2007年10月26日(金) |
本「おんぶにだっこ」 |
さくら ももこ 小学館 2006/10/27
丁度1年前に出た本でしたか・・ さくらももこさんのエッセイは最初の三部作以降は あまり読んでなかったのですが、常に爆笑ものだというイメージでしたが この本はそうではない、でもところどころやはり笑えるのですが。
これは大人になったらなんとななる、たいしたことではない、と思えるが 子どもの頃は、それは真剣に、重大事なことと受け止め それだけしか考えられなくなることが書かれていて そして、感性の鈍い人間、あるいはたいして問題なく大きくなった大人が 「子どもってこうだよね」と決め付けていると わからない、子どもなりの悩みや苦しみを書いている。
あとがきで、このエッセイについて「何を提供しているのかわからない」と 担当の方との会話があり、でも確かに、このエッセイは爆笑はなく、 あ〜面白かったではすまないけど、それとは違ったよさがあるのでした。
+++ 昨日まで穂村 弘さんのエッセイを読んでいて、なんとなく思い出したのは さくらももこさんのエッセイでした。 いろんなコンプレックスを持ち、自分を常に冷静に見続け あらゆる世の中の現象を流さず、こぼさずに拾い集めている。 そしてすっごく臆病なんだけど、心の中ではものすごく大胆なのだなあ〜と。
そして私も日々、頭の中でいろいろ考えているけど やはり彼らのように、こうして赤裸々に、楽しく、 他人にわかるようにはかけないので、プロってすごいな〜と思うのでした。
2007年10月24日(水) |
本「本当はちがうんだ日記」 |
穂村弘著 集英社 2005年
この人の本は最初に「現実入門」を読んだのですが なんでもないことを流さず、捉えて、返すというより ひょろひょろ流すような感じで面白かった。 そしてこの本はもっと面白い。 負のポイント、苦いエスプレッソを飲む行動の理由、ラブレターの考察など 私もよくわかるんだけど、そこまでしないしないし、流しちゃってるな〜と 思うことを惜しげもなく、きちんと、いらないほどに書いちゃってる。
硝子人間だった頃のこと、何年も通ったフィットネスジムで友人が一人もできず、密かに 「修行僧」と呼ばれていたこと。 すごく理解できるので、泣けてきました。
短歌の集まり、詩人の集まりで人種がクッキリ違う話も すごく面白いナ〜と思えました。 その前の、作家によってファンレターをくれる人の雰囲気も違うとかもね。 当たり前だろうけど、なかなかそういう話って聞けないので面白い。
感受性豊かで、自信なげな、怠惰な男性はみんなこんなじゃないかなと思うけど 実際は、ここまで自分のやってることを把握してないでしょうね。 ハチミツとパンの話などもいい例かも。やりそうだけど、実際はやらないのよね。 いや、男性はやってるのかもしれないけど。。
でも、楽しい読書なんだけど、時々出てくる恋人とのやりとり・・ キスしてたときとかそれ以上のこととか・・ちょっとねえ。 知りたくない・・てのが本音です。 結婚したらしいし、もうそういう話題はないといいなw
本当はちがうんだ日記
2007年10月17日(水) |
人間だけができることって |
笑うこと、悩むこと、そして恥を知る心
すごくおこがましい話なのですが 職場で後輩の相談に度々載ったりする。 相談を聞いていて、時々、猛烈に忌々しいと思うのですが なんとなく放りだせもせず、話を聞く。
とはいえ、 猛烈に頭にくるのは、私が至らないせいです。気ままなのです。 私も人の子、自分の思い通りに行かないとイヤなのです。 私はもともとエラそうだし、なんだか頼られる性質なので 気が付いたら、いつも相談される側なのですが 本当は短気だし、人の話を聞いてあげるのは向いていないのでした。 本職の相談室の人でもないし、カウンセラーでもないから仕方ないよね。 お金を取ってるわけでもないし・・・
ま、そんな相談者としてどうよ、な私ですが 損な役回りを引き受けてよかったな、と思えるのは やはり相談しにきていた子が成長して 以前、悩んでいたことが解消されるところを見るときです。
もっとも解消されて、すっきりしてきた人を見るのは この年になってから数人です。 きっと過去の相談者は私がもっといたらなくて 怒って終わりだった気がします。 私自身も相談に乗りながら成長してるんです。
丸2年くらい相談に乗り続けていた子が 過去の自分の発言や行動を冷静に振り返り 「あの時の自分が間違っていた。恥ずかしい」と 認めたのを聞いたときは、私も報われた気がしました。
もちろん、彼女も成長途中なので、これからも きっと私をイライラさせるし、忌々しいでしょうけど。 でも、やっぱり人間はずっと成長し続けてこそなのよね。 そうでない人は生きてるとはいえないんじゃないかな。
