恋文
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2010年04月30日(金) 綿毛にように

部屋のなかにも
綿毛が
ただよっている

どこにいても
夢のなかに
いられる


2010年04月29日(木) 隙間から

少しばかり
欠落する

その隙間から
行き来する

あちらも
こちらも


2010年04月28日(水) 刹那

どのことも
みんな刹那だと
思えば

声にだす
ことばも
宙に消えてゆく


2010年04月27日(火) 午後

現実と
どこかで
交錯する

どこか
違うところを
夢見ている

暖かい午後


2010年04月26日(月)

みどりの
漣が広がる

風の通ってゆくあいだ

ひかりも
ついてゆく


2010年04月25日(日) もしも

いろんな もしも
いつも
せめぎあって

行き場のない
もしも は

無言のまま
うずくまる


2010年04月24日(土) みどり

綿毛がただよう
みどりの
小道

風が運んでくる
かおりも
みどり


2010年04月23日(金)

翳ってゆく
なかに
溶け込んで

ひとつの
ただの
形になって

もうすぐ
消えてしまおう


2010年04月22日(木)

悲しい夢から
逃れる

ぼんやりと
差し込んでくる
朝の光


2010年04月21日(水) 青空

過ぎてゆく
この春のなかの
ただの一日

並んで歩く
影もない
青い空


2010年04月20日(火)

雨のなか
駆け抜ける

まだ
雨のなか


2010年04月19日(月) 姿

いろいろな
姿に映る
わたし自身は

それでも
ひとつなのだと

風の中に
ゆれる


2010年04月18日(日)

どんなにか
かすかな音をたてて
花は
散ってゆくのだろう

聞こえるのは
鳥の声ばかり


2010年04月17日(土) いっしょに

かたちは
きっと変わるもの

混沌のなかにいて

わたしを
抱いている
いつも


2010年04月16日(金) ひとり

誰にも
聞こえないように
息をする

ひとりで
わたしに
なっている


2010年04月15日(木) 揺れる

揺れる
わたしは
いつも
風のなかにいる

鉄路では
草が刈られている
青い匂いが
満ちて

わたしを
染めてゆく
苦い匂いのなかで

揺れている


2010年04月14日(水) 永遠

無限ではない
あいだに

延々と 
繰り返す

一日という
永遠


2010年04月13日(火) これも 春

木蓮の炎
立ち上がる

空は また
暗くなり

風が また
ぶつかって来る


2010年04月12日(月) 言葉

残された言葉を
探ってみる

ずっと
凍り付いて
いたような


2010年04月11日(日) 夕日雨

夕日のなか
突然の雨は
光のしずくを
つなげて


2010年04月09日(金) わずか

一日と
いっしょに
変わる

わずかなこと


2010年04月08日(木) 時間

置き去りにされるような
ちょっとした
不安

時間はすぎてゆく


2010年04月07日(水) 昼下がり

昼下がり
村は ひっそりとして
牧草が
風にゆれるばかり

山羊の親子が
啼きながら
寄ってくる

陽射しが
ふっくらとしている


2010年04月06日(火)

緑のあいだ
光のした

目を細めながら
歩く
昼下がり


2010年04月05日(月) 空に

連翹が
まっすぐ
枝を伸ばす

空に
近づくように


2010年04月04日(日) 聞く

いつもの
わたしに戻った

今朝の雨は
大きな音がして
怖かった

怖いものは
どこにでもある

震えるほかに
聞いている


2010年04月03日(土) 毛布

ベッドに
毛布が
横たわっている

よじれて
ねじれて

いじけた
わたしの抜け殻

ぺちゃんこに
なってしまって


2010年04月02日(金) いまは

わたしの
時間になる

まだ いま

まどろみの
ように


2010年04月01日(木)

風のなか
花が
かすんでいる


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