恋文
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2003年06月29日(日) 夏の夜

寝返りのたびに
重く湿っているわたし

手をやる首筋に
纏いつく髪に

胸をすべり
お腹の上にのせた手に

もう
朝が近い



2003年06月28日(土) 愛撫

ずっと忘れている
静かに
ひそかに
受ける愛撫

自分の指を
そっと
肌にすべらせてみる


2003年06月25日(水) 隔たる

穏やかな昼下がりに
わたしは世界から隔たっている

風はいつものように過ぎて
葉擦れの音も 揺れる影も
あたりまえのように感じるのに

人々はいつものように会話をしていて
誰もかわらないのに


2003年06月24日(火) 誰も知らない

声が震えてしまう
あぁ、細い声でわたしはうなづく
こうして生きていくために
わたしはありったけの勇気がいるんだ
こんな些細な瞬間に

誰もが気にも留めてないだろう
ただの日常のこと



2003年06月23日(月) わたしの場所

わたしって
ここにいるけれど

わたしって
どこにいたらいいの?

わたし
ここにいていいの?

わたしの場所って
どこなのかしら


2003年06月22日(日) なんでもない

なんでもないよ、と
言いつづけていたら
もう、後戻りはできなくなった

なんでもないこと
ないのに


2003年06月21日(土)

とても疲れちゃった

まだ何重もの壁が立ち塞がっていて

もう壁なんてどうでもいいから

まんまるく眠ってしまいたいよ


2003年06月20日(金) 静かに

どんなことにも煩わされず
なにに囚われるのでもなく
ただ静かに生きていければいいのに


2003年06月19日(木) 風が吹くと

こんなに風が吹く
枝はたわむ
花もいっしょに
葉っぱもいっしょに

それなのに
花びらは散ってゆく
葉はちぎれてゆく

みんな同じところにはいられないんだ


2003年06月18日(水) かたち

かたちは
見る人の心持でかわるのだろうか

見えかけたと思えば
見失ってしまう

次に見えるときには
もう以前のかたちではない

まだはっきりとは見えないかたちを
ひりひりと待っている


2003年06月17日(火) 歩く

あぁ、今日も終ってしまう
少しでも前に進めたかな
なんだか頼りないけれど
もつれそうな足取りで
まだ歩いている


2003年06月16日(月) 時が過ぎて

足跡など、なくても良かったのだし
記憶は色褪せてしまえばいい

そこにあったはずの思いでも
日に焼け
雨に濡れ
風に引きちぎられて
いつか、もとの姿すら留めないだろう

誰が嘆くのだろうか
ただ時が経っただけなのに


2003年06月15日(日) 生きること

うまくいくとは限らない
いつもうまくいかないかもしれない
うまくいくことなんかないかもしれない

でも、生きて行くしかない


2003年06月14日(土) 一息

まず一息をつくこと
心を静めること

それが簡単じゃないときがあるけれど


2003年06月13日(金) ひとりで

真っ暗な夜のなか
周りはみんな壁のように
ひとりでいる

床に額を押し付けると
ひんやりと冷たい

このままじっと動かないで
床の固さを確かめている


2003年06月12日(木) 倒れる

足元がおぼつかない
階段を降りていても
足を踏み外しそうな予感がする

地面は確かな固さをもっているのだろうか

倒れている自分が見えるようだ
それはそれで
きっと心地よいのかもしれない


2003年06月11日(水) 木陰

木の枝や葉が
シェードに陰を描いている
風が通り過ぎる
昼下がりは静かに過ぎてゆく

ずっとこんなに穏やかならいいのに
ずっとこんな心持でいよう


2003年06月10日(火) 誰れか

わたしを、かわいいとか
言ってくれたら
きっと、ついていってしまうだろう

わたしは固くなってて
なんだか、わたしじゃないのよ

わたしを、かわいいと言ってくれる人がいたら
きっと、わたしのことを想ってくれるよね

だから、抱いてくださいな

わたし
夢を見れるかしら


2003年06月09日(月) 夜の底

夜の底を
なぞってみよう
暖かい手のひらで

草地のように
湿ってざらついている
ここなのに

ふたり並んで眠ってみよう
手をとりあって


2003年06月08日(日) つながるの?

少し開いた窓から見えるのは
ただの空のかけら

かけらを集めよう
想いだけは空に飛ばそう
きっと、かけらをひろってくるように

いつ戻ってくるのかしら
かけらは、ずっとかけらのままなのに
本当につながるなんて
誰が信じるのだろう



2003年06月07日(土) まどろむ

風に葉が重なり
光は瞬くように透ってくる
この木の下で

ここでもない
残してきたところでもない
どこかを夢見ながら
まどろむだろう


2003年06月06日(金) 齟齬

始まると終らない
いつまでも

こんなはずではなかったのに

始まりの始まりが
なぜできたのか


2003年06月05日(木) リボンのお店

リボンばかりを売お店がある
毎日、通り過ぎるトラムの窓から見ている

いつでも行けるのに
いつまでも行けない




2003年06月04日(水) まるまって

くるりとまるまって
ちいさくなって
すみのかげにいよう

きづいてね
きづかないでね

ちゃんと
また
でていくのよ

きづかないでね
きづいてね


2003年06月03日(火)

真っ直ぐ自分を見ることができない
窓に映っている顔は
前を見たくないからだ

外の風景とぼやけてしまって
なんだか表情もなくなってしまった


2003年06月02日(月) 探し物

昼下がりの街は
光が溢れて
不思議なほど静か

誰もが自分のことを知っているんだろう
そうして、自分の生活を静かに送っている

わたしは、まだ探している


2003年06月01日(日)

取り戻してみよう
きっと思ったより簡単かもしれない

あなたも、わたしも
違った道を歩むのだけれど

自分の道を
自分の手の中に


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