それに「恥ずかしい」と思う気持ちって大事よね。 過去の自分の子どもっぽさやわがままな態度を思い返して恥ずかしいと思う。 自分を客観的に振り返れている証拠ですよね。 私の周囲にはそんな「恥」の心を全く持たないツワモノが多いです。
「恥を知る心」人間と動物の違いはそこなんじゃないかと思うのですが どうでしょうか。 笑うことも、悩むこともですが・・ でも最近のペットは表情豊かで、賢いし、人間じみているので その辺の人間よりよっぽど人間ぽい気もしますが・・・ 怖いのでオワル。
蒲 松齢, 立間 祥介 (岩波少年文庫 (507)) 2000年
中国の古典ものはほとんど読んだことありませんでした。 でも以前から気になっていたのです。 そして今回、これを読んで本当に面白かったし、読みやすかったので 子どもの頃に読んでおけば・・と少し残念に思いました。
伝奇モノですし、仙人や導師、天女、幽鬼などが出てくるし 夢物語なのですが、それだけではなく今も昔も変わらない 人間の情が色濃く出ていし、親孝行、友情、愛情もあれば どんくさい人や強欲な人もいる。 これといって結末も無い話もあるのですが、そこがまたいいのです。
印象に残ったのは、やはり幽鬼と結婚する話、 人を取り殺す幽鬼をものともせず、味方につける話や 羅刹の国では美醜が逆転していたり 寅の償いや、運命に翻弄される兄弟の話などユニークでした。
でもこれらの話は、私の小さい頃に見ていたアニメや漫画にも生かされてたみたいで 天界に上って桃の実を取りにいく少年がばらばらになって落ちてくる話は 「サスケ」というアニメでもそういうエピソードがあったような。 美しい少女を操って、人間をおびき寄せる幽鬼話は「妖怪人間」にもあったな。 ほかにも全く同じでないけれど、知ってるような話がありました。
面白いものは、こうしていろんなところから入ってくるのでしょう。
蒲 松齢, 立間 祥介 / 岩波書店(2000/06) Amazonランキング:66026位 Amazonおすすめ度:
角田光代 文春文庫
今年は、久しぶりに上京を重ねる。 そして、近年はあまりしなかった移動中の読書をする。
鉄道でも移動中の読書は目に負担がかかるというので、控えていたのと 疲れていて、ぐっすり寝ていることのが多かったからだ。
新大阪の駅構内の書店で読みやすそうな小説を選ぶ。 8月は瀬尾まいこの「たまごの緒」を読みました。 家族、親子、兄弟の関係が面白かったです。 きれいではかない感じが作者さん独特でいいです。
今回のも家族がテーマ。 のっけからホテル「野猿」の話題で意表をつく。 (どうでもいいけど、ずっとヤエンだと思っていました。) 家族の間には「秘密」を作らず、仲の良い家族だけを目指した不自然な家族。 仲は悪くないので、演じているわけではないので、余計にイタイタしい。 しかも、その夢を続けさせたい母の願いがすごくむなしい。
でも、これはこのままで、なんとなくいけそうな気もする。 自分さえ真実を暴かなければ、忍耐し続ければ、 人間関係ってそんなもの。 それは家族だからこそなのだ。
肉親だからといって、なんでも言いたい放題して良いと思ってる人がたまにいる。 家族だから、血がつながっているからと、絶対にキレないと確信して 呆れるくらい依存したり、無茶・無謀を押し付ける人がいる。 泣いたり、わめいたり、関係性や力で脅して言う事きかせているだけなのですが そういう横暴な人は気付かないのですね。 ま、満足してるんだろうからいいのかもしれないけど。
自分のいう事をなんでも聞いてくれる、無理をきてくれることを 愛情のバロメーターだと思う人は、 関係性が深くなればなるほど、迷惑な存在になる。 たまに、そういう無理を聞いてあげるM的な人もいるけどね。
この家族は一見、あけすけに何でも言い合えるという関係を強調しながら その実、大事なことは何一つ語り合ってない。 実に他人行儀な家族なのでした。 でも、それでもいがみあったり、憎みあったりするよりはいいような気もします。
家族や関係が深くても、所詮、一人一人、別な人間なのだ。 程よい秘密、程よい依存というものがあるほうが、関係は長く、信頼も厚くなるってものだと私は思う。 私も肝に銘じておきます。
それにしても、この作者の本を3冊読んだけど(いずれも代表作) 私にとってのコレというヒットはない。 面白くないことはないけど、すごく面白いわけでもない。 いつ、来るか、来るかと待ったるのですが・・ それはもう合わない、ってことなのかな。
現代国語1(国語の教科書) 三省堂をチラ見
たむらしげるさんのイラストで、頁開いたら野の花の風景写真が美しい。 さらにめくると、谷川俊太郎さんの「朝のリレー」がある。 ネスカフェの宣伝に使われていたので、覚えてる方も多いのではないかしら?
