恋文
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2009年09月30日(水) 行けない

どこか
行ってしまいたい

そのときに
ここには

わたしが
影のように

座っているだろう


2009年09月29日(火) 夕暮れ

宙ぶらりんに
浮かんでいる
みたいな
一日がおわる

もう沈んでゆく
夕日が
まぶしい


2009年09月28日(月) 変わる

見慣れた
窓の外の風景も

ゆっくりと
変わってゆく

何も
とどまっていない


2009年09月27日(日) まだ 何度でも

帰ってきても
おなじ

幾たびでも
まだ

続けること


2009年09月25日(金) 金木犀

ふと
金木犀のかおりが
したように
おもった

忘れてはいない

日本では
もう 
香っているだろうか


2009年09月24日(木)

声のとどかない
彼方に
耳をすましてみる

待っている声は
聞こえない


2009年09月23日(水) 始まり

曇り空のした
歩き始める

きょうが
始まれば

やがて
晴れるかもしれない


2009年09月22日(火) 夕刻

まだ こんなに
明るかったんだ

ひかりで
けむるような
丘の上の木々

帰りみちも
光っている


2009年09月21日(月) すすき

切り取ってきたのは
幾本かの すすき

風のわたる
野原を
思っている


2009年09月20日(日) 夏が終わって

野ばらの 実が
まあるく 赤い

野あざみの 種も
もう 散ってしまった

ちいさな 花たち
また こんどね

まだ 明るい空
緑は いっぱい

だけど また
今度ね

また 会えるね


2009年09月19日(土) 花の町

花の町を
歩いています

なにも
思い煩わなくても
いいのです

穏かな
ときが流れます


2009年09月17日(木) 猫の花

木に 登った

枝の 葉っぱのなか
黒い

猫の 花

夕方 昏い
空の下

雨のあと

ばさりと
揺れる


2009年09月16日(水) 夜中

夜は
まだ 深い

手探りで
すすむ

肌が
ひんやりする


2009年09月15日(火) 疎ましい

なにもかも
疎ましくなって
黙りこむ

自分の姿を
思えば また
疎ましい


2009年09月14日(月)

丘の上には
灰色の雲
ぼんやりと霞む

湿った地面に
ぽつりぽつりと
赤い実が
落ちている

ひんやりと
朝の風


2009年09月13日(日) 生きていれば

生きていれば
辛いことも
悲しいこともある

生きていれば
嫌なことにあい
誰も信じられないかもしれない

生きていれば
でも
楽しいこともあり
沢山の出会いがある

生きていれば
あなたに 
逢える


2009年09月11日(金) バランス

わたしたちが
立っている

右を見て 左を見て
上を見て 下を見て

そうでなくては
倒れてしまう


2009年09月10日(木) おやすみなさい

闇が
ひんやりと
ふれる

まるくなって
ひそんでいよう

あしたが
やってくるまで


2009年09月09日(水) 午後

誰もいない
階段を降りる

明るい 窓の外

取り残されてしまったような
午後








2009年09月08日(火)

帰り道も
わからないほど

遠くに
きてしまったにちがいない

見知らぬ道が
ずっと
続いている


2009年09月07日(月) 水溜り

影のなかに
残っている
ちいさな 
水溜り

ぽつんと
枯葉が
浮かんでいる


2009年09月06日(日) 夕日

窓が
金色にひかる

鉢植えの
花も
金色に透けて

今日は
終わるけれど

明日が
また やってくる


2009年09月05日(土) いい

みんな いいよ
と 言いたい

移り変わる どのときが
いいのか
知らない

まぶしい 光が
いま
落ちていった

残ったひかりが
ふんわり包む

いまが きっと
いい


2009年09月04日(金)

窓をたたくのは
雨の音
風の音

遠ざかったあとに
残っているのは
時計の音


2009年09月03日(木) 綿毛の雨

音もなく
降る雨は

雨のようでなく

綿毛が
散っているように

風に漂っている


2009年09月02日(水) 沈黙

沈黙のあいだに
置き去りになる

雨の降りそうな
午後


2009年09月01日(火) 夜の雨

夜になって

さらさらと
雨が 降りはじめた

窓の外は
草むらの
匂いがする


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