恋文
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いっしん いったい と 繰り返し
いったい どこに たどり着くだろう
夢に どどまる
朝の時間
ひかりに 融けて
消えてしまおうか
わたしを 忘れない
わたしを 削る
わずかに 静かに
かたちの 変わらないうちに
戻りたい
ここは どうして こんなに 風が吹くのだろう
歩みを とどめるように
戻りたい 場所ではなく
戻したい 時かもしれない
戻ったとしても 戻したとしても
変わるだろうか
風は強くて
歩みを 押し戻してくる
でも まだ 前へと
進まないわけには ゆかないではないか
徐々に 疲弊してゆく
ひとりの夜
ひとりの音を 聞いている
雨のなかに 吐息が 溶けて
からだも 薄くなる
車通りが 波の音のように 聞こえてくる
雨は 霧のように 舞っていて
夜は 海に通じている
一歩の前に
世界の 英雄たちに
一礼をする
空が 黒雲に覆われていても
子供たちの声が 響いている
空は青くて そのくせ 風は強い
いつしか 汗ばむ
夜は 遠くの 音とともに 凍る
不思議な 平穏な夜
どこにも 今もまだ
生活も 続いているなんて
押し戻されそうな 強い風のなか
歩き始める
夕方の空は 濃い灰色に曇る
遠い昔のような
暗い街角
風のなかに 立つ
空は曇る
不確かに 静かだ
ただただ ひかりが 溢れているので
それが しあわせなのだと
遠くの 山並みを みつめている
神社の森は 広がっていたらしい
子供たちが 遊ぶ傍らに
大きな銀杏の木
注連縄も 解けたまま
こんな 揺れなんて
いいのよ
わたしは
わたしのまま
自問する
いつもの 一日のあいだ
そうやって また 生きてゆく
どこも 知らない街なら
わたしは どこに 根ざすだろう
風のなか まっすぐ 歩く ひとりの人になる
ゆきみぞれ 濡れて 歩く
一日の はじまり
三月の桜は まだ 眠っている
目覚めを 待ちながら 通り過ぎる
目覚めの そのまま
携えて ゆこう
街のなかにも
たゆたう
からだの 組成が かわってゆく のかも しれない
音楽のなかに ただよっている
同じ時間に しばらく
長い夢を 見ている
目覚めを 待っているあいだ
まだ 始まらない
一日
まだ 眠りのなか だろうか
現実と 交じり合う
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