恋文
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あんまり まっすぐ ひかりが はいってくるから
くるくる シャッターを おろした
もれてくる ひかり
うみの底から 見ているみたい
みちは とじている
どこにも たどりつけない よるが やってきて
あさを まっている
本を 閉じるように
夢から 覚めるように
ふと 違う世界に 帰れるのかしら
はや足で あるいても
そこには わたしが いるばかり
さっき 水晶のように 降っていた 雨が あがって
なにもかもが 光っている
雨がふった ざわざわ ふった
海辺に いるように 聴いている
ひとつ ひとつ 終える
いつか どこにでも
ゆける
どこかで 見た 絵のように
雨が 霧のように ただよって
足元に 目をおとしながら 歩いている
朝の 小道には 赤い実が たくさん
ふつふつ 踏んでゆくに
踏まれたら 痛かろうか
もうすぐ 雨になる
空を 待っている
そこに 歩いてゆこう
雨が 打ってくれる
夕暮れが 空を 横切っていった
もう なんにも 残らなかった
もう 覚めないで いよう
わずかな ひかりが とどいたら
目をとじて
少しづつ なくなって いっていい
いつか いなくなるのだから
だれにも 気づかれないように
ちいさく なる
ここではない 街に 雨がふる
わたしが 歩いている
ここにも 雨がふって
ようやく ひかりが はいってくる
よこたわったまま
おもいだす ことだけ おもいだして いる
くるまって しまう
なかに わたししか いない
おもいだしている のは
じっと だきあっていた
そのときの ぬくもり
ここまで 追ってきたのね
わたしが とどまらなかったから
ずっと 覚めない 夢をみる
あのとき 海のなか ただよっていた みたい
雨をつれてくる 空が さらに 夜に なって
その片隅で
あなただけを 知っている
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