今時の教科書はなんとカラフルなのでしょう。 これなら、勉強もしたくなるんじゃないかな〜?な〜んてな。多分、無理だ。
子どもの頃の私は、学校と学校ですること全てがこの世で一番嫌いだったのだから。 あ、ピアノもいやだったけど。 今思えば、本当に生き辛い子だった。よく大人になれたのだと思う。 しかもいっぱしに働いたり、ちゃんと友人もいたりする。すごいことよね。本当に。
私も、自転車の法則に巻き込まれているな〜と思う瞬間です。
この教科書にはさくらももこさんの「自転車の練習」(あのころ)からが掲載されている。 なかなか自転車に乗ろうとしないさくらさんをを友人たちのバックアップして乗れるまでを書いた話ですが 面白かったです。
この話にも出てくるのですが、自転車に乗るのに、苦労した人もいるだろうけど その苦労を明確に覚えている人は少ないと思います。
それと同じで、私が職場で、仕事しない、できない人に何度も同じことを繰り返して 注意したり、ときには怒ったりして、なんとか失敗しないように指導した果てに それが軌道にのって、時間が過ぎると、彼らはなんとその苦労の日々を忘れて 最初から出来ていたかのように振る舞いはじめるのです〜〜〜驚きます。 さらに、調子に乗って、出来てない人を糾弾し始めたりするのですから・・
これを私は自転車の法則と呼びます。 何度も転んだり、痛い目にあって、教えてもらって やっと乗れるようになったくせに、 苦労と迷惑かけたことはすっかり忘れて 「最初から乗れていたも〜ん」とかいいやがるのです。
でも、今はそれくらい今の日常を当たり前と思うくらいレベルがあがったのだから いいか、と思えます。恩を売るつもりではないしね。 まあ、自分のできなさ加減をさておき、他人を責める根性は嫌いですが。
謙虚な人が好きだ〜こんな職場にいるとどうしても思う。 ちゃんとしているのにも関わらず、決して図に乗らない。 そんな人になりたいけど。 私も自転車の法則が当てはまる時があるしな。 というか人間のほとんどがそれに当てはまるのだろうと思う。
本田 透著 三才ブックス (2005/03/12)
この本はいろんな見方、楽しみ方ができる。
オタクとして共感して読んでもいいし 知識とか思想とかを知るキッカケにしてもいい 単なるフィクションとして、 モテない、女性を持つ男性の恨みつらみとしてのエッセイとして
読む人の立場、環境によっていろいろ楽しめると思います。 もちろん、「なぁ〜にいっちゃってんの?」と終わらせることもできる。
私は、先に「喪男の哲学史」を読んだから、「電波男」は思いのたけをぶつけられた本という感じで この本の主人公は本当にひどい目にあって、三次元の女性、負け犬を許せないんだな〜と気の毒に思いました。 でも、これだけあらゆる思想家、小説家、漫画の登場人物を引用して、おもしろおかしく 「非モテ」の現象や「喪男」としての生き方を紹介できるのなら、 これだけの本を書き上げられるのだから、この作家さん自体は「モテない」わけないのではないかと思う。 そうすると、完全なフィクションなので、改めてすごい想像力なんだわ。ということになる。 いやいや、哲学史で語られたように、ブッダや手塚治虫先生のように、モテから逃げたのかもしれませんけど。
独身男性のモテない叫びに、仕方なく負け犬になった私が、「あ〜面白かったと」読んで終わらせてもいい。 そういう本です。
ですが、この本をこのまま読んで疑問を全く感じない人がいたら、もう少し考えて欲しい。
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DQNになびくような女性やリッチな負け犬という狭い範囲の女性ばかりを敵視して、その他大勢の女性は蚊帳の外なのね。 確かに、女性は外見、財力になびきやすいかもしれない。 でも、それには仕方ない理由があると思う。
