったと思います。直接あって話すことができましたが、その際に金総書記が心を開いたかどうかは疑問です。
スリランカの和平会談には国内はもとより世界各国が注目しています。日本はじめ欧米の主要先進国は、和平実現後の経済援助を約束しています。逆にいうと外国からの経済援助を約束することで、和平が後戻りできない形に持っていこうとしているのです。それはそれで効果があると思いますが、経済援助だけででこの国が安定を取り戻し発展していけるかというというとそれには疑問符がつきます。民族対立問題とか教育問題を解決するのは、金だけではなく知恵とか経験が必要だと思うからです。
湾岸戦争の時もそうでしたが日本の資金での「貢献」は高く評価されませんでした。今回のスリランカでも北朝鮮でも「金」の量で援助の大きさが測られていますが、金での援助を有効なものとするのは「人」の参画です。遠いスウェーデン和平斡旋に対する評価に比べ、最大援助国「日本」の評価が今一つなのは残念です。
明日16日から、タイのバンコクにおいて、スリランカ政府とLTTE(反政府組織のLiberation Tigers of Tamil Eelam )との和平会談が始まります。スリランカの民族対立抗争は20年以上続いていたものですが、昨年12月から停戦状態が続いていて、本格的な和平交渉がはじまるのです。LTTEは現在スリランカ北部地域(Vavuniyaから北の地域でJaffna半島の入り口までの地域)を支配下に置いているのです。
私は先週LTTEの管轄地域を通って北部の都市ジャフナへ行ってきました。この2月から、KandyとJaffnaを結ぶA9道路が再開されており、LTTE地域を通過することが可能となっているのです。Jaffnaに行くには国内空路を利用することもできます。この空路はJaffnaとコロンボを約一時間で結んでいます。もちろんLTTE支配地域上空を飛ぶのではなくインド洋を北上するのです。
A9道路を車でコロンボからJaffnaまでいくには約400Km走ることになります。北部地域の政府支配地域とLTTE支配地域の境界にはそれぞれの検問所が置かれています。政府側の検問所を通過し、LTTE側の検問所で再チェックが行われてLTTE支配地域に入ります。そしてLTTE支配地域約100Km通過して、LTTEの検問所を通過したあと、政府側の検問所で検査が行われ、政府側支配地域(Jaffna半島)に入ることになるのです。政府側の検問で非常に厳しくチェックされました。
Jaffaの町は内戦でかなり破壊されています。私の会社の電話交換施設の建物もかなり破壊されていました。その建物は有名なJaffnaの「Fort」のすぐとなりにあるのですが、Fortに立てこもった政府軍とわが社に立てこもったLTTE軍との間の交戦により天井や壁が破壊されたのです。観光名所の五角形のFortも破壊されました。今は残った石垣と藪だけの状態で立ち入り禁止になっています。
我が社は停戦が実現した後、いち早く建物を活用して電話設備増設に着手し、先週そのオープニングを迎えることができたのです。Jaffnaの多くの家屋にはまだ電気が通っていません。家屋の修復、電気水道の整備等インフラの回復にはまだまだ長い年月が必要です。
途中通過したLTTE支配地域はJaffnaを上回るほど完璧に破壊されています。地図には町の表示がありますが、町らしい町はLTTEの本部のある「キリノッチ」くらいです。この町も旧市街は完全に破壊されていて、隣接する別な所に町が少し再建されている程度です。LTTE支配地域はほとんど復興の手がついていないのです。車窓から見える風景は、アルナダプーラとかポロナルーワの破壊された古い遺跡に酷似しています。家の土台や石柱が残っているのです。しかしここは、古代遺跡ではなく「10数年前」に破壊されたものなのです。さらに埋設された多くの地雷は撤去作業がまだ緒に着いたばかりです。和平交渉の後の復興は大変な仕事です。しかし、この復興作業が順調にすすまない限り和平は継続しないでしょう。
スリランカの女性はサリーがとても好きです。全国どこの町でも多くの女性がきているし、私の職場の女性(経理部門なので女性が多いです)のほとんどは毎日サリーを着てきます。やせている人も太っている人も、若い人もお年寄りもサリーが似合うのです。
ということで、先月妻がコロンボに来た折にサリーを一着作りました。町の服飾店で生地を買ってドライバーの紹介の仕立て屋さんで仕立ててもらいました。買った生地は、サリーの下に着るスカート用と、端っこにブラウスに仕立てる部分を含んでいるサリー生地です。仕立て屋さんではブラウスとスカートを作るためにきめ細かく妻の寸法を測っていました。妻が帰る都合もあったので3日で仕上げてもらいました。
受け取りにいったとき、せっかくだからサリーを着付けてもらいました。サリーの着付け方法には、インディアン式とキャンディアン式があるのですが、簡単そうなインディアンスタイルでした。これはコロンボで大多数の女性が着ている着方なのです。しかし異国の男性にとってはサリーをどのように着るのか皆目検討も着かなかったので、今回妻のサリー購入はサリー着付けの秘密をしる絶好の機会でした。
仕立て屋さんで着付けてもらったサリーによって、インディアンスタイルの着付け方法はだいたいわかりました。日本にサリーを持って帰った妻は着るチャンスもないでしょうから、忘れないようにデジカメでポイントと思われる箇所を写しておきました。それにしてもサリー用のブラウスは中途半端な丈でお腹で露出してしまうのはなぜなのでしょう。お腹が多少太っても着ることができるというメリットはありますが。
スリランカでは、列車・バスの便が悪い(事故が多くて危険でもあります)ので、通勤とか旅行の移動はほとんど会社から貸与されている車になります。ガソリンはリットル60円くらいですから日本の2/3くらいでしょうか。バス代は値上がりしたとはいえ最低運賃が10円くらいなので、ガソリンは割高なのです。
車での移動時間が長いので、車内で音楽カセットテープを聞くことになります。「さいたま市」の我が家には、まだCDが高価だった頃にFM放送やレンタルCDから音楽を録音したものが沢山残っているのです。廉価版CDが出始めてたり、録音が面倒になったりで、しばらくカセットテープを聞く機会はずっと減っていました。しかし、コロンボの生活が始まってかつて録音したカセットテープが再び活躍することになりました。8月下旬に妻をコロンボに招待した際にもテープを持ってきてもらいました。
FM放送からの録音はどちらかというと「演奏会の録音」(録音用ではなくて)を中心にエアチェックしていたので、とても新鮮に聞こえるのです。クラッシックのCDを持ちこんではいるもののライブ録音のものは数えるほどしかないので、そうしたものばかり聞いているとどうしても飽きが来てしまいます。
ついでに言うと、コロンボではクラシック音楽の演奏会の回数は非常にすくないのです。また、コロンボで視聴できるケーブルテレビやラジオは、まったくといっていいほどクラシック音楽を放送しません。クラシック音楽CDを捜すことはかなり困難なことです。
いよいよ9月です。コロンボはこれから乾季を迎えます。最近カラっと晴れる日が多くなりました。青空の色も青さが濃くなってきた感じがします。これから、翌年の3月くらいまで気候は安定し、スリランカの南西海岸は波が静まりスキンダイビングシーズンを迎えます。
コロンボから南70Kmくらいの「ヒッカドゥア」というところがスキンダイビングのメッカだそうです。私も何とかチャンスを作って挑戦してみたいと思っているのです。近眼の私ですが、シンガポールで度付きのゴーグルを密かに買ってきているのです。すでに10年以上続けている水泳と、昔管楽器に入れ込んでいたときに培った肺活量が活かせる(時効がきているかもしれません)のではと思っているのです。
「海」についてはもうひとつ「海つり」の趣味がありました。日本にいた時は、清水港、大阪南港、仙台港、横浜海つり公園、船橋港といったあたりの岸壁に釣りに行っていたのです。海に囲まれたスリランカで是非やってみたいと思っているのですが、釣具の調達ができないのです。今度日本に帰るときにリールや短い竿を持ち帰ろうと思っています。
2002年度はあと4ヶ月で終了。私の会社では、この秋大きなイベントが沢山あります。体力・気力を充実させてこの難題を載りきるには、自分の体力の管理、精神的安定の維持が最も大切だと勝手に考えています。そのためには余暇を有効に活用することが大変重要なのです。(都合の良い論理ですが)
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