恋文
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見えない未来に つながるために
今を見ている
たくさん たくさん の
水 いじょうに 流れてゆく と
思うのは わたしの きもち
そろそろと 踏み出す一歩を 見守っていよう
誰のものでもない あなたの歩み
なにも とどまらない のだと
川は音をたてて ゆき
揺れる枝から 葉が おちていった
地図のない道を 歩いているのだから
まだ見えない 分かれ道で どっちに行くのか 考えるのは よそう
いずれ 立ち止まり 向こうを 見るだろう
いつのまにか 雨だったのだ
舗道全部が 影になって いるみたい
いつもの 道をたどる
ラジオだけが 喋っている
いつか 夜になる
見失うまいと あがくほどに
見えなくなる
そこにいるのは 影法師
自分も 空といっしょの色みたい
ぽつんと 雨がおちてきた
一日は いつだって ちゃんと 終わる
ずっと ずっと 見つめていなくても
木立のなかを 歩いてゆこう
光も 影も ひとつの模様
毎日 気づかないほど 変わってゆくのも
ある日 突然 変わってしまうのも
同じ 川の営み
やめない限りは 続けてゆける
終わらなければ 続いている
目覚めても
夜中なのか 朝なのか
わからない
雨のおとなのか 風のおとなのか
聞こえるものが 夢なのかもしれない
覚めようか 眠ろうか
どっちでもない あいだ
赤い実が こぼれていた 舗道
もう 黒い 影のように なってしまった
落ち葉が おおいかくす
終わってはいない 始まってすらない
考えは どこにも たどりつかない
重い雲の 空の下
渦のなかに とどまっていても
もう 行ってしまった
時は ひとりで すぎてゆく
誰も 残されない
わたしたち 連れ去られて ゆく
カーテンを あけても 昏い空
そろそろと 歩みだす いちにちの はじまり
なんどでも
霧が 薄れていった
いっしょに 夏も 去っていった
行ったり来たり どこかにも 進んでゆかない
それでも どこかに 帰ってこれるのなら
また 始めようか
夜中に目覚めて どこか 違うところに いるわけではない
寝返ると 昼間のかおりが 残っている
川面に いくつもの泡が生まれて 流れるままに 消えてしまう
一日に ふと 思うことも 出来事も 泡つぶに似て
雨を 集めて 川は 険しかった
音は ざわざわと 岩に しろく 波が くだける
空から 少し 陽が さして
ちょっと やわらかく なった
濡れてしまっても いいの
少しづつ くらくなってゆく 枝の葉や 地面と いっしょに
染まって しまおう
慣れてゆく
光と影の あいだで
目をしばたたかせて
幾度も 目覚める 明けない夜
まだ ここに このままいる
どこにも いかない
空と 川は 同じ色に 染まって
町も いっしょに くすんでいる
記憶も おんなじ
壁ぎわと 窓ぎわから 影になってゆく
夜の訪れと いっしょに
思い出も 影になって
わたしも 影のなかに はいる
終わってゆく だけではないのだが
残されて たたずんでいる みたい
なにかが 始まることが あるのだろうか
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