女性の賞味期限を決めているのは、他ならない男性社会ということを忘れてはならないと思う。 そして女性が一人で子どもを産み、育てることの困難さも男性が作ってきた社会ならでは。 女の一生は選んだ男で決まる、そしてそれは博打と一緒。 結婚して姓が変わり、仕事しづらくなってしまう、人生が大きく変わるのは女性の側だけなのです。 能力も容姿も秀でてないと、生き辛い社会を作って来たのも結局は男性なんですよね。 それはまだ今も変わらないで続いているわけです。
動物社会ならメスが、美しく能力のあるオスを選んでいましたし、ハーレムを築く動物もいるわけです。 人間は、それぞれの男性に女性を行き渡らせるような社会にしてみたものの それは、女性から徹底的に力を奪っていたから出来ていたことでした。
弱肉強食な、お金がないと生きていけない、弱いものが楽しめない世の中で 自分の子どもには幸せになってもらいたいと、ごく当たり前の願いを叶えるためには どんな男性と結婚したほうがより安全か、と打算というより、当たり前のことを計算したらどうなるか。 計算するな!といってもそれは無理です。愛だけではおなかがすくのですから。
そして恐ろしいことに、愛はいつか冷めるものなのです。 容姿や財力にこだわらず、心が通じ合うからと結ばれても、心はいつか変わるんです。ついでに容貌も衰えますしね。(稀に変わらない人もいます) ないない尽くしで、心をよりどころにして、放りだされたらすっごく惨めだと思うんです。 その時にはものすごく年取ってるわけでしょうし。
それに、容貌にこだわることをはじめたのは、男性のほうが先だと思います。 不美人への差別を知らないとはいわせません。 だから女性はより美しくなるように化粧したり、整形とかしたのだと思います。 ようするに、選別される苦しみは、オタクとかキモメンたちだけではないのです。
女性ははるか昔から常に選別され、差別されてきたのです。 適齢期を過ぎて、結婚してない女性に、その友人の男性が 「美人の年増とブサイクの若い子なら、若い子を男を選ぶ」と断言された女性を知っています。 「男は年をとっても、お金さえあれば結婚できるけど、女は年取ったら無理だから」と私自身も言われました。 その男性たちは特別DQNではありません。いいにくい真実を親切に教えてくれた心ある男性です。
晩婚、少子化、未婚者多数・・ 女性が選ぶ世の中になって、絶対に結婚できる社会でなくなってきたから こんな問題が出てきたのだと思います。 女性だって、選びすぎて、結婚できなくなるわけです。
まだ完全な平等とはいえないけど、平等社会になってきたから故の悩みなのでしょう。
喪男よ、キモメンよ、モテないのは、生き辛いのはあなたたちだけではないのです。
この本を読んで共感して、アンチテーゼの浮かばない人は 「恋愛なんてやめておけ」 松田道雄著 朝日文庫 読むといいと思います。 それから、喪男が敵視する女性もいるけど、いろんな女性の悩みが登場する 「光をあなたに : 美輪明宏の心麗相談」美輪明宏 メディアファクトリーも読むといいと思います。 「不美人論 」藤野美奈子 西 研 著 径書房は容貌で苦しむ女性たちが登場します。 結局、モテない人の悩みは共通です。
でも、ありのままの私を受け止めてくれ!私に合わせろ!と言い張っている人よりも なんとか可愛くしよう、見せよう、相手の好きなことはなんだろうと努力する人のほうがつまり相手に合わせる能力、協調性があると思えますので、 私はそういう人になりたいし、そういう人と一緒にいたいです。
でも、本当にそんな人って滅多にいないわけで、だから恐ろしくて結婚なんかに踏み切れないでいるのが実情です。 滅多にどころか、ほぼいない。自分の周囲をよく見回してみてください。家族・友人ですらいない。 私自身もできているかどうか・・・
つまり、恋愛、結婚は決して楽なことではないのです。 そこを勘違いしてはいけない。
「喪男の哲学史」の感想 http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/day?id=84814&pg=20070729
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