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年忘れポッチャリ図鑑
パリッコ
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2005年03月04日(金)
ビールと長春巻

今から2〜3年前、僕は大久保と新宿の間位にある会社で働いていました。
そこの近所に靖国通り沿いじゃない方のドン・キホーテがあり、
屋台風の酒飲み処が併設されておりまして、僕はそこの店が大好きで、
在職中は尋常じゃ無いペースで通いつめておりました。

当時会社での僕の状況は激流のごとく移り変わっている最中で、
その荒波に飲まれた僕は、来る日も来る日も現在の約30倍の速度で、
平均して23時位までは仕事をこなしていました。
しかしその会社には奇跡としか言いようの無い程酒好きが集まっていて、
大体20時を超えた辺りで、誰かしらの口から
「酒、飲みてぇ」
という由の発言があり、そうするともう一気に皆
「仕事終わったら酒」モードに突入し、仕事の速度を現在の
約45倍程度にまで早め、終わった者からこの屋台に飛び込むという
日程を週に4〜5回はくり返していました。
疲れているのでさっさと帰って休めばいいのに、
忙しければ忙しい程酒の量も増え、
特に同様の状況下にあった当時の同僚SSKさん(伏せ字)等とは、
僕の人生の中でも記録とも言える程にここに通いつめ、
日々鬱々と会社の問題点を不毛に論じ合い、
一番辛い時期を乗り越えたものでした。

料理の方はというと点心系が中心で、小龍包、海老餃子、焼売、辛いスープ等
どれも滋味に富み、その雰囲気と値段の安さも相まって
当時はそこで一杯目のビールを飲む瞬間が、人生で一番幸せな瞬間でした。
なかんずくそこには長春巻というメニューがあり、
それが破滅的と言うか、刹那的と言うか、とにかく食べる度に、
生まれてから今まで食べた物の中で一番うまい!と心底思える逸品でした。
春巻きの皮に具(ほぼ海老)を約25cm程の棒状に包んで揚げてあり、
革のカリカリ感と海老のプリプリ感、全体の香ばしさ、
そして正油、ラー油、黒酢、隠し味の砂糖を自分的ベストに配合した、
タレとのハーモニーは思い浮かべるだけで顔がニヤけたものでした。

あまりに毎日のように通う為、お店の人(みんな外人)にも
すっかり顔を覚えられ、色々とサービスもしてもらったし、
最後には僕らが「セット」と頼むと(そんな物はメニューにはないのに)
ビールと長春巻をワンセットで出すことを心得てくれたり、
そこで飲んでたら韓国人に¥5,000もらったり、
会社の残りのお歳暮を持って行ってスイカを出してもらったり、
食い終わった鍋に向いのコンビニでうどん玉を買って来て投入等の
やりたい放題を黙認してもらったりと、
語り出したら思い出は尽きないのですが、
最近は僕も仕事が変わった事もあり、長い事足が遠のいていました。

先日、近々そこで久々に飲もう等と当時のメンバーと
話していた所だったのですが、
なんと願い空しく2月末に閉店してしまったそうです。
飲食店なので閉店に関して僕がどうこうすると言う事が出来ないのは
言わずもがなですが寂しい限りだなぁ、と思います。
もうあすこの料理も雰囲気も楽しめないというのは
人生の痛手以外の何物でも無く、
個人的思い入れも加えると自分内最上位に位置する店だった為、
悔やんでも悔やみ切れずこうして長文等書いている次第です。

今僕が絶対潰れて欲しく無いと思う店は、あすことかあすことか、
けっこうあるけど、やっぱりここには無くなって欲しく無かったです。
人生って残酷。

そうそう、その屋台はお会計を大幅に間違えているに違い無い料金だったことも
けっこうあり、3〜4時間飲みに飲んで1人500円、とか、
当時は嬉しいハプニング位に感じていたのですが
ちゃんと確認した方がよかったかなぁ。
それが原因だったりしてね。