恋文
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これが、わたしの選んできた道 出会いも別れも みんなわたしの道
あなたが歩む道 わたしの大切な人達が
きれいなリボンがたくさん絡まるように みんなの道が縺れて 一緒になって 結び目になったり 寄り添ったり 交わって
ちゃんと、わたしも歩んでいる
黒く沈んだ木々の上には 群青色に暮れてゆく空 まだ遠くに夕日の朱色が残っている
昼間の暖かさが不思議なほどに肌寒い
こんなときに ふと思い出される あの頃
雨があがって ライラックの色が滲んでいる 若葉の色も滲んでいる
みんな、春の中
去年 わたしが歩いたように
ライラックも スノードロップも 雨のなか
みんな やわらか
泣いてもいいかしら
窓に映る自分の姿が まるで自分じゃないみたいだけど
窓に額を当てると やっぱり冷たいと感じるわたしがいる
どこにいる時でも そんなところは変らないのね
今のわたしは あなたに出会ったからあるのね きっと あなたに会わなかったら わたしは一歩も踏み出していなかった あなたに導かれて わたしになった
あの短かったあいだに わたしたちは そんなにも長い時間を生きてしまったような気がする あなたとの間にあったこと 忘れられないこと そんなことは みんな わたしのなかにある
この空も見慣れてきた 若葉の木々が夕暮れに沈んでゆく 鳥の囀りも、だんだんと静かになってゆく
どこからか子供の声が聞こえる もう家に帰るのだろう
今日も一日が終わる
雨が降り 風が吹く
日が照り 風が吹く
雲が流れている
時も流れる
委ねていようか このまま
こんな明るい光 緑はやわらかで 花は静かに佇んでいる
もとに戻ること 失われそうになったものが また、いつものようにあること
躓いていたことが やっと、いつもの姿に戻った
それが嬉しい
どこにでも春 あなたがいたところ わたしの、この場所に
いま やっぱり 春はあるのね
あぁ あなたと一緒の
春
夕方だけれど まだ明るい空に 飛行機の飛ぶ音が震える 木々の枝がたわむ
ここから どこに行くのだろうか
わたしは ここにいる
もう待つことはないんだ
水が流れるのと同じに わたしも流れてゆく あの懐かしい淀みは もう遠くなってしまった
そうして たくさんの葉っぱがたゆたうなか わたしも また 今の淀みに片寄せる
ずっとずっと 気持ちをからっぽにしよう
なんにもなくなったら なにがあるの?
きっと わたしだけがあって
それから みんなを待っている
刷毛でなぞったように 雲のあわいに光がぼやけていく この夕暮れ
また一日がおわる なんにもおこらなかったかのように
でも、少しわたしは進むことができただろうか
ここにないもの どこにもないもの
どかにあるものが ここにないのなら
それは、やっぱり どこにもないものなんだ
雪の花が融けてしまうと また、花は春にもどる
まるで何も変わらなかったかのように 咲いている草花
こんな花のようになりたい
白い花が一面に咲くように 木々は雪に被われてしまった
同じ季節に 花は咲きつづけていたのに
一日は静かに過ぎる 街角では今日も楽器を演奏している人達がいる トラムは擦れ合わないのが不思議なようにすれ違う
まだ少し居心地の悪いわたしがいるけれど
なにも色褪せないだろう みんな、わたしの中にある
少しずつ変化するのは わたしの気持ちかもしれない
ときどき足元が頼りない気がする この脚の下にあるもの これが現実なのか よろめくように 足取りが覚束ない
2003年04月05日(土) |
今まで、そして、これから |
遠くなってしまったね でも、ちゃんと反芻をするように思い出す あなたと過ごした時間 限られていた、その時間
あなたの温もりが 別れた瞬間から冷めてゆくのに でも、思いは逆に高まったのだった
こんなにも遠くなってしまって もう、これでよかったと思う そんなにも続けることはできなかったのだから
ずっとわたしの思い出のなかに閉じ込めておこう あなたのこと
いつのまにか忘れ去られる前に 今、言うよ ありがとう、今まで
でも、これからも あなたは、わたしの中にいるし きっと、あなたも、わたしのことを思っていてね
風が冷たくなった やわらかな緑が揺れている
花は散る まだ鮮やかなまま
美しい季節のさなかに
今日一日 雨が降ったり 晴れたり 霙になったり
まるで わたしのこころのように
ひとりではないということ 手をさしのべてくれる人がいるということ こんなにも わたしは支えられている
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