戯言、もしくは、悪あがき。
散る散るミチル
ミチルは果てた
充電切れたら
今夜も寝逃げ

2006年03月22日(水) 空へ放る


わたくしのこころをおさめた
ちいさな箱を
きつく縫い閉じて
空へ放りました

まぶたがちりちりと
焦げては鳴って
みえるせかいの
路線図をかきました

とおくはないむかし
ひとつの戦があり
終わらせるそぶりで
エネルギーは
渦を巻いて それを
閉じ込めたので
外へ行かれなくなった
声と声は
膨らみ互いを潰してははじけ
混ざって
まっくろになりました

夜です

いつか
夜のために詩を書いた
夜に息づくしろいひかりのために
見えないこまかな星々のために
放たれた痛みと
隠されていた傷のために
夜中 立ちはだかっていた
まったいらな背中のために
わたくしのたたかいは
もう行くあてを失って
上へ上へと昇ってゆき
朝にさらされて
硬く縮こまった
鉱石となって落ちました
あさなぎのうみに
ひとすじのしぶきを上げて

わたくしのこころをおさめた
ちいさな箱です
なかから呼吸がきこえます
だれか旅に出て
わたくしは縫い目をひとつ
だれか旅に出て
わたくしは縫い目をひとつ
きつくして
点と点とのあいだを
ほそい糸でむすんで
路線図でした
指のはらでたどって
みえるせかいの地平線に
やがて消えていく
まっさらな空があり
わたくしはわたくしの
呼吸をききました

夜です
だれも
目覚めてゆきます
わたくしは箱を
空へ放る

地平線のさきを
透明な列車が
いさましく駆けてゆきました

声が
こぼれました






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