恋文
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風のなか 歩いてゆく
光も影も 揺れている
途切れ途切れの 鳥たちの声
少しづつ 灰色に変わる 空の模様
太陽は 真ん中で 白かった
目の前に 道は まだ 真っ直ぐ
少し まぶしかった
逃げるように 去ってゆく
その先は 知らない
窓のそと 移り変わる風景は まだ 遠い
だからといって 他に 行くところが あるだろうか
雨音もない
濡れて そのまま 歩こう
もうすぐ 辿りつく 向こうまで
石畳は いつもの硬さ
足元に 帰ってくる
わたしは いつまで いつもで いられるだろうか
足元は いつものように 感じている
雪が消えて 緑が見える
わたしが 消えて
緑に なりますように
少し 髪が伸びた あかいシュシュで くるんと 結んだ
ずっと 放っていた 髪の根元で 引っ張られる
まだ お団子のような かたち
簡単に 終わる一日
まだ知らない 次の一日
夜の始まり ひんやりとする
倒れないように 支える 一歩
そうして また 一歩
一歩一歩が おぼつかない
濡れて 滑って まだ 続いている
その道を 歩いている
向こうまで
少しづつ 明るくなる
雪の残った 屋根が光る
まだ重い 川の流れの向こう
いつまでも 埋まらないものも そのまま 連れてゆく 長い道のり
風花が舞う 木立のあいだを 鳥たちが 啼き交わす
空は 手が届きそうに 近い
なにもかも 混じってしまえばいい
まだらの街に
ふわり 眠りたい わたしだけれど
まだ 続いている 騒ぎを
遠くに 聞いている
ぽつんぽつんと 足跡を残し
ぽつんぽつんと 歩いてゆく
まだ明けない 空のした
雪が ほんのり白い
呼び合う雪 交じりあう
夜と昼のあいだ
木々には 満開の花
そうして 風に散って
流れてゆく
なにもない 一日が終わる
どこかに 繋がるだろうか
窓の外 音もなく 濡れている
わたしが ここに 入り ここから 出る
そのたびに 揺れるのは わずかな時間
ラジオは ときどき 雑音になる
あなたは どこに 隠れているのでしょう
足跡を たどってみても ぷつんと 切れてしまいました
また この場所で 待っています きっと 現れてくれるでしょう
手に跳ね返る 水の音がする
外から かすかに 鐘の音が 聞こえてくる
かちん と 食器が触れた
ふりかえれば なんだ ちゃんと つながっている
わたしの すがた
少し 離れてみよう
同じ時間も 違った姿
雪が残ったまま 凍るよ
枝だけの木々が 立ち並ぶね
遠くに 白い山肌が見える
まだまだ 進まなくちゃ
とどかない 手も 声も
探ろうにも 夜は 深